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第六話 初雑談配信へ

―――雑談配信。


 それは、何らかの事情でダンジョンに潜れない日があったり、あるいは何か下の情報開示のために配信者たちが行う配信の一種であり、適当に雑談をこなすのものも多い。


 普段の配信とはまた一味違った穏やかなものであることも多く、配信者の趣味嗜好などが関らかに出つつも、情報を仕入れたりするには非常にうってつけのものだろう。



「と言うわけで、今日は近場のスタリアルが封鎖状態なので、二回目の配信…異土チャンネル改め、異土エリチェンネルとして、雑談配信を放課後におこなうつもりなんだけど…」

【何か問題がありましたでしょうカ?】

「いや、一回目が採掘でエリーゼを発見して、二回目が雑談…配信の方向性が定まってないなと思ってね」


 ダンジョン配信者は小遣い稼ぎの一環で行うつもりだったが、やる気が出ると少しだけこだわりも欲しくなるところ。


 でも、無理に異色を出そうとすれば悲惨なことになるのも目に見えるのが困りもの。


 知っている事例だと、変な方向に行きすぎて毎回謎の挨拶が出たり、あるいは迷惑系とまではいかずとも何かしらの馬鹿なことをするチャレンジを毎回したり…そういう事にはなりたくはない。


 まだまだ初心者ゆえに、焦らずにやればいいだけなのだが、変な落とし穴が待っているかもしれないが、正直言って怖いのである。




「それに、色々とあるからねぇ…クラスメイト達には、迷惑系や待ち伏せ系などに気を付けろと言われたし」


 ダンジョン配信者は各々が好きな形で配信しているが、その全てが善人ではない。

 

 ぶっ飛んだ過激さによる炎上なども目当てにする迷惑系なども当然存在しており、その手の輩の対策も必要になってくるのだ。


【大丈夫ですよ、ご主人様。もしも、その手の輩が来られたら、きちんとお掃除(消し炭に)しますからネ】

「さらっとやばいこと言っているというか、本当にやれそうなのがな…」


 どちらかと言えば、相手の命を守る方に注力したほうが良いのかもしれない。


 このメイド、やるかやらないかで言えば、確実にやりかねん。まだ付き合いが短くとも、そんな予感を感じさせるほどの実力があるからなぁ…ワームの二の舞になる人間が映し出されたら、それこそ事故映像…いや、迷惑系なら自業自得として、処理できるか…?








 とにもかくにも、雑談配信はやっておくに越したことはない。


 配信を行う以上は避けて通れない道でもあり、雑談だからこそ普段では見えない情報を得たりすることができるし、視聴者からコメントでネタをいただくこともできる。


 特に、今回のメインはエリーゼに関しての情報を聞き出すことで、今後の憂いを取り除く道を模索するのだ。


 もちろん、実はギルド側からも求められている部分もあり…配信時には、見ているのだろうなぁ…なんか爆弾情報が出て、あのギルド長剥げないかな?大丈夫かな?





「と言うわけで、不安も色々ありますが、第二回異土チャンネル改め、異土エリちゃねる開始します!」

【ドンドンパフパフ~♪】


””おー、待ってました、雑談配信!!”

”そのメイドさんの情報を、全力で求む””

”と言うか効果音、自分で言うのそのメイドさん…なんか可愛い”



…スタリアルが封鎖されているので、雑談場所はざっくりと寮の自室で行うことにした。


 配信用の学生寮はそのシステムもしっかり完備されており、実は防音性能があるため、大声で叫ぶような事態になっても大丈夫なようになっているのだ。



 視聴者からのコメントを表示するモニターもしっかり稼働しており、初めての雑談配信とはいえ、そこそこのコメントが目に見えている。



「わぉ、まずは100人ちょっとがいきなり視聴中で、コメントもエリーゼ目当てのが多いな」

【まずまずの感じ…ですかネ?ええ、私への質問が多いなら、お答えしたほうが良いですよネ?】


 初日こそ見ているか見ていないか怪しいレベルだったのに、メイド情報が流れてまずはこの人数は上出来なのだろうか。


”にしても、本当にマジックアイテムですか、そのメイド?””

”雇ったとか言われた方が、まだ良いんだけど…いや、雇えるにしてもいくらになりますか?””



 視聴者からのコメントも、エリーゼに関する者が見て取れる。


 もっと来る可能性も否定できなかったが、爆発的過ぎるのもなんだし、抑えられているのならばいい。


 気を取り直し、雑談を…主にコメントで流れていた質問に関して、答えていくことにした。


「えっと、エリーゼ。まずはここに流れてきた質問に答えてほしいけれども…多分、ほとんどの人が思っているけど、本当にマジックアイテムなのかに関して、何か言えることはあるか?」

【そうですネ…分かりやすいのは、見せることでしょうカ】


”お?なんだ、何を見せるのか?”

”メイド服を脱いで、その下を…いや、下手するとBANされんか、それ”

”違うな?手を顔にかけて…”


【よっと】

ガゴンッ!!


