第六十四話 嫌な予感は広がるもので
…ワイバーンの襲撃は無事にやり過ごせたと言って良いだろう。
大多数が大きな銀刃に振り回され、なぎ倒され、わずかに残っていた者たちもすぐに逃走を図った。
おかげで、海上に漂うだけだった旅客機も損傷を受けず、救助までの間にそれ以上の被害が出ることはない。
また、幸いなことに海上を漂う羽目になったとはいえ、旅客機株の損傷個所は、エリーゼたちが貨物室から飛び出す際に、荷物の保護のために塞いでいたようで、他の同級生や乗客たちが持っていた機材等も浸水を免れ、二次被害が出ることも防げていたようだ。
そのため現在、後は救助信号を確認した…あと少しの距離だった南の島からの牽引用救助艇が来るまで待機と言うことになるのだが…
【【ガタガタガタガタガガタガタガ】】
「えっと…その、サクラ、クロハ、大丈夫?」
【だ、大丈夫だと、言いたいけど、無理だぜ、主殿、さぶさぶ…】
【南の島が近いのに、氷海に落ちて、きつかったので…主様温めて…はぅぅっ…】
【…そういえば、私はマジックアイテムなので大丈夫ですが、お二人は従魔…生物なうえに、そもそも寒さへの耐性が種族としては弱い方でしたネ】
毛布に包まれつつ、異土に巻き付き絡みつき、暖を取るサクラにクロハ。
あの氷の張った海に落ちたことで、一気に体温が奪われたらしい。
と言うかそもそも、何で氷があったのかと言えば、エリーゼの腕武装の一つに最近追加したものがあったようで、氷つかせて足場に…と思っていたようだが、いかんせん、旅客機の漂流状態なので、迂闊に全部凍結させたら被害が出かねないと判断して出力を下げて、結果として氷の強度不足につながったようだ。
そのせいで、着地した時に見事に海に落ちる羽目になった。
「一応、替えの着替えはあったから良いけど…そんなに冷たい海に?」
【水温、マイナスになってますからネ。一応、周辺の環境の影響もあり、数日ほどで元に戻りますが…】
どんだけ冷やしたのだろうか、その攻撃で。
「周囲の生態系大丈夫か‥?」
「いやまぁ、あの氷も徐々に溶けているから、タイタ〇ックのようなことになる船は出ないとは思う」
「でもなぁ、あの状況は羨ましいな」
ぎちぎちと従魔二人…モンスターとはいえ美女に抱きしめられている姿に、異土へ嫉妬の目線が集まり、じわりじわりと刺すようなな感覚を味合わせる。
【そもそもの話ですが、何故ワイバーンが出現したのでしょうカ?】
「「「いわれてみれば、まずそこが問題だよなぁ」」」
そんな中で、主のためにと言うか、現状の問題点をぼそりとつぶやいたエリーゼに、全員が同意の声を上げた。
ワイバーン…彼らの出現情報は、無かったはずである。
この近隣のダンジョンであるのかと言われればそういうのものも無く、そもそも空や海にモンスターが流出してきたら色々と不味い案件になるため、討伐などの管理がされているはず。
完璧にできないのはわかっているため、ある程度の事前警戒エリアなども用意されており、多少はどうにか戦うわずに逃げる方面かもしくは防げるようになっているはずだが、今回はそれが無かった。
「そうなると、ありえるのは…新しく、この近隣にダンジョンが出来て、そこから出てきたとか?」
「馬鹿な、ワイバーンが出現する規模のダンジョンが、この付近に出てきたのなら、それはそれで騒ぎになっているとか、発見されるはずだが…」
新ダンジョン出現によるワイバーン流出。
それが可能性としてはあり得るのだが、それはそれで大問題なのは間違いない。
嫌な予感を抱かせつつも、救助艇が接近してきたので一旦そちらの方に、皆の意識が向くのであった…
【でも、またワイバーンが来たら嫌だな。主殿を守るために、出来れば遠距離か対空攻撃手段を増やしたいところだが‥‥】
【いざとなれば、主様を抱いて、全速力逃亡を図りましょうか…】
【んー…量産型の私には飛行ユニットはないですし…いざとなれば、お二人を腕でつかんで質量の足しにして、ロケットパンチでまとめテ…】
【【ワイバーンごとやらないでほしい】】
増やしたい攻撃手段
しかし今は、南の島の方にも意識を向けたい
やるのならば、こう飛行ユニット増設かあるいは…
次回に続く!!
…対空戦闘経験が少ないのも問題か




