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第三十話 藪を突けば鬼蛇が出て

…召喚石によるギャンブル性と言うのは、基本的に外れが酷いものが多い。


 だがしかし、その分当たりを引けば凄まじいものも出ることがあり…だからこそ、今回、異土が見せてしまったその運は、メイドで運を使い切っていなかったのではないかとまで言われるだろう


「…だからこそ、後で運の揺り戻しが怖いが…無いことを祈りたいな」

【大丈夫ですよ、ご主人様。例え、何が来てもお守りしますからネ】


 

 正直なことを言えば、そういうのが来るのならば、普通にソシャゲのガチャとかできてほしくはある。 

 

 だがしかし、そううまくいかないのは現実であり…いや、だからこそ、中級ダンジョンへ挑む羽目になっても、ある程度の安心感を得られることと引き換えと考えらば、むしろプラスになったと考えるべきか。




”何か不安っぽいけど、中級ダンジョン『ゴブリニアスト』でもこの面子なら大丈夫な気がする”

”と言うか、異土君にエリーゼちゃんは分かるが…なんか、増えてない?”



 配信コメントの中で、不安に対して励ましのコメントもある中、気になる様子も見えてくる。


 まぁ、無理もないだろう。何しろ、面子が増えているのだから。



「あ、えっと…多分、この子のことか?」

【---オレのことか】


”うぉっ!?でっか…何、この鎧の女性…額に、大きな角が…鬼?!”

”違う…でっかい蛇の下半身に…鎧を身に纏った、大きな盾と剣も構えた…武装したラミア!?”


 視聴者たちの目に映ったのは、異土やエリーゼよりもはるかに大きな体格をした鎧武者。


 大きな体格に褐色の肌色に、灰色のようなウルフカットのショートヘアーと額から伸びた大きな角。


 ギラリと牙をきらめかせつつ、その両手にはそれぞれ大盾と大剣を装備しており、目つきは鋭く凛々しい美しさを持った鬼と蛇を混ぜ合わせたようにも見えるモンスターの姿だが、未知と言うわけではない。


 何しろ上半身は鎧で武装しているが、その下半身はむっちりとした鋼色の鱗を持った大きな蛇の身体を有しており…先日のラミアとはまた違った強者のようなたたずまいをしているのだ。


…召喚石での従魔となるモンスターの種族に関しては、ドロップした相手と同族が出るという決まりはない。


 もしもそうであるのならば、ドラゴンを出すためにドラゴンから召喚石を狙う人が増えるはずで…召喚されるのは、完全にランダムでもあるようだ。


 だがしかし、今回は偶然だがほぼ同じ同族が出たのである。


 いや、むしろ別方向に…あのラミアが腐食毒を扱うからめ手の使い手ならば、こちらは真正面から敵を叩き潰す方向性に出たというべきか。



「まぁ、そもそもラミアとは違うというか、似て非なるものと言うか…召喚石で得た情報だと、『アイアンナーガ』らしい」


―――

『アイアンナーガ』

上半身が女性、下半身が蛇のラミアやナーガと同じような姿をしつつ、金属以上の硬度を持った鱗で武装するナーガの一種。

下半身の方はその鋼より硬い鱗で守られており、上半身の人型部分も武装で包み、全方位でガッチガチに硬く、守りにはたけているが、その反面蛇系モンスターの特徴的な毒攻撃が使用できなくなっている。


その代わりに装備は彼女たちの鱗から創り出されており、例え破壊されようとも一枚剥がすだけですぐさま剣や盾に自由自在に変化させ、その硬度を武器に戦うことができ、猛毒の搦手から正面から殴り倒す方面に切り替わった進化だともいわれている。

―――


”アイアンナーガ…ナーガの一種だけど、ここまでがっちり武装するのかよ。というか、あの盾と剣は鱗で出来ているの?”

”ガッチガチのタンクになるやつじゃん…何気に、異土君たちの面子で足りないところ補う役になっているし…”



 そう、彼女はその硬度ゆえに、異土たちには足りなかった前衛のタンク役をすることができる。


 毒を扱うことができないが、その代わりに正面から受け止め切って相手を叩き潰せる…それが、このアイアンナーガと言うモンスターなのだ。



「ついでに言えば、その硬度はエリーゼのお墨付きだったりする」

【私のライトカノン、加減版とはいえ正面から受け止め切って無傷でしたからネ。‥‥ちょっとショックですが、ご主人様を守る手段が増えたのは喜ばしい事デス】


”あのダンジョン貫通した砲撃を無傷で!?”

”加減版とか言っているけど、それでも相当無茶苦茶な防御力をしてんな!?”

”あ、何気に自分の武器が通じない相手に、少しだけ落ち込みエリーゼちゃん可愛い…”


 一番最初の方で、エリーゼが見せた攻撃を耐えきったその事実に、驚くコメントが並ぶ。


 その耐久性能は今後の配信の中でも相当役に立つだろうし…安心感が増えるのならば、問題は無いはずだ。



「と言うわけで、せっかく新しい仲間が増えたから、今日は中級ダンジョン『ゴブリニアスト』で一緒にその実力を見ていきたいと思います!」


 そんなわけで、本日の配信はこの中級ダンジョンに挑むものにするのであった…




【というか、貴女普通にしゃべれるんですネ】

【…正直、そこまで得意ではない。だが、我が主の忠実な盾として…役目を果たすことは約束しよう】

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