””首が外れたぁぁぁぁぁぁ!?”

”雑談配信で、いきなり首を取ったぁぁぁ!!人間じゃない証明とインパクトオォ!!””



 コメントで皆が慌てる様子が目に浮かぶが、異土自身も同じ気持ちである。


 何しろ目の前で、メイドが…エリーゼが自らの頭に手をかけたかと思えば、体から引っこ抜いたのだ。


【どうですカ?生身の人間で、頭を引き抜ける人はいないですよネ?】

「いたらまず、そっちの方がよりやばいと思うんだけど…」


”激しく同意”

”生身の人間でやれるやつがいたら、そいつこそモンスターなのかと疑いたくなるよ”

”頭が外れてぱくぱく…まじかぁ”


 がごんっと再び音を立てて、エリーゼが頭を戻すが、この流れで既に彼女が人間である可能性ははないだろう。



"あー、いきなりでびっくりした"

”トレンドに「生首メイド」「デュラハンメイド」が流れそう”


「そりゃ皆驚くな…エリーゼ、一応次から突拍子もないことをやる前に一言告げてくれ。ありえないかもしれないが、驚きすぎて心臓発作する人が出てもおかしくは無いからな」

【分かりました、ご主人様】


 素直に言うことを聞いてくれるのは良い。


「それにしても、これで人間じゃないと分かっても…マジックアイテムだとして、何なんだ?」

【ご主人様のメイドですヨ?】


”違う、そうじゃない”

”天然なのか単純なボケなのか、わかりにくいな”

”メイドさん、貴女のご主人様は、どういう存在なのか知りたいってこと。人間じゃないなら、どういうしものなのか…”


【ふむ…私が何であるか、メイドと言うマジックアイテムと言う前に、何なのかが知りたいということですカ】

「そういうこと。人型の何かと言うことだけど、どういうものなのか…」

【そうですね…私を種族と言うか、道具的なもので言えば…ゴーレムの方ですかネ。生体部品もあるため、ホムンクルスも近いでス】

「ゴーレムか…」




 ゴーレム…それは、マジックアイテムの中でも、ちょっと曲者が多いモノ。


 現代の科学技術でのロボットなどに似つつも、その構造などは全く異なっており、所有者の生命エネルギーを利用して稼働するものや、再現できない魔法の炉心が仕込まれて半永久的に動くものなどもあるらしい。


 とある大国では、大型のゴーレムから取り出した炉心を利用して、超効率的な発電機を作り上げたなんて話も有るぐらいに、その性能はずば抜けたものも存在しているとのことだ。


「エリーゼも、そのゴーレムの類か‥」

【はい、そうでス。私の場合は、炉心を有したタイプ…ご主人様に負担をかけることなく、自由に独立して稼働できるようになっているのでス】


 これで何かしらの負担が生じるものだったら危険性もあったが、そうではない類。


 メイドとして主の身を危険にさらさないようにする工夫なのだろう。



「ちなみに、その炉心って見れるの?」

【んー…いえ、ご主人様が望まれても難しいですネ。私の奥底…ブラックボックス回路に、仕込まれているため、取り出すのはほぼ不可能でス】

「まぁ、それもそうか。大事な部分は、厳重に守っていてもおかしくはないしね」

【代わりに、非常時のサブ炉心はお見せできますヨ。3つありまして、今すぐに見せられるのはこちらの…よっと】


”っあ!?いきなり服をまくってお腹を見せたんだけど、このメイド!!”

”あかん、色々とアウトに…って、なんだ、何か操作したと思えば、何か開いたんだけど”

”なんだ、あの宝石のような…”



【これが、私の3つあるサブ炉心の一つ、『レッドコアブロック』でス。内部の賢者の石と言うものが、エネルギーを産みだす仕掛けになっているのでス】

「へぇ、サブ炉心が3つに、これがその賢者の石…ん?」


”…は?…え、『賢者の石』?”

”うぉおおおおおおい!?それ、マジックアイテムの一種で、噂になるほどの超激レアヤバイモノぉおおおおおおおお!!”

”好き勝手に貴金属を産みだせ、水につければ寿命や若さが手に入るという命の水も生み出すという噂もある、超特級激やば品なんだけど!?ギルドが全力でぶん殴りにくるレベル!!”


「…あ、もしかして、これ相当…不味い情報だった?」

【そうなんですかネ?私の製造されたラインでは、割と普通に量産型もあったような…】

”量産型!?え、その石が普通に量産されるものってあるの!?””

”配信ギルドーーー!急いで情報封鎖封鎖ぁぁぁぁぁあ!!”





…阿鼻叫喚のコメント欄が流れ、異土とエリーゼは目を丸くする。


 どうやらここにまた一つ、このメイドがやらかしたことが増えたようであった…

また一つ増えた、メイドのやらかし伝説

これがどれだけ積み重なるのか

そして苦労する人はどれだけ増えるのか

未知数であるが…次回に続く!!



…王道のやばい品物。なお、別作品では結構重要な部位にしてましたが、今作のメイドではサブにまで降格していたりする…

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