第四十二話 相手さんのほうが混乱する
―――緊急クエスト、寄生キノコことパラサイトノッコリスの討伐。
時間との問題、寄生生命体の範囲拡大に対して、悠長にできるわけがない。
だがしかし、それでも相手は待ってくれるわけもなく…
…ボゴボゴボゴボゴォゥ…!!
中級ダンジョンアルゴニアの最奥部。
不気味な音をたてた巨木…いや、その内部にはこのダンジョンの最終ボスであったはずの、マザータラテクト…及び、ダンジョンの核となるダンジョンコアを内包した巨大なキノコ、パラサイトノッコリスは今、猛烈に不気味な音を立てながら膨れ上がっていた。
【ギノギノギノギノゥ…】
ぎちぎちと音を立てて、破裂しかけている風船のような状態。
けれどもまだ、その内部に内包された胞子が…蜘蛛以外にも通用するほどまでに魔改造を施した濃厚な胞子が増殖を続けており、限界を超えたその先を目指していた。
寄生生命体としての、種の存続のために…その全てを、自分の獲物として、苗床にするための準備を行っている途中だったが…その邪魔が入っていることに気が付いてた。
ドォオオオンン!!
【ギノッ…!!】
聞こえてきた爆発音。
自分の胞子で生まれた別の寄生体と情報を共有すれば、またここへやってきた配信者と呼ばれるような、取るに足らない苗床たち。
だがしかし、パラサイトノッコリスは油断する気はない。
彼らがいくら集まろうが、生物であれば寄生すればいい…今までは蟲たちにしかできなかったが、度重なる研鑽を積んだ末に、それ以外も可能になった。
全てが自身の苗床に…と言いたいところだが、そうたやすくできていないのはわかっているのだ。
噴霧される、焼けつくような液体。
一瞬で蒸発し、消し飛ばされたということが理解できぬ熱量。
いつの間にか使われた道具に、自分自身が無力化される。
たとえどれほど耐性をあげたとしても、根幹を絶たねば意味がない…ならば、相手が向こうから来てくれたのならばむしろいい機会だ。
しいて問題を上げるなら…
【ゴリゴリウォホォオオオオ!!】
【ゴリラタクティス、ベリーフィジカリアァァァ!!】
【…ギノ】
…大きな鎧の蛇女はともかく、なんだろうか、このゴリゴリのむさくるしい生物たちは。
寄生できない対象ではないようだから、蜘蛛たちで寄生させて操ることはできてはいるが、そうした瞬間にすぐにその肉体が消え失せ、別の猿モドキのようなものが出現し、防がれる。
正直言って…きもい。
寄生する相手としてはベストなフィジカルがあるだろうが…数回ほど寄生を試みてはあえなく無力化されるその様子に、諦めとなんとなく感じた嫌な予感に胞子を噴霧するのをやめておく。
それよりも、警戒すべき相手をより見るのならば…彼らの中にいる、奇妙な生命…いや、なんだろうか、生き物なのだろうか、あれは。
このダンジョン内に広がった胞子たちからの情報では、確実にあれが自分の寄生を無力化する道具を作っている輩であり、最も警戒すべき相手だろう。
…だが、それと同時にその対処法も見つかる。
戦いの中でサポートのようにして動いているが、その行動の中心にいるのは…苗床たちの中で、一番か弱そうな少年の姿が見て取れる。
その見た目に限らずに、気配が薄く、動きも恐ろしいほど素早いが…ああ、あの蛇女の方も彼を守っているように見えるから、あれが弱点に違いない。
ならば、話は早い。
狙うだけ、どれほどの強者でも持つ弱点を、的確に付き入れる。
あと少し…もう少しだけ熟成すれば、全てを終えることができる。
だからこそ、その少しのために…パラサイトノッコリスは短い時間の間に仕掛けるのだ…
爆発まで秒読み状態
けれども、だからこそそのわずかな部分で生じる隙を潰すために動く
だが、寄生生物では予想しきれないだろう…その深淵を
次回に続く!!
…狙っちゃったか、コレ




