第七十二話 ゲノマタイトと無茶苦茶と
【…なるほど、ゲノマタイトですカ】
「知っているの、エリーゼ?」
巨大な採掘器から部品を少々拝借し、ジャミングに対抗する道具を作る傍ら、掘られていた魔法鉱石に関しても分析をしつつ、周囲の音も拾い集めていたエリーゼは、どのようなものなのかすぐに理解できたらしい。
【ダンジョンで出現する、魔法鉱石の一種ですネ。単体では問題ありませんが、別の物質と組み合わせることで、凄まじい爆発を産みだす危険物質デス】
【爆発物か…いや、それどう考えてもヤバい奴では?】
【何やら兵器利用している声が聞こえますが…】
人外の身ゆえに、異土が聞こえずとも分かるのだろう。
そして同時に、この地を利用しようとしている者たちが、どう考えても危険人物なことには変わりはない。
【まぁ、井の中の蛙大海を知らずですがネ。強力な兵器になりうることを他の国々が気が付いていないとか語っているようですが…とはいえ、放置すると危険ですネ】
どのようなものであれ、持っていたら危険すぎるもの。
ダンジョン配信を行う中で、どこかで戦争が起きたら楽しめる人も楽しめなくなってしまう。
「でも、流石にこんなものをこんな大規模採掘できるだけの相手に対して、奪ったりとか破壊するような真似は、結構厳しいような…」
【大丈夫デス。彼らは気が付いていないようですが、この鉱石は別の方法で無力化できますヨ】
そう言いながら、エリーゼがその辺の石を適当に一つ持ち上げ、ばちっと電撃のようなものが流れたかと思えば、次の瞬間にその手に持っていたのは全くの別物になった。
【特殊錬成薬デス。賢者の石で生成したものですが、これを垂らせば、この通リ】
そういいながら、手直にあったゲノマタイトやらに、ぽとっ水滴が落ちる。
ブッシュウウウウウウウ!!
「おわっつ、ものすっごい煙が!?」
【人体に害はありまセン。単なる水蒸気になってますからネ】
煙と共に、ゲノマタイトも縮小し…そして、ぽんっと軽い音を立てて消え失せた。
【煙となって、消えましたね】
【いかなる強力なものだとしても、組み合わせ次第では無力化しやすいモノ。それに、今はちょっとずるした形で作りだしましたが、きちんとした手順で人の手でも精製が可能ですので、兵器として利用しようとしてもあっという間に役立たずになるでしょウ】
エリーゼいわく、この薬品自体がすでに実用化されている薬であり、なんでもこちらは医療薬品として出まわろうとしているものらしい。
【そのため、もしも戦場で出くわすことがあったら…】
【医療設備を狙うような愚か者であったら、すぐにその報いを受けるか】
遅かれ早かれ、その欠点が直ぐに浮き彫りになって、即座に埋没するであろうゲノマタイト。
だがしかし、それでも見つかるまでに多くの犠牲が出る可能性も否定できない。
【なので、どうしますカ、ご主人様。これをばらまいて、無力化させることもできますヨ】
「ふむ…いや、もっと別の良い手もあるか」
ここで無効化できたとしても、採掘された分を考えると、そうたやすくは全て無力化できるわけがない。
ならばここで、無力化する手段を先に広めたほうが、ガラクタばかりを集めてしまったものとして相手を失望させて、使わなくさせることができるだろう。
いや、もっとやるのならばこんなものを採掘できる場所そのものをなくしたほうが良いので…
「エリーゼ、ジャミング妨害用の機器はもうできているな?」
【ハイ。もう、完成いたしまシタ】
「なら、外と通信できるなら…やっちゃうか」
秘匿しようとしていたかも知ればない場所だけど、それが全て無駄と化すだろう。
【でも、国レベルの相手だと報復があるのでは?】
「その時は、こんなやばい代物を隠して細工していた側が責められるようにしたいかな」
【問題ありまセン。情報工作をされても対応できますヨ】
【主様も、ちょっと豪胆になってきましたね。ふふふ】
何にせよ、彼女たちとゆっくり悪だくみをしておくのであった…
順調に進んでいる模様
さて、暴露系ではないがどうなるか…
次回に続く!!
…配信系のがちょっと熱意的な部分で…気分転換にと言うか切り替えようかなl




