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崩壊



五年付き合った婚約者に振られた。

別れましょう。

あなたとはもうやっていけないの。

ふん。そうか。

知人だった頃も含めて七年にも渡った付き合いは、呆気なく崩れ去った。


磨りガラスに滲んだ月を見る。

ひとりになったところで、前の暮らしに戻るだけだ。

ビールを開けて飲み干す。

そういえばビールを飲むのは久しぶりだ。

脳内で理由を探り、ハタと思い当たる。

あいつがビールを嫌いだったのだ。

二人で飲むときは大体いつも日本酒かワインだった。


親同士の決めた婚約だった。

名前くらいは知っていた。すれ違ったら二言三言くらい話す。それくらいの関係性だった。

僕はあいつのことが好きではなかった。

「部屋が汚い。片付けてよ」

共有の場はともかく、なんで自分の部屋のことまでうるさく言われなければいけないんだ。

「遅くなるときは連絡してって言ってるじゃん」

会議が長引いたんだよ。会議中に連絡できるわけないだろ。


こうしていつも最後は口論になった。

落ち着いて、冷静に話そう。必死になって諭すも、

「なんで」

「どうして」

しまいには「なんでそんな酷いことが言えるの」

と泣き出す。

建設的な話し合いができない人間だった。


腹の底からどろどろとしたマグマのようなものが迫り上がってくる。

マグマは心臓から全身を巡って全身に巡り、ゆっくりと吐いた息に乗って僕に重く昏く纏わりついた。




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