夜桜 第3話
転校して10日目の昼休みに桐原先生に呼ばれ、職員室へ行くと一輝がいた。
一輝は俺に気づくと手を振ってきた。
「お!憐か♪元気かい??」
「普通程度には元気っすよ!!つかこれってなんの集まりなんすか?」
と聞くと一輝の代わりに桐原先生が
「緊急指令だ。第5地区で強盗殺人が起きた。
犯人グループは現場で立て込もっている。
人質もいるから警察もいまいち踏み込めないらしい。
だから依頼が来たってわけさ。
そんで現場なれしてもらうためにも憐に行ってもらうことにした。
いいな?」
「分かりました!」
一輝と俺は返事をして職員室を出た。
「じゃあ…ちょっとついて来てくれ!」
一輝はそう言って歩き出した。
そして一つの教室についた。
中に入ると、数名の生徒が談笑していた。
「第4地区で強盗殺人だ。行くぞ。」
そう言うとポニーテールが特徴の一人の女子が立ち上がりながら質問した。
「ねーねーその子って…誰??」
「こいつは橋谷憐だ。
こないだ水族館の指令の時に会ったろ…今日は一緒に緊急指令にいく予定だ。」
「そうだったね♪そういえば自己紹介まだだったかな…
私はRクラスの山本零沙だよ♪よろしくね!!」
山本が自己紹介をしたら、寡黙な背が高い男子が立ち上がりながら
「俺はIクラスの小林幸喜だ!よろしく。」
と挨拶をした。そうしたら、顔が似た二人が立ち上がった。
「俺たちは兄妹なんだ♪俺はSクラスの木城佑介。」
「んで私は君と同じマスタークラスの木城由姫ね!よろしく♪」
と一風変わった二人の自己紹介が終わった。
「よし!自己紹介終わったな…じゃあ…俺と小林はここから指示を出す。
憐と由姫と佑介は現場へ向かえ!」
言い終わると、俺と由姫と佑介は現場へ向けて走り出した。
15分くらい走り、ようやく一つのビルに着いた。すると
「突入開始。犯人を見つけ次第拘束しろ!」
との連絡が入った。
由姫の合図でドアをこじ開け、中に突入した。すると目の前に犯人グループがこちらへやって来た。
「なんだてめーらは?殺されたいのか?今ならまだ許してやるから…」
犯人グループの一人が言い終わるまでに俺は、走り出していて、
犯人グループの数名を殴りとばし、拘束する。
残りの奴が、
「てめぇ!やりやがったな!」
と叫ぶやいなやナイフをこちらに投げつけてきた。
しかし俺は簡単に避けて残りの犯人も殴りとばし、拘束した。
このフロアの犯人グループ全員拘束したら、上のフロアを担当していた由姫が降りてきた。
「終わったみたいだね!人質は全員無事だよ。
もう少しで警察くるからそれまでこいつら見張っててね!」
と言ってまた上のフロアへ戻っていった。
それから数十分後警察が到着した。
「ありがとうございました!」
そう言って犯人グループの身柄を引き取っていった。
「眠い…帰って寝るか…」
そう呟きながら伸びをしていたら、
「お疲れ様!帰ろっか♪」
と由姫が言ってきたので俺達は龍衛高校へ向けて歩き出した。
龍衛高校につき、桐原先生に報告を済ませる。
「お疲れさん!これで緊急指令は終わりだ。解散していいぞ!」
と言われ帰ろうとしたら、
「橋谷!お前は少し残れ」
と言われ残った。
「まずは本当にお疲れさん。良い経験になったはずだ。
…んで本題に入るが、そろそろ学校に慣れてきたようだし、チームを作りな!
