第八十三話 落ちたデータ
【‥‥あー、メインメモリに微妙に破損個所があるようデース】
何やらエリーゼからも抜け落ちているデータがあるらしい。
そういうわけで、改めてジェッターさんがエリーゼの状態を確認すると、手を付けにくいブラックボックスの奥底で、データを保管するための回路の一部が損傷しているらしいことが分かった。
言われてみれば、エリーゼに出会った当初も何か一部抜けていたような会話があったような…物理的に失われていた部分があったのかと、異土は納得する。
【直したら戻りますカ?】
【いえ、無理デース。流石にこれは専門特化のメイドでないと…】
下手に弄れば、それこそエリーゼの全データが失われるリスクもあるようで、その最初期の部分のデータ以外は無事なようなので、むしろこのままの方が今の状態としては良いらしい。
【しかし、どうしてこんな箇所が破損…ふむ、ダンジョンで発掘されたとなると、そこに…ですが、確かそもそもあれは…】
エリーゼの破損原因に関して、色々と考えられそうな要因はあるようだが、結論から言えば今は言うことができないようだ。
流石に憶測で言うのもなんだし、起きてしまったのだから、もうどうしようもないもの。
【仕方がないデス。話せてないのなら、メイドの目的に関して…そうデースね、一つだけ、確実にあるモノならば私の方から応えておくのデース】
エリーゼに語らせようとしても、失われているのだから無理がある。
だからこそ、ジェッターはまずは一つだけ、目的を明かすことにした。
【…メイドが他の世界に向かう理由。それは単純明快、ご主人様を得るためデース】
「え?それだけ?」
拍子抜けと言うか、当たり前のこと過ぎることを言っているような…まずメイドが他の世界に向かう時点でおかしな点があるが、それは置いておくとしよう。
【おっと、ただご主人様を得るというだけでは、二流三流のメイドデース。真にご主人様を得る目的としては、メイドとしての大きな成長を期待しているからデース!】
ジェッター曰く、その目的は集約すれば、自己の成長に関して産みだした存在が期待しているものがあるらしい。
そのために、メイドたちには自分たちにとって大事なご主人様を得ることで、何をしてどうすればいいのか、試行錯誤を繰り返していかせることで、単純に学ぶだけでは得られない、独自の成長を求められているようだ。
エリーゼも例にもれず…量産型であるはずの彼女の現在の状態を見ても、どうやら他の期待に比べてまた違った変化を見せているようである。
【それが楽しみなのは、私たちだけではないのデース!でも、今はゆっくりと成長を…あとは、改良のための申請書も出しておくので、後日アップデート用のパーツも配達しておくのデース】
そう言いながら、さっとジェッターさんは身をひるがえし、轟音を立てていつの間にか背中に大きなロケット縁のようなものを装着して飛び立つ用意をしていた。
「も、もう行くのですか?」
【その通りデース。今回は、そこの可愛い妹を助けるためだけに来たので、あとはさくっと自分の仕事があるので戻るだけデース!そんなホイホイ来れるようなものではないですが・・・・機会があれば、また遊びに来るのデース!では、また会う日までぶっ飛ぶデース!!】
ドゴォオオオオオウ!!
【…行きましたネ】
「ぶっとんだ人だったなぁ…物理的にも」
あっという間に、大空に消えていった、エリーゼの姉のジェッターさん。
助かったとはいえ、結局はわかっていないことが余計に増えただけじゃないかと異土たちは思うのであった…
「…って、アレ?エリーゼ、メイドの目的がご主人様を得るためってのは分かるけど、それならあのジェッターさんにもご主人様がいるの?」
【んー…そこはどうでしょうかネ?二世の今はデータが良く入ってなくて…前のモノだと確か、黒き女神管轄下にありつつも違う方でもあったような…】
嵐のように来てそしてすぐに過ぎ去っていった存在
どれだけの性能差があったとしても、その成長はまた各自違うものなのだろう
ぶっ飛び具合は思いっきりそっくりだが‥次回に続く!!
…モチベの関係で、いっそ新作創ろうかなぁ…




