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魔導書を拾う  作者: jo2
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16. 昇天する龍

とんでもないことだが、レオ班長はオーガの移動を阻止すると言って、空を飛ぶ飛行機から飛び降りた。

こんな高い所から丸腰で飛び降りて無事なのか心配だが、彼なりの方法があるからこその選択だろう。

彼を信じてオーガを阻止するという前提で、急いで動く必要があった。

幸い、小型飛行場が遠くない所にあったので、素早く着陸した。


「到着1分前!」


当該地点にほぼ到達した頃。

鈍い音が空気を伝って空中に響き渡った。

爆弾が爆発するような音が聞こえるのに、震源地が今どのような状況なのか、想像すらできなかった。


遠くにレオ班長とオーガが見える。

周囲の地面は爆撃でも受けたかのように、あちこちに穴が掘られていた。

互いに接近して攻撃を交わしているが、一見するとレオ班長が押されている様子だった。


「レオ班長ーっ!! 今到着……」


私たちが支援に来たことを知らせるが、言葉が終わる前に彼の体がぐらついた。

レオ班長が横に傾いた瞬間、オーガの拳が紙一重で、横に逸れた。


ドカーン


「うわっ。」


神速の能力者が気絶したレオ班長を現場から離脱させた。

気を失っているせいか、彼の鋼鉄の身体能力が解除されてしまった。


「安全な場所に連れて行って、目が覚めるまで看てやってくれ。」

「はい。」


神速能力者がレオ班長を背負って消えた。

私たちの声を聞いて安心するだけで気を失うほど、最善を尽くしてオーガを食い止めてくれたのだから、残りはここにいる人々の役目だろう。


レオ班長が突然消えたことに怒っていたオーガが、私たちに視線を向けた。

頭があまり良くないように見えても、その出来事に私たちが関与していることは少し考えればわかるはずだ。


「事前に話されていた通り、隊列を組む。」


二人も抜けて席が空いてしまったが。

さすがマサヒロ隊長が選んだ人々だけあって。

誰も何も言わなくても、空席を感じさせないほどの隊列を組み、

俺は防衛庁隊員たちに荷物にならないようにマサヒロ隊長の背後に位置した。

そもそも俺はここに加わるレベルではないのに無理やり来たので、戦力外……


オーガと防衛隊が激突した。


ドスン


防衛隊員たちの有機的な攻撃によって、奴の体には太い傷が一つ二つと刻まれた。


A級のモンスターでも精鋭たちの攻撃は有効だ!


その後の攻撃も順調だった。

どんなに堅固な城でも、ダメージを蓄積していけばいつかは陥落するものだと考えていたとき。


シュッー


奴の傷口が赤く熱を帯びて、傷口があっという間に癒えていくではないか!


これは詐欺じゃないか?

一目見ても能力は怪力だと思える奴が、こんな回復力だなんて?

普通、人間でもモンスターでも一つの能力だけを伸ばしていくと聞いたが…A級くらいのやつならサブ能力もあるのかもしれない。


お茶一杯飲む時間もない攻防の末。

隊長はこのままでは駄目だと思ったのか、計画を全面修正した。


「プランBだ。」


プランB。

最初の方法がドットダメージでじわじわと殺すものだったなら。

今やろうとしているのは一撃の強力な攻撃で敵を制圧する方法だった。


聞いただけで、方法は知らなかったが。

一人が後ろに下がり、そのために残りの者たちがしばしの時間を稼いだ。


後ろに下がっていた男の体が縄のようにねじれていき……


「できた! 気をつけろ!」


パンッ。


弾丸のように素早く前へと撃ち出されるではないか!

それと同時に土埃を巻き上げるトルネードが発生し、その威力がどれほどすさまじいか推測できた。


しかし異変に気づいたのは奴も同じだった。

奴が腕を上げ、まるで自然災害のような攻撃を防ごうとした。


カカカッ カカカッ。


彼の攻撃によってオーガの腕が手先から削ぎ落とされ……

そのまま胴体まで粉砕しそうだった彼の回転は弱まっていった。


うおおおー!!

カチッ。


「!!」


オーガは両腕が半分も吹き飛ばされたにもかかわらず、肘で防衛隊員を掴み、口を大きく開けた。


神速能力者はレオを連れて安全な場所へ行ったが、あまりにも一瞬の出来事だったので、誰も対応できないことが起こった。

上半身が消えた隊員の下半身が地面に落ちたのだ。


ドサッ。


風一つない静寂な空間。

両腕を失ったにもかかわらず、捕食者のように意気揚々としたオーガ。

人であれば倒れてもおかしくないほどの深刻な傷を負っているにもかかわらず、回復する兆しさえ見えた。


まだ私たちの方が数で有利な状況であるにもかかわらず、前方では隊員たちはオーガの野性に圧倒され、濃い敗北の色を浮かべていた。


その時、マサヒロ隊長が剣の柄に手を当てて言った。


「俺が処理する。後ろに下がれ。そして俺が倒れたら、後を頼む。」


隊長がやっても倒せない奴を俺に頼むのか?

それは無理だと言おうとしても、すでに攻撃態勢を取っていた。

両足を斜めに開き、体を前に傾ける。


チリチリ。


隊長の体を包む稲妻!

いや、よく見ると稲妻ではなく。

紫色と赤色の糸が彼の体を伝い、剣から波のように揺らめいていた。


「昇竜。」


ザクッ。

クワァァァンー


目で追うのも困難なほどの速さの抜刀術の末に。

二色の波が破壊的な威力を放ちながら。

オーガの上半身を通過し、後方の地形まで変えてしまった。


傾くマサヒロ隊長。

俺はその時初めて、後を頼むという言葉の意味を理解した。


急いで倒れそうになる隊長を掴もうとするが。

遠ざかった距離に彼を掴もうと念力を使った。

すると俺は、雷に感電したかのようなピリッとした震えを感じた。


「ふう…奴はどうなった?」


荒々しい息遣いがこちらにまで伝わってくる。

俺はしばらく奴に回復の兆しがあるかを確かめてから言った。


「…死にました。」


塵となってからでは回復する力はないようだ。


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