これからずっと過ごしていくチームだ。
慎重に選べよ!話はこれだけだ。
橋谷も今日は休め。」
「わかりました。」
と言って部屋へ戻った。
そしてメールで沙織に部屋に来てもらうよう頼んだ。
数分後来てくれたので、早速上がってもらった。
「憐が急に呼び出すのって珍しいよね…どうしたの?」
と聞かれたので、
「実はなチームを作るように言われて…
良かったら俺のチームに入ってくれないか?」
と頼んでみた。
すると、いたずらっぽい笑みを浮かべ、
「いいよ~♪その代わり何かケーキをおごること!」
と言った。
「わかったよ…つか本当にスイーツ好きだなぁ…食べ過ぎると太るぞ?」
と少しからかってみたら、顔を真っ赤にして、
「大丈夫…だよ!運動してるから多分…」
と反論してきた。でもこれ以上からかう気もないので、
「じゃあ…Ryu-2のショートケーキ今度買ってきてやるよ!」
と機嫌を取っておいた。因みにRyu-2とは人気スイーツランキングNo.1をとった所である。
「本当!?絶対に約束だよ!」
そう言ってテンションを上げる。
その後談笑しながら夜飯を食べて帰って行った。
それから数日後誰をチームに入れようか迷いながら、食堂で昼飯を食べていると
中田に話しかけられた。
「橋谷…君…ちょっと相談いいかな?」
「どうしたの…?」
と聞くと、
「えっと…私の指令を手伝ってくれない…?
頼れそうなの橋谷君ぐらいしかいないから…」
と恥ずかしげに頼んできた。
「いいけど…どんな指令?」
「連続殺人犯を捕まえる指令なんだけど…その犯人が私のお兄ちゃんも殺したんだ。
最近やっと追いつめたんだけど…確実に捕まえたいから…
橋谷君にとっては簡単かもしれないけど、よろしくお願いします。」
「わかった。任せとけ!じゃあ現状況でわかってる事を教えてくれ。」
「はい。今犯人は、第3地区のニュープリンスっていうホテルにいるという情報があるんです。
だからそこで逮捕するって形にしたいんです。」
「その情報の信憑性は…?」
「大丈夫。GPSで確認したから…」
「わかった!じゃあ逮捕しに行こうか。」
そう言って職員室に行き、許可証をもらい第3地区へ向かう。
「どこにニュープリンスはあんだ??」
「この通りを右に曲がったとこにあるんです。」
そう言っているうちに目的地についた。
「犯人はここの7階にいます。ついて来てください。」
そう言うので一緒に7階へ向かう。
犯人の部屋と思われる場所から一人の男性が出てきた。
俺達はすぐさま近づき拘束した。
警察が数分後きたので身柄を引き渡した。
予想通り指令をあっさり終えた俺達は学校へ戻った。
「ありがとう。橋谷君のおかげで逮捕できた!」
「いいよ…気にしないで♪それより…下の名前で呼んでくれ。
もちろん呼び捨てだからな…!!」
そう言うとちょっと顔をそらしながら
「わかった…その代わり憐も沙雪って呼んでね…??」
と頼んできた。
「わかったよ!!」
と言うと俺達はお互いの顔を見ながら笑いあった。
「そうだ!沙雪…良かったら俺のチームに入ってくれないか??」
と頼んでみた。すると
「いいよ♪よろしくね!!」
と快諾してくれた。
そんな事を話ながら指令完了の報告を済ませた。
そして一緒に夜飯を食べることになり、食堂へ向かうと沙織がいた。沙織は俺に
気づくと近づいてきた。
「憐~偶然だね♪一緒に食べない??」
と言ってきた。すると、沙雪が
「憐…この人誰?」
と聞いてきた。沙織も
「ねぇ…この子は誰?」
と睨みながら聞いてきた。
「二人とも落ち着け…沙織は俺の幼なじみでチームの考戦科担当だ。
沙雪は俺のクラスメイトで医療科を担当してもらうことになった。」
とため息混じりに説明しておいた。
そしたら二人とも恥ずかしくなったのか顔を赤らめ、
「そうなんだ…よ…よろしく。」
「こちらこそよろしく。」
などと、たどたどしく挨拶をしていた。
「んじゃ飯食べようぜ…いい加減腹が減った。」
などと愚痴を言ったら、沙織があわてながら、
「そ、そうね!じゃあ私が買ってきてあげるわ。何がいい」
と聞いてきた。俺はチャーハン、沙雪は鯖の煮付け定食をたのんだ。
沙織はカレーを食べるみたいだ。
それからしばらく経つとチャーハン、鯖の煮付け定食、カレーが運ばれて来た。
俺達は夜飯を食べながら、
これからのメンバーをどうするか、レベルはどれくらいなのかという話をした。
一時間後、俺達は自分たちの部屋へ帰った。
そして、俺はまた明日の授業に向けて、眠りについた。