第六十五話 南の島『サンバルドル』
―――ダンジョンを内包する場所で、観光資源と化した成功例の一つ…海に浮かぶリゾート地となっている南の夢溢れる島、『サンバルドル』。
元々が出現時にどこの国の領土か争う光景も見られたが、リゾート地になった今では、かつては争った国々の人々が仲良くしている光景と言うのも、また時代の流れを見せて面白いものがある。
そして同時に、ダンジョンがあるということはそこで出現するものに対しての配信活動も多く、配信環境自体も相当整備されて凄くやりやすくなっているだろう。
だからこそ、数多くの生徒たちが合同で配信する環境もまた整えられているわけで…
「だからこそ、ここに合同配信の場を宣言するぜ!!みんな、用意は良いかーい!!」
「「「いぇぇぇい!!」」」
掛け声とともに、異土たちも他の同級生たち…同じ配信者たちの男子生徒たちは声をそろえる。
ここに来る道中でのワイバーンの襲撃で萎えた思いもなんのその。
青い海に白い雲、リゾート地ならではの豪華なホテルに温暖な気候と言うものは、人の英気を再び燃え上がらせるのには十分であった。
”わーい!!合同配信だ、全員集合だ!!”
”掲示板で見たけど、本当に全員無事でよかった”
”ワイバーンの襲撃があったというけど、良く助かったねぇ”
配信者たちの映像が流れ、次々に流れてくるコメント。
既に掲示板などで襲撃事件は知られており、隠している部分があって実は犠牲者がいたのではないかと不安にしていたものもいたようだったが、問題は無い。
犠牲者0…いや、正確に言えば航空会社が少々損害から目をそむけたくなるかもそれないが、それでもここにいる皆の命が無事だったから良い。
「いやほんっとうに皆で無事に合同配信が開けてよかった」
「墜落したとはいえ、それでも貨物室が無事になっていたおかげで、撮影用の機材とかあれやそれが壊れなかったからなぁ」
「まぁ、流石に全部の荷物が無事ではなくて、一部がちょっと燃えたようだけど…それでも、画面の前の視聴者諸君!!全員いるのが見えるだろう!!」
”ええそりゃもう、ばっちりと”
”一人でもかけていたら悲しかったけど…その前に一ついいでしょうか?”
「おや、なんだ?」
”リゾートならではの賑わう浜辺なのは良いですが…肝心の女性陣の水着は?”
「「「‥‥ふふふふ、それはもう、抜かりなし!!」」」
「しっかりと、別で着替えているよ」
コメントで出てきた言葉に、ガッツポーズを決めて答える男たちに続けて、異土がさらっと補足する。
本日の合同配信は単純明快、道中での落ちた気分は既に回復しているが、より一層やる気が出るようにと言うことで、海で遊び惚けることにしており…だからこそ、皆水着姿を楽しみにしているのだろう。
特に今、着替えている最中なのは異土のマジックアイテム及び従魔たち。
人外の存在とはいえ、美女と言って良い容姿の彼女たちの水着姿に期待が高まるのだろう。
…盛り上がるのは良いことなのだが、着替え終えてきた他の同級生女子からの目線が痛いことに、他の男子たちは気が付くのか…
(…というか、俺の方はまた別の痛い目線があるような)
嫉妬とかではない、もっと悍ましい何か。
視線から感じとれるのは軽蔑とか蔑視とかそういうものでは無くてこう、絶対にやりたくないものをやってほしいと願うようなねばりついた何かを感じ取る異土。
ぞわぞわとした悪寒に異土が身を震わせるが、この合同配信中には何もないことを願いたい。
【ご主人様、着替え終わりまシタ】
そこでちょうど、エリーゼたちの着替えが終わったようで…瞬時に全員の目が声が聞こえた方へ向けられた。
「あ、ちょうど終わったのか…エリーゼ、サクラ、クロハ」
【はい、しっかりと調整済デス】
向き直ってみれば、そこには水着姿に着替えた彼女たちの姿があった。
【調整し、ポケットは通常メイド服より減りましたが、機動力は増したはずデス】
エリーゼに関しては、元々メイド服を脱ぐことには少しばかり抵抗感を抱いていたとも口をしていたが、海辺での対応として水着メイド服なるものに変えたらしい。
何をどうしたのかと言えば、黒を基調としたパレオの水着にしており、豊満な胸元を覆うブラ部分からスカートのフリル部分に白色を付けて、メイド服寄りにしたようだ。
もちろん、色々な道具が入っている各種ポケットは普通のメイド服より目立つために外側にはついておらず、裏地の方に少ないながらも付けるのを忘れないようにしているらしい。
【オレとしては鎧を着たほうが良いが、こういうのも良いな!】
一方で、サクラが選んだのはゲームとかであるようなビキニアーマーのような水着姿。
赤を基調とした金のふちで形作られた中々立派なもので、肝心な部分は鋼の鱗を大きくして防御を固めており、むしろ普段の鎧から解放された部分がむにゅっと押されて強調された姿になっているだろう。
【ふふふ…主様、いかがでしょうか?】
緩やかに微笑みながらクロハが見せるのは、ストレートな黒ビキニ。
金のリングで結び目を補強しており、彼女たち共通の豊満な双丘に少しばかり悲鳴のような音を立てつつ、蜘蛛の巣のような模様を同時に施して似合う姿になっている。
…サイズがあっているものにしていると思いたい。一応、糸で補強しているというが、わざとではないとも思いたい。
「うん、皆しっかりと似合っているよ」
【ありがとうございマス】
【んー、個人的には防御面がもう少し欲しいが…】
【ふふふふ、嬉しいです】
異土に感想を述べられ、嬉しそうにするエリーゼたち。
その姿を見て微笑ましそうに見る者たちや、美しさに目を奪われるもの、配信者たち以外の利用者たちも見ており、色々と感じ取れるものがあるだろう。
とにもかくにも、道中はワイバーンで大変だったとはいえ、それでも無事に合同配信を開始し始めるのであった…
「ところで、海で遊ぶ姿の配信っていうけど具体的にはどうする?」
「やっぱりビーチバレーやフラッグ、スイカ割りが定番でしょ」
「いや、ここスイカ無いって。前にオバケスイカとかいうモンスターを密輸した人たちがやらかして、大変だったから禁止したとか‥‥」
…過去にやらかした人の影響で、やれないこともあることも確認したほうが良さげである。
色々とやらかしている影響はある模様
モラルやマナーはしっかりと守って、他に迷惑をかけないようにしつつ、
合同配信がゆったりと…
次回に続く!!
…今年もよろしくお願いいたします




