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閑話 配信者言えども本分を忘れずに

―――配信者たちは、配信を行って利益も得ている。


 配信一本だけで食べていけるほど世の中は甘くはなく、だからこそそれ以外のものも大事にやっていく必要があり…




「…学生の配信者であるならば、しっかりと学業にも身を置いて学びをおろそかにし欲しくはない。知識が無ければ、いかに初級だろうとも死に至ることもある…ゆえに、ダンジョン学の授業も諸君にはしっかりと身に着けてほしいところだ」


…授業のカリキュラムに組み込まれている、ダンジョンが出現して以来追加されたと言われている学問の分野、そのまんまの名称としか言いようがない『ダンジョン学』。


 この授業に関しては、ダンジョン内で配信を行う生徒たちには必須科目として義務付けられており、この授業内ではダンジョンに関して出現から今に至るまでの歴史や、現存するものや滅びたもの、初級から上級までに出てくるモンスターに関して等、学べるものも多い。


 そのため、必須科目として授業時間が増えるのを嫌う人もいるが、その分得られるものも多いために完全に嫌う者もおらず、むしろ将来配信しようとしてまだ配信者になっていないけれども出席する生徒もいるのである。



「さて、本日の授業はダンジョン構造に関しての授業だが…」



 軽くさらっとおさらいするが、基本的にダンジョンは、この世界に出現してから様々な物が確認されているが、上級~初級でわけられているのはまだその難易度に関してのもの。


 出現するモンスターの強さなどで割り振られているが、そもそものダンジョン構造自体も一種類だけではない。


 全て同じじゃないからこそ、配信の場としても盛り上がるのだが…把握しておかないと結構大変なことにも出くわしやすい。


「洞窟のように、下へ下へ下がっていく岩ばかりの『基本型』、塔の形状で天高くまでそびえたつ『タワー型』、限られた時間の時のみでしか確認できない『特殊型』…ああ、怪奇現象ダンジョンなどがこういうものに該当したり、その他にも様々多くあるが、どれもに共通することは、見かけ以上の容量を保有することだろうか」


 外から見るとそこまで大きくはない。


 しかし、中に入ればそれこそ別世界かと疑いたくなるほど、各階層が広く大きいということだけは、全てのダンジョンに共通しているのである。



「そのため、一説によれば別の世界そのもの…あるいはその縮図が、ダンジョンの階層として存在しているのではないかともいわれている」


 なお、単純にダンジョンの壁をぶち抜いて全容を確認できないかと言う話も有ったが…そもそもの話、ダンジョン自体が相当頑丈なために、貫通させることがほぼ難しいのだ。


「なお、各自の資料の中には、貫通事例もあるが…直近だと、とあるマジックアイテムのメイドがぶち抜いた記録もあるが、そういうのは特殊な事例だと考えてほしい」

「ちなみにですが、複数あるってことはやはり、試した人はいたと…」

「そうなるな。しかし、大概の場合は酷い目に遭うことも多く…かつて200以上あった国が、一時期100以下まで減りかけたという事例もあるからおすすめはしないぞ」

「うげぇっ」

「何があって、そんなに…」


 過去の痛みを知るからこそ、後世へしっかり伝えたいのだろう。


 一時期はその国際的な協力が強まって、どうにかこうにか押し返して復興したらしいが…余裕が出てきたら、悪だくみをしてしまうのもまた人である。


「ダンジョンの国有化、占有、資源の独占に奪い合いによる争い合い…正直言って、モンスターよりも人間のほうが恐ろしいではないか理論もまた強まったものだ」


 とにもかくにも、様々なことがありつつもどうにか人々は乗り越え、今に至る。


 配信者と言う存在が出来て、ギルドで管理したり、そこから得られる情報をもとに危険なダンジョンに関してより徹底的な対策を行えたり…本当にうまく形作れたのは、ここ最近のことだと言って良いのだ。



「とりあえず今も、人の命を脅かせる可能性もあるモンスターが出現する場所…配信者と言う存在でどうにか討伐できることが示されても、『容易く命を落としかけない危険な場所』と言う認識だけは、しっかりと持ってほしい」



 色々分かってきたことがあったとしても、それでも謎はある。


 そして同時に、危険性は変わっていないという点から油断はできないことも示されたのであった…



「ところで先生、一つご質問」

「なんだ?」

「よくある悪の陰謀論的な物って、ダンジョンにもないのでしょうか?」

「…あると言えばある。眉唾物が多いが、例えば何かの組織が儀式で生み出したとか、あるいは人知を超えたものが当てた試練だとか、実は一つの生命体だとか…まぁ、そこまでわかっていたらそもそもダンジョン自体が出現せずに済む方法も得られただろう」


…いつのご時世、どのような状況だとしても、そんなことをいうものがいるのである。


 本物が混ざっていても、否定できないのが恐ろしいが…

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