第六十九話 全力で眼をそらし
―――どこかの国か、あるいは個人か、はたまたは何かの組織によるものなのかは不明な通信妨害だが、このダンジョンを隠すためだとしたら、ありえない話ではないだろう。
出てくるモンスターの脅威はさておき、ダンジョン自体に関しては得られる資源を考えると、貴重なものだった場合は独占したくなってやらかした事例は色々とあるからだ。
それだけ人間の欲深さは全世界共通と言うべきか、愚かさによる歴史的大失敗の記録がある時点で色々と駄目だというべきか…
「何にせよ、そんな記録があるからろくでもない可能性はあったけど…」
【【【シャゲシャゲーーーーーーーーー!!】】】
「でたぁっ!!マグロっぽいサハギンの大群!!超速いんだが!!」
マグロっぽい外見に、手足が生えて全速力疾走しながら、大群で血走った目を向けて襲ってくるマグロサハギンの群れ。
海のダンジョンでは魚系統が出るとは聞くが、陸の上を激走するなと言いたい。
いや、マグロだからまだセーフなのかはさておき、武装が足りない異土たちにとっては脅威に…
【そいやっさっと】
ブォンッツ!!ボッゴォォォォォンッツ!!
【【【シャゲェェァアアアアア!?】】】
【糸で捕縛できますし、肉団子の状態で治療してストライクもできますね】
ギュチィイイイイイ!!
【【【グゲエエエエエシャァァァ!?】】】
【即席ポケットなので、ドロップアイテムが全部収納しきれないのが残念ですが、ガトリング掃射で十分デス】
ドガガガガガガガ!!
【【【ショゲェァアアアアア!?】】】
「…まぁ、問題ないか」
武装が乏しくなったとはいえ、そもそもの素のスペックで、エリーゼたちの方がはるかに凌駕していたようだ。
強靭な鋼の蛇の肉体が振り下ろされ、網状に締め付けてサイコロステーキのように細切れになり、数の暴力への回答例をぶつけて、大群は一気に処理される。
相手の数が多いのは、ここが隠されているのならば配信者が訪れないからこそ、間引きされていないので増えた可能性があるが…それでも、この面子ならば問題ないようだ。
ドロップアイテムの魚の切り身が大量に残り、中にはなぜか寿司の状態でドロップするものもある。
【幸い、こういう海洋生物系モンスターはドロップアイテムが食べ物のほうが多いので、食料には困りませんネ】
「ドロップアイテムの食料品のほうが、寄生虫の心配とかも無いんだっけか?」
【なっても大丈夫ですよ。私の力で治せますし。主様の身体を食おうとする蟲はぷちっと消しますからね…ふふふ】
治療面、食糧面、その分野に関してはこの状況ならば問題ない。
中には鱗や皮をドロップする者もいるため、しっかり現地調達で衣服も整えつつ、装備品もそろえていく。
とはいっても、特殊な装備品も無いのでサクラは普通に自前の鱗から盾や剣で問題は無く、クロハも糸や治療が可能、エリーゼは言わずもがな内蔵されている武器で色々と対応できてしまう。
もちろん、異土自身もローブが無いとはいえ、体術関係は鍛えられているので、ナイフ一つあればどうにでもなる。
「流石に、エリーゼたち程じゃないから、大群相手がきっついけどね…それにしても、数が本当に多いな」
【秘匿されていた分、適切な間引き無しでしょうカ。しかし、そうなるとここを隠していたものの狙いは、ドロップ品よりも…採掘して得られる資源の方が狙いですかネ】
ここまで数が多いと、下手すりゃモンスターの氾濫が…モンスター・パレードやらモンスター・カーニバルなど、地域によって様々な言い方が在れども、やばいことになりかねない。
そんなことになる前に適度に狩る必要もありそうだが、それをさぼっていたかあるいは…もっと何か別の目的があったのか。
何にせよ、先を行くしかない。
【ふむ、移動しながら妨害対策用の通信機も出来てきまシタ。あと十分もあれば、助けの通信や状況把握のために人工衛星をハッキングして上空からの確認ができマス】
「前者は良いけど、後半は犯罪にならない?」
【大丈夫デス。ご主人様に迷惑をかけないですし、あとで専用の衛星を作っておきますからネ】
…確かに、それならいい…いや、なんかさらっと人工衛星打ち上げることを言ってないかな?
一介のメイドがそこまでできて良いのかと思った異土だったが、エリーゼならば出来てもおかしくはないかと、少しばかりあきらめの境地に達しているのであった…
このメイドならば、知らない間に打ち上げていてもおかしくはない
迷惑をかけないように祈りつつ
少しづつこの場所の全容をつかんでいくのである…
次回に続く!!
…三連休で良かった今日この頃
そろそろ敵をしっかり出したいけど…新作もやりたいんだよなぁ…




