第六十話 悪だくみは抜きで
―――世界に出現するダンジョンには、様々な種類がある。
基本的には地下へ向かうものが多いが、中には何か別の付属品が付いていることもある。
それは天高くそびえたつ塔だったり、あるいは移動する飛行物体だったり、はたまたは巨大生物だったりと色々なものもある。
そう、中にはより大きな島そのものがダンジョンとして出現したりして、時たまダンジョンに関する学説での異世界のものが転移してきたものではないかなどを裏付けるようなものが出るのだ。
「そして今回、合同配信で向かう南の島も…そのダンジョンの一種か」
【そのようですネ。周辺に海底火山も無く、水深も本来ならかなりある場所で、ある日突然出現したようデス。未知の島なので、当然各国が領土を主張したようですが、ダンジョンでどぶっと溢れ出まして…】
獲得しに向かった軍隊を飲み込んだ、モンスターの軍勢。
あっという間にこれは争っている場合ではないと、すぐに国々は軍勢協定を結んで速攻で一掃したのだが…いかんせん、海の上のダンジョンとなると、適当に放置するわけにはいかない。
海洋に進出されては漁業やその他諸々、面倒事が確実に起きる。
しかし、軍を駐在させるとそれはそれでダンジョンからの資源を独占される可能性もある。
そこで、国々は思い切った奇策に出た。
【配信者向けの、リゾート地としての魔改造…観光資源として利用してよし、配信に寄るモンスターの間引きや資源確保、状況確認などの利点が多いことから思いのほか…】
…かなりの利益が出てしまい、それ以降の何かしらの付属物付きダンジョンで似たような政策を行い、大成功や大失敗などが多々見られるようになったという。
何にせよ、人の欲望をうまく使った成功例としてあげられる一つの南の島。
その場所での合同配信は期待が高まるというもの。
「楽しみだなあ、配信抜きにしても一度は行ってみたいロマンがあるしね」
【しかし、ダンジョンの付属品ですカ…何事もないほうが良いのですガ】
色々と楽しみな異土とは対照的に、エリーゼはどことなく不安を覚える。
自分がいるからこそ、大事なご主人様への危険はできるだけ排除するところだが…いかんせん、今回は合同配信であり、全てに目が通せるわけではない。
未知の可能性も否定できず、彼女もまた準備を進めておこうと思い、動き出すのであった…
「ところで、サクラ、クロハ、それは?」
【コンテナに詰め込む毛布だ。隙間はないが、空の旅は寒くなる可能性もあるからな…】
【主様と過ごす、海岸での水着セットですよ。結局、私の糸で作ってみたのですが、色々デザインが決まらなかったので、到着までの間に決めたいですね】
【あ、少なくとも配信の規則に引っ掛かるような過度なものは事前に選別してますのでご安心くだサイ。見張ってなければ、紐水着やりかねませんでシタガ…】
「それはもはや、水着なの‥?」
…配信は、しっかりと規則を守りましょう。
なお、ギリギリのところで理性と、
自身の大事な人の前以外ではあまり晒したくないかもという乙女心が勝っていた模様
流石に過度なものは控え…れるのかな、これ。
次回に続く!!
…まず無事に、到着できればいいけどね




