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第二十六話 やらかしはじわっとどころかぼわっと

―――ガスと言うものは、大抵の場合は着火して大爆発して何もかも吹き飛ばす…そんな手段として、利用する人が多いだろう。


 配信者の中には、ガスのド派手な大爆発を利用して戦隊ヒーロー風配信者になるものや、どこかのガスが湧き出る中級ダンジョンで厳禁な火を使って逮捕される迷惑系なども存在しているが…そのイメージだけが、ガスではない。


 着火して大爆発だけが、その本領ではない。


 中には、元となったものの性質をそのまま有していることもあり…だからこそ今、その凶悪な性質が周囲へ広がりを見せるものもあった。



ーーージュッツジュジュウウウウ!!

【【!!】】

「何?…ガスが、ダンジョンを溶かしている?」


 ビームと腐食毒液によって生じた、大量のガス。


 下に行かずに上に向かっていたようだが、嫌な音がし始めたかと思えば、どろどろとダンジョンの天ジョンが腐食し始めたのだ。



【不味いですネ。腐食毒ガスになって、周囲を‥ッ】

【シャゲェェ!!】

ドガァァンッ!!

【しまっタ!!】



 周辺の変化に気がついたエリーゼだったが、その一瞬のスキをついてラミアが大きく尻尾を振りかぶり、弾き飛ばす。


 弾き飛ばした方向は横なぎではなく…


「しまった、上だ!!ガスの中へ!!」


 空中では動きがとりづらいと考えたのだろう。


 腐食毒ガスがたっぷりと溜まり切った天井へ吹き飛ばしたのだ。


「エリーゼ、そのままだと腐食に!!」


 そのままなすすべもなく、天井に激突すれば、その周囲を覆い尽くしている腐食毒ガスの中へ入れられて全身腐食されるだろう。


 すぐに全て溶け切るとは考えたくはないが、それでも猶予は…


【…仕方がないです、ご主人様!!いったんカメラを切ってくだサイ!!】

”え、何、どうする気なの!?”

”腐食で身が溶ける様子を見せたくはないというより…まさか””

「そうか、わかった!!」


 何をしたいのか、異土はすぐに理解した。


 配信映像が下手にBANされないようにと言う配慮も考えてなのだろうが、それよりも本当は身の安全を優先してほしい。


 そんなことも考える暇もすぐにはわかないが、スイッチを切り替えたのを見て、エリーゼはガスに当たる寸前に、あるものを利用した。


【オープン、メイド!!】


ボンッツ!!

【シャゲェッツ!?】



 カメラが切れて配信映像が途切れると同時に、エリーゼは素早く手をビームから元の手に変形させ、後ろに回し、強化メイド服のパージスイッチを押した。


 その瞬間、爆散するがごとくガスに突入した瞬間にメイド服がはじけ飛び、まとめて周囲の腐食毒ガスも吹っ飛ばす。


「パージがこういう形で使えるとはな…」


 絶対にいらないだろうと思っていたが、こういう緊急時の脱出手段としては有用だったようだ。


”うぉおおお!!映像が途切れているけど、音声だけあるからどういう状況なのか嫌でも理解させられるんだが!!”

”パージ機能での脱出!!ロマンあるじゃん、でもエリーゼちゃんだと確かに配信に出せんわ!!”

”我が社のメイド服のパージ機能の可能性か…これは真面目に、議論が必要では”


 配信映像が切れているとはいえ、配信自体はまだマイクの方は切っていないため、状況は理解できている様子。


 でも流石に、この様子を映すことはできない。


 ぶるんぶるんっと大きく胸を揺らし、下着姿で黒いガーターが肌に映えるメイドの姿なんてもの、出したら一発でBANされかねないだろう。



「これが、成人完全指定向けR18配信だったら…いけたのか?いや、駄目だろうなコレ…」

”一体何が映ってんの!?”

”ぐぁぁぁっづ!!まだ異土君が成人アカウントになっていないからこその悲劇がぁぁぁ!!”



 ぼそりとつぶやいたその声を拾い、嘆きのコメントを上げていく視聴者たち。


 そうしている間にも、メイド服を脱いでより身軽になったのか、パージでの対応に虚を突かれて対応が遅れたらしいラミアに対して、エリーゼの一撃が決まる。


【エネルギーライトアーム集中!!『ギガントレーザーナックル』!!】

ドッゴズウウウウウウウウウウウウウンン!!

【シャゲェェェアアアアアアアアア!!】


 エネルギーの流れを片側に集中して巨大な光の拳が作り上げられ、ラミアに叩きこまれる。


 ばきぃっと音とともに槍が砕け散り、防ぎきれなかったらしくて断末魔が響き渡る。


 そのままダンジョンの壁にぶつけられ、大きくめり込んでいき…拳が消えた時には、岩盤を砕いたがごとく、その壁に埋め込まれたラミアの姿があった。


【シャ、シャシャゲ…】

ボスンッツ…


 口を開き、どぼっと大きく黒い煙を吐き出して、ぶっ倒れたラミア。

 

 体内の魔石も今の一撃で砕け散ったようで、体が散っていき…最後には、ドロップアイテムが残っていた。


「‥予想していたのは、あの槍だったけど…違う?何これ、魔石…とも違う?」


 残されていたドロップアイテムは、予想だとあの腐食毒液をまき散らしていた槍にでもなったりしないかと思っていたのだが…そこにあったのは、虹色に輝く石。


【フム?見たことが無いドロップアイテムですが…回収しましょうカ】


 ひとまずは、これでラミアの襲撃はどうにかなったし、無事に事は収まったとは思いたい。


 だがしかし、新たに出てきたこのドロップ品はドロップ品で、何か妙な予感を感じさせるのであった…



「…あとエリーゼ、替えのメイド服着て。その姿、目に毒だし、配信の方で映像も流せないし、ダンジョン出る際に思いっきり他の配信者の奇異の目で見られるのが目に見えている」

【承知いたしました、ご主人様。こんなこともあろうかと、きちんと予備のメイド服も収納して…して……アレ】

「何、そのものすっごく嫌な予感感じさせる嫌なタメ」

【…えっと…ご主人様の服を剥いで良いですかネ?毒ガスが少し、入っていたようデ…】



…剥ぐな剥ぐな、メイドが主から服を剥ぐな。

最後がしまらないのはある意味王道か

とはいえ、このままにするわけにもいかないし、

どっちを取るのかは…

次回に続く!!



…成人向け版とかは、ノクターンで掲載するときに使えるかなぁ…

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