第七十四話 どさくさにまぎれようとも
ーーー海の中のダンジョン配信。
普通ならば、もっと事前に入念な準備が必要だが、ここに来るまでの道中でそんなこともできず、なおかつ状況的には時間との勝負になる可能性がある。
エリーゼたちの力を信用していないわけではないが、ジャミングしてダンジョンを隠し、鉱石を採掘する…いうのは容易いが、やること自体は相当の難易度があることを成し遂げる相手であれば、下手をすれば一刻を相手にするのも同等のことになるだろう。
「だからこそ、今回の攻略は速度重視!!クロハ、俺を背中に乗せて全速力で!!エリーゼ、バルカンで一斉掃射!!サクラは後方からの攻撃に備えての大盾を背負いつつ薙ぎ払え!!」
”おお、全速力に乗っての指示!!”
”確かに、異土君自体も結構素早いけど、彼女たちの手…いや、足を借りたほうが早いか”
コメントが流れる間にもエリーゼたちはすぐに異土の指示に従い、陣形を取って全速力で駆け出していく。
足の速さで言えばクロハが一番早いが、蜘蛛の背中の広さが安定性を持っており、周囲を余裕盛って警戒しやすい。
前方からモンスターの大群が来たとしても、手数の多さではエリーゼの方に分があり、後方からの攻撃に関してはサクラの鉄壁の防御に任せて双方ともに問題は無い。
「とはいえ、普通のダンジョンと違って隠されていた場所だし、ここを秘匿していた相手の方がマッピングとかで地形的に有利かもしれないけど…」
【問題ないデス。そのあたりは、地形を】
【ぶち壊せば万事解決っと!!】
ドッゴォォォォォォン!!
【おっと、後方の方にも罠を仕掛けておかないと…】
勢いよく光線が周囲を焼き尽くし、振り下ろされる鋼の巨体が周囲を砕き、丁寧に粘着性のある糸が仕掛けられ、周囲への妨害も行われていく。
”うわぁ、これがもしも普通のダンジョンなら絶対に行きたくねぇ”
”周囲への被害が大きすぎるし、そういやダンジョンぶち抜いた前科持ちがいるか”
【いや、流石に海の中でダンジョンに大穴をあけるリスクは大きすぎますので、カノン砲は使わないですけれどネ】
海の中で放つ大技も映えそうだが、後を考えると怖いところ。
なのでここはそこまでやらかし過ぎないように注意はしておかなければいけない。
「まぁ、何かの体内ダンジョン的な場所だから、やり過ぎたら流血事故になってのスプラッターからのBANの方が怖いけど…」
【モザイクはいつでも入れられるようにしてますよ】
【ふふふ、用意はしてますし…大丈夫ですよ、主様。そんなモザイクが出るようなものなんて、どこにでもないですからね】
”今目の前の貴女が、一番可能性がありそうだと言いたい”
”そういや、この人たちが行方不明になった騒動の原因聞くと、やらかしているのクロハさん…”
ツッコミが入るが、どこ吹く風と言う様子でクロハは気にしていない模様。
万が一に備え、実は彼女へ優先してモザイクをかけられるようにしているというのは秘密だったりする。
…いかんせん、色々な前科がね。
何にせよ、爆走していくのだが、ダンジョンなこともあって無事に進ませてはくれない。
どんどん奥からモンスターが湧きだしてきており、今はポケットも収納も少ないのでドロップアイテムが後方に積み重なっていくのは惜しいが、それでもかまわず進むしかない。
【ああ、個人的にはすごく惜しいのデス!!魚ばかりなので、ドロップアイテムが食料品系が多くて、後で美味しくご主人様に出せますのニ…】
【まぁ、とやかく言わないでさっさと先へ進んだほうが良いな!!採掘場付近はがっつり狩っていたようだが、奥へ行くほど管理が甘くて、多く出現しているからな!!】
【魔法鉱石だけが目当てで、もしかすると…このダンジョン、役目を終えたら溢れさせて、どこかの海岸にでも誘導し、そこで中身を弾き飛ばす気だったのでは‥?】
”うっわ、最悪やん、それ”
”カーニバルだのパレードだの、祭りじみた名称を付けてごまかしつつも、あふれ出るモンスターの群れとか想像したくないぞ”
”悪意あるモンスターボンバーダンジョンか…新手のテロじゃないか?”
嫌な予感がしたが、その可能性はあり得るだろう。
単純にそこまで考えていないだけなのかもしれないが…まぁ、そういう可能性もあると含めたほうが、このダンジョンを隠していたやつらの印象がどんどん悪化するだけである。
”ここで反論コメントでもあれば確定そうだけどな”
>50,000円のスパチャが投げられました!!
”い、いやいやいやいや!!我が国がそんなド級のテロ行為なんかするわけがないでござんしょう!?”
「え”」
【わぉ、もしかして…釣れた感じですかね?】
…どうやら見事に、一人釣り上げることに成功したようであった。
まぁ、かかったところでなんというか
確定ではないとはいえ、どのぐらいの主張を聞けるか…
次回に続く!!




