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第四十八話 そもそもの話なのだけれども

―――元々、この配信者が学ぶ高校に設営された寮内には、基本的にペットの飼育は禁じられてはいない。


 配信の具合によってはペットと一緒に配信したり、過去には何らかの拍子で従魔を得てしまい、そのまま一緒に住むことになることもあったので、飼おうと思えばできなくはないのだ。


 収入やペットの世話などの要因で、なかなか踏み切れないものもいたりするが、それでも0ではない。


 だがしかし、普通の犬猫ゴリラなどの見た目がガッツリ獣な者たちならまだしも…



「普通に、ほぼ女性のような外見のモンスターな時点で、男子寮を出歩いてほしくないという苦情が出たので、皆女子寮の方に部屋が割り当てられたのでそっちで生活してほしいとのことです」

【【【あー…】】】


 寮から通達されたその内容に、エリーゼ、サクラ、クロハの三人の顔が、納得しかない表情になる。




 そう、これもある意味配信者の宿命と言うべきか、クレーム対応…いや、ある意味当たり前に起きてしまうことと言うべきか。


 それとも、これまでこの寮で一緒に生活できていたのはまだ温情があったというべきか。


【と言うか、普通は私たちのようなのがご主人様と一緒にいる方の嫉妬関係のクレームが多そうなものなのですけれどネ】

「それもあると言えばあったけど…どうも、普通に男子寮内をうろつかれたりするのが物すっごく嫌だったみたい。風呂上がりの色っぽい姿の刺激が強かったりするのもあるけど、パンイチでうろついていたり、バカ騒ぎしている姿の目撃をされたりしているのが…こう、心に来たって」

【いやまぁ、我らは別に気にせぬのだが…】

主様(ぬしさま)以外の方は眼中にはないのですけれども…}


 よくありそうな嫉妬や怨嗟からと言うよりも、思いっきり男子としての沽券に関わりそうな部分からくるクレームだった。


 


 とにもかくにも、そのような事情があるからには、学校側からも動かないわけにはいかない。


 ペット禁止、従魔禁止と言うわけでもないのでこれまで同室だった部分は見過ごされていたが、出てきた以上は風紀の関係から言っても放置するわけにはいかないだろう。




 そこで今回、特例措置として…マジックアイテムや従魔だとしても、青春真っ盛りな男子生徒たちの側から離れさせるために、女子寮の方に彼女たちのための部屋を用意し、そちらで過ごしてもらうことにしたのだ。



 まぁ、そもそもの話なのだが…流石に、この面子が集うと物すっごい部屋が見っちみちのおしゅくらまんじゅう状態なので、遅かれ早かれ部屋をどうにかしなければいけないというのはあっただろう。


 それに、特に出て行ってもデメリットとかは…



【主殿に仕える身としては、離れるのは嫌なのだが…仕方がない事であろうな】

【むぅ、私としては主様に仕えて早々に、離れて暮らす身になるのは納得しづらいですけれどね…】

【メイドの身としても、ご主人様の側を離れるのは避けたいですが…いかんせん、その学生生活の都合を考慮すれば、仕方がない事なのデス】



 それぞれ思うところはあるようだが、我がままを通す気はないようで、離れて暮らすことは了承するようだ。


 異土としても、元々エリーゼが来る前からここに一人でいたので、文句を言うようなこともない。


 いや、言うことはないのだが…


【まぁ、問題ないですネ。離れてもすぐに向かえますように、ちょっとここに転移装置ヲ…】

「おいこら、何さらっとやべぇものを作ろうとしているんだよ」


…こっちの暴走のほうが、目を付けていないからこそやらかされる可能性のほうが、不安でしかない。


 見ているからこそ、安心して暴走する前に抑えやすいのだが…それが無くていいのだろうか。



 何にせよ、難しい問題などを考えても



きりがないので、エリーゼたちは今後女子寮の方で生活してもらうことにしたのであった…



【いっそ、主殿も女子寮に来ればどうだ?】

「いや、絶対に無理だろ」

【それが、そうでもないかもしれないデス。こちら、もしもご主人様が女装すれば、女子寮に来ても大丈夫ではないかと言うアンケート結果がございまして…】

【おお、主様。女装するなら衣服、糸提供しますよ】

「絶対にしないからな!?と言うか、誰だこのアンケートに投票したやつ!!」

【校内90%以上の女子生徒から、公平に頂いたものデス】





―――世の中、ろくでもない人しかいないのだろうか。

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