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第四十七話 ストマックラッシャー

 配信者は、気温的に自己責任な部分も多い。


 ギルドが作られて、ある程度の保険などがあったとしても、ダンジョン内での事故等…多いのはモンスターの突発的な襲撃による大怪我などの対応に関しては、流石に対処し切れない部分が多い。


 しかしその反面、ダンジョン内で成長し、レベルアップすることで、常人以上の力を持つようになってきた配信者に関しても放置するわけにもいかず、あちこちで管理して犯罪者に堕ちたりしないように面倒を見ていることも多い。


 だが、流石に限度を超えたものも出たりするのが、ダンジョンに関わるものにまつわる不思議なこと。


 物凄いマジックアイテムが出てきたり、確実に手に負えないレベルの厄災と言って良いようなモンスターが爆発したり、はたまた…




「…従魔を得たのは、百歩譲ってまだ良い。召喚石に関するランダム性は、完全にギャンブルレベルで、同行できるものではない」

「けれども、出てきたのが非常にヒーラー適性の高すぎるアラクネとなると…」

「アパレル、医療関係からの問い合わせがぁ…色々と来るのが…!!」



…配信者たちの大元になっているギルド。


 各ダンジョンごとの管理部門…初級から上級、色々と担当している部門が異なる中で、カスタマー関係を担うカスタマー部門の面々は今、地獄を見ていた。



 中級ダンジョンアルゴニアの行方不明事件に関する問い合わせによるものも多かったが、解決して減ったわけではない。


 いや、むしろ解決して公表された情報があるせいで、問い合わせが増えたというべきか。


 原因として挙がるのは…今回新たに異土の従魔となったアラクネ…いや、正確な種族名は『ミリタリー・タラテクト』のクロハが彼らの負担の大きな要因となっていた。


 


「従来の蜘蛛系とは異なる糸がありそうだし、ヒーラー系だからこそ毒ではなく薬のようなものも分泌できるらしいし、あちこちからの方面が知りたがっているのが多いぃ」

「確かにポーションとは違うヒーラーってのも貴重だけど、色々とこっちにやってくるんじゃねぇ!!」

「でも、直接押しかけて聞けよと言うと…ああ、無理だろうなぁ。容姿の美しさから、モデル関係にも…」


 アラクネ自体が残虐性が強いという話も有るため迂闊にやらかせば被害者が出かねないが…聞いた話では従来のアラクネとは異なり、冷たい目をしながらも主に対しては暖かい…いや、どちらかといえば捕食者のような目をしているようなので、外に向けられることはないはずではある。


 そのうえ、そもそもその主の周囲にはマジックアイテムのダンジョンをぶち抜けるメイドに、強靭な耐久性を誇るアイアンナーガ…下手に刺激を与えればそれらの危険な爆弾もついてくるというおまけつき。


 そんなものに対して、やすやすと直接突撃して問い合わせができるだろうか。いや、無理であろう。

 下手に怒らせれば、それが辞世の句となる質問になりかねない。


 迷惑系配信者が、密かに狙っているという情報もあるが…汚いハナビとして消し飛んだほうが楽ではある。いっそ危ない扉でも開いて、どこかに通い詰めでもしたほうが経済には良いだろう。


 それでも一応は、残虐性で有名な従来のアラクネとほぼ同じ容姿だからこそ、危険性があるかともいう警戒心を抱かせて、突撃しに来るような馬鹿も出にくいという抑止力があったのは、まだ良かったというべきか。



「でもきっつうううう!!確かにさぁ、薬とか外科手術とかなくてキレイに治せるとかって話はあるけど、求め過ぎでしょぉおお!!そんなに治す時に痛いのが嫌な奴も多いんかい!!」

「アパレル業界の方も、未知の糸でもっとすごい服が作れるかもとか、気合込めての先行投資しようとかまだくんなぁぁぁ!!既存でも文句言うだろうしそうでなくても色々やらかすだろうし、どないせいっちゅうねぇぇん!!」

「他色々と面倒事も来るから、やめろぉおお!!」


 兵器だとか、鉄壁だとかそういう部分で求める者もいないわけではないが、何よりも人を癒せる力を持つというのは、それほどまでに価値が高くもあること。


 ダンジョンでの配信に限らずに活かせる場面が多いからこそ、求める声はやまない。


 そのため、悲鳴の声はもうしばらく上がり続けるだろう。





「…といった具合に、阿鼻叫喚の地獄絵図となっているカスタマーもそうだが」

「上は上で、さらに面倒な…」



 カスタマー部門が地獄を見て、上は何もしていないわけではない。


 いや、むしろそれらに対応するための手回し等を行うために、さらなる地獄を見ていたというべきか。



「医療系になら従来の現代医療技術では治療不可能な病気へ治療への光や、アパレルだけにとどまらずその強靭性での各業界での使用する者への新材料の拡張など、やることなすことが多い」

「情報を快く提供してくれているようだが、それでも手が足りねぇ!!」

「ゆっくり休ませる暇をくれよ、胃を壊す気かあいつらはぁあーーー!!いや、そもそも未だにあのメイドとかナーガの方でも片付き切ってねぇのになぁぁぁ!!」



 法律上の問題だとか、個人ゆえに人権だとか、相手がモンスターでも従魔だからこその所有権やその扱い…色々と山のように積み重なるもの。


 その胃への負担は大きく、他への医療よりも今、自分たちの方にやってほしいと心から思う者たちが多いのであった…。








「…何か今、ものすっごい心からの悲鳴が聞こえた気がする」

【気のせいではないですかネ(聞こえてますガ、ご主人様の方が優先なのデ)】

【大丈夫だとは思うがなぁ、主殿(…気にしなくていいよな?)】

【大丈夫ですから、ほら、こちらのリンゴをむいてあげましたのでどうぞ(壊れても治して働けますからね)】


ーーー想定以上の阿鼻叫喚な光景が伝わるかは…定かではない。



【ところで主殿、先ほどから書いているそれは?】

「ああ、寮からの手続きので…やっぱ人数が増えたから…」



ガチの異世界物ならばいざ知らす、

こういう場所だからこそ、癒せる人員ってのは貴重であり、

だからこそ他への負担が…

次回に続く!!



…普通の治療よりも、魔法のようなもので治したいって人は、どこにでもいたりするのである…

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