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第八十二話 アップデートのお時間デス

―――あの怪物は葬り去られた。


 圧倒的な力をもって、襲ってきた巨大な脅威。


 中級ダンジョンも挑めるほどだった異土たちだったが、今回の件を通して、まだまだ上には上がいるだろうと実感させられたもの。


 まぁ、その実感を与えてきた相手は…







ガチャガチャガチャ…

【んー、やっぱり量産型なのでメインメモリの処理及び保存容量がだいぶ圧迫されたようデースね。コアブロックも分けて簡略化して量産しやすいようにされてマースが、技術面の開発用疑似発案ブロックも結構性能が…】



「…えっと、それ本当に大丈夫ですか?と言うか、まだこの島浮いてますけど、これいつまであるんですか?」

【携帯簡略用なので、三日ぐらいデース。あと、こっちの妹…エリーゼの改造ももうちょっとですみマース】

【知人がバラバラ遺体のようにされている光景は、中々キッツいな…マジックアイテムだとは聞いていたから、ある程度は割り切れるが】

【なんというか、彼女の姉と言われてますけれども、このぶっ飛び具合は血縁を感じさせますね。…マジックアイテムに血は無いのでしょうが】



 ダンジョンからも脱出し終え、救難信号も既にジャミングをだしていたものがダンジョンと共に消えたのか到達しており、配信もやったのでもう間もなく救助の手が来ることは間違いないだろう。


 そんな中で今、そのダンジョンを破壊した怪物を葬り去った、エリーゼの姉というジェッターさんが…戦闘中に何やらメモリ方になってしまい爆発したらしいエリーゼの改造に着手していた。





 脱出時に出した浮島に簡易的な作業場を作り、そこでエリーゼをバラシているわけなのだが…いかんせん、その光景が何とも形容しがたいものになっている。



「どこに、どれだけ入っていたんだよコレ…」

【ディメンションストレージデース。後継の量産型、あちこちを量産しやすいようにブロック化している部分があるのデースが、それでも機能は膨大デースからね。色々詰め込むために仕掛けられているのデース。これで、量産向けに大分ナーフされているのデース】

【原型、無いのだが…】


 配信は既に終わらせているので内部構造が公開されることが無いが、いかんせん生で見ていても、どこにこれだけのものが入っていたんだよとツッコミを入れたくなる。


 あれよコレよと分解していく旅に、どう考えてもエリーゼの元のサイズには入りきらないはずの膨大過ぎる部品の山が出来上がっていればそう言いたくなるもの。


 ポケットがあったメイド服も対外ではあったが、それ以上に彼女の体の中身もまたぶっ飛んでいたのは間違いないだろう。


【まぁ、改造機能は実はそこまでないので、本家本元に比べればだいぶ堕ちるのデースが、メモリ方爆発症候群になった機体の修理及びアップデートぐらいならば、お茶の子さいさいっと…ついでにいくつか、疲弊していた部品も新品に交換しておいたのデースが、定期健診さぼってないデースかね】


 ガチャガチャと大量の部品を上回る数で、背中か大量のアームを伸ばして、同時に作業を行いまくっているジェッターさん。


 何と言うか、ツッコミどころ満載な光景ではあるが、エリーゼの親族であると言われれば、納得はできるだろう。


「いや、本当なら色々突っ込みまくったほうが良いんだろうけれどね」

【達観しているな、主殿】

【違いますよ、サクラ。主様(ぬしさま)の目は、あきらめの境地を悟った目ですよ。私たちも、同じ目になってますが…】


 主従そろって、同じ心情を抱くのは悪くはないはずである。

 

 文句を言うのであれば、エリーゼを開発した相手に言えば良い。




 そう考えている間にも作業がどうやら無事に済んだようで、心なしか大量の部品が取り出した時よりもわずかに輝いているように見えた。


【ふぅ…やっぱり大変デース。量産型のデータは共有されているとはいえ、その世界での環境で色々変わるものが多いデース。あとで上に、いくつか申請しないといけない重要部品があったけど…まぁ、それは後で、届けてあげるのデース】


 よいしょっと声を上げ、ジェッターさんが手早く部品の数々を、エリーゼのボディにしっかり全部入るようにして入れて組み込んでいく。


 バラバラにされていたそのボディも繋ぎ合わされて行き、人肌が見えてきたところはそっと目をそむき、音がやんだところで振り返れば…そこには、綺麗に直されたエリーゼの姿があった。


【再起動…システム…ヴォェッ!!】

「って、大丈夫!?エリーゼ、吐きそうになっているんだけど!!」

【だ、大丈夫です、ご主人様…再起動時に、情報が倍以上‥‥処理能力があったので、どうにか持ち直しましタ】



 一瞬またぶっ倒れてヤバそうに見えたが、なんとなかったらしい。


 失態をなかったかのようにして、すっといつものように冷静に立ったが…ちょっとばかり恥ずかしかったのか、少し頬が赤い。


【何にしても、ありがとうございました、ジェッター‥‥姐さん?】

グワシィッツ!!

【…なんか妙なアクセントのほうが聞こえたのデースけれども、何ででしょうかネ?】

【あ、ハイ。冗談デス。メイドジョーク、共通のジョークプログラム27番を使ったのデース】


 どんなジョークプログラムだ。


 と言うか、さっき色々ナーフされているとか聞いていたけど、そんなジョークを作る部分は残しているってどういうことなのか。


「いったい、何を思ってそんなものを入れて…と言うか、エリーゼもそうだけどジェッターさん、一つ聞いて良いかな?」

【なんデース?】

「前々から思っていたけど、エリーゼって量産型ってことは、一応他にも期待が…貴女のようなものも含めて、色々いるって認識で良いんだよね?」


 せっかくなので、ここにエリーゼの親族がいるのならば、疑問を一つ解消したい。


 そう考え、異土はその言葉を口にした。


「…メイドもとい、エリーゼたちのようなマジックアイテムが作られている目的って何なの?」

【---】


 一瞬目を丸くしたジェッターさん。


 その表情は、驚愕しているか…いや、それとは何か、別の目的もあるような気がする。


【…ふむ、それを質問されるのは想定内…ではありますが…エリーゼ、話してないのデース?】

【ハイ?】


 ジェッターの問いかけに対して、首をかしげるエリーゼ。


 何か今、変な場所へ踏み入れた気がするのであった…



深淵を覗く気はない

でも、気になるものは気になる

ゆえにここで…次回に続く!!


…マジックアイテムなんだなァ、とばらされている光景で再度実感

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