第七十話 企みと言うものは理不尽で潰されるものナノ
…ごごごっと音が鳴り響き、ダンジョン全体が揺れ動く。
何かが動いているのは間違いないが、もしもその正体を見てもすぐにその回答を…いや、ある意味ロマンあふれるものだからこそ、すぐに看破出来てしまう者もいるだろう。
そして、その出来るものには例外なく…
「バケットホイールエクスカベーター…?え、嘘マジで、本物が…!!」
【ご主人様、ちょっと目が輝いていませんカ?】
無理もない。異土も男の子である。
ダンジョンの物影に身を潜めつつ、轟音が鳴り響く場所に向かって見つけてしまったのは、巨大なロマンあふれる採掘機…バケットホイールエクスカベーター。
豪快に大量の土砂や鉱物を連続的に掘削・運搬するために使われる、世界最大級の自走式建設機械であり、様々な作品で見かけることがある超・重量機械。
しかしながら、ここはダンジョン。そんな採掘器を設置するには、いくら世界最大の自走可能な建設機械だとしても、この場所へ運び入れるには無理があり過ぎる。
それなのに稼働しており、よく見れば大勢の人が働いており…明らかに人為的なものが見える。
まぁ、そのまま馬鹿正直に姿を現しても、状況的にろくなことにならないことは明らかなので…
「こういう時に、クロハの糸が役に立つね」
【ふふふ、ありがとうございます主様】
【まさかダンジョンの天井を這いずる羽目になるとは…】
【一応、カモフラージュ用にその辺の岩塊もくっつけてますので、ちょっとやそっとではバレないはずデス】
クロハの蜘蛛の糸を使って周囲の岩塊をくっつけてカモフラージュし、肉癖の天井を無理やり伝って進む作戦。
かなりの荒業ではあったが、それでもやれないことはない。
「でも、こんな肉ばかりのダンジョンを採掘できるもなのかな…いや、思いっきり血なまぐさい光景だから、無理やりえぐっているように見えるけど…」
ドバババァッァ!!っと、通常の露天掘りとは異なる、下手するとG指定が付いて配信でもすれば一発でBANされかねないえげつない血の大瀑布。
ダンジョン自体は再生が続いているのか、どれほど掘っても掘り尽くせなさそうだが、何をしているというのだろうか。
【ふむ…血肉に混ざって、鉱石採掘してますネ。運ばれている中に、微量ながら確認できマス】
「何なのかわかる?」
【データ照合…おそらくですが、魔法金属の類ですネ】
―――その建設機器の操縦室内。
計器が激しく動き、得られている数量を見て、見ている者たちは報告を行っていた。
「こちら、予定数量採掘を確認。燃料系を見る限り、本日は後2時間は稼働できるがどうするか」
『了解。あればあるだけ困らないため、限界まで稼働させてくれ』
防音で外の轟音が響かない中、通信によって指示が与えられる。
操縦席内の者たちはその命令に従い、機械を動かしていく。
「にしても、予定を超えても採掘とは…国のやつら、強欲だなぁ」
「いやまぁ、ここダンジョンだし、いつイレギュラーなことが起こって、やべぇモンスターが出てもおかしくないのが怖いが…」
「大丈夫だ、こういうのに限って軍隊のお偉いさんが色々やってくれているからよぉ」
はははっと笑いながら、そう語り合う者たち。
「ぶっちゃけ、本国にばれた時が怖いが…それでもまぁ、どうにもならねってことは無いだろ」
「そうだろそうだろ」
色々と環境としては最悪な場所。
それでも身の安全を確保してくれている者たちがいるのならば、今はただこなすだけで良い。
これで無事に仕事を終えたらかなりの報酬がもらえることも約束されており…ハイリスクハイリターンなこの仕事を選んだだけの度胸はあるのだ。
…しかし、度胸があるからと言って危機察知までがあるかは別の話。
彼らの室内にこっそりと、聞き耳をたてられていることはわからない。
轟音の中であっても、人外の、マジックアイテムの耳はごまかせない。
そして同時に、巨大な建設機器だからこそすぐにその全体を把握しにくいのがあだとなって、一部に潜りこまれて部品を取られているなんてことは気が付かないのであった…
何やら見えてきた様子
一部でもわかれば後は芋づる式に…
次回に続く!!
…ロマンあるよね、この採掘マシン




