第二十四話 蛇尽くしがしつこいのもヘビーだから
なお、ランキング2位と1位はまた後程予定
そんな事よりも今は、危険そうな相手が出てきたが…
次回に続く!!
…普段のメイド服であれば、実は多少大丈夫な仕掛けが用意してあった。
ドヂュンッツ!!
【ふぅ、あらかた潰し終えたようですが…ドロップアイテムも蛇関連が多いですネ】
「毒の牙に、なめし皮、食用可能な蛇肉と蛇尽くし…」
”まぁ、蛇のダンジョンだから当然と言えばそうだけど…凄い量だな”
”ヘビーな量なのが…”
…モンスターを倒しまくれば、当然出てくるドロップアイテムの数々。
初級ダンジョンの方ゆえにそこまで価値が高いわけではないのだが…蛇肉とかは、バレなければ主婦の隠れた節約術代わりに利用できるとか言う話も有ったりする。
【んー、ポケット内側の下着に縫い付けておいてよかったですネ。こちらの強化メイド服にはないのですが、それでもドロップ品が無駄にならないのは良いのデス】
ひょいひょっと拾っては、中に入れるエリーゼ。
この光景だけでも相当な容量があることが分かるが、だからこそこの膨大なドロップアイテムの山が無駄にならないのも良いことなのだ。
【それにしても、蛇肉ですか…食料も落ちるとは、ダンジョン良いところですよネ】
「一時期、そのせいで酪農家とか結構やばかったらしいけれどな」
ダンジョンドロップアイテムは多岐にわたるのだが、初期のころはそれで各業界の流通分に関して危機が叫ばれたことがある。
当然のことと言うように、強力なモンスターであればその分良いドロップアイテムが堕ちることが多いのだが、強さ云々に関わらずに上質な肉を落とすモンスターもいたらしく、わざわざ牛豚鶏肉…その他諸々よりもこっちのほうが良いのではとなって、一時期廃業の危機がっ叫ばれるところもあったらしい。
「だけど、結局のところモンスターのドロップアイテム…何かこう、未知の成分が含まれているんじゃないかと言う恐怖や忌避感のようなものが人々に出て、逆にドロップ品としての価値が落ちたりして…今では、どっちもどっちなこともあるから、結局のところ前と変わらないような状態に戻ったとも聞くね」
”第一次、二次、三次とあったドロップアイテムによる食料品危機だったけ”
”当時はそれこそ、メディアがこぞって騒いだりしたし、落ち着いたかと思えばいっそモンスターを家畜化して繁殖させて安定的な生産を試みようとするところや、はたまたは一か月0円生活としてモンスターからの食糧ドロップ品だけで生計を立てようとする配信者もいたな”
”ミノタウロスに勝ちあげアッパーされての、お前が今晩の食事だとされた、削除された配信は…きつかったなぁ”
”肉の悲劇、見ていた人いたのか…”
コメントにも挙がってきてはいるが、ダンジョンが出現した当初はそれこそドロップ品による混乱もそれなりにあり、今もなお何かでちょくちょく生じているとは聞く。
「と言うか、こんなことを放しておきながら俺の方も、エリーゼを得た時点でね…」
”そういえばそうだ、メイドブーメラン受けてますやん”
”今は落ち着いたけど、そのメイドが出たせいで一時期ダンジョン監査入りまくったじゃん”
世の中、何がきっかけで人々が我先にと欲望に駆られてかけこむか、わからないものではある。
とにもかくにも、このぐらいで案件の配信としては…強化メイド服やそのブーツの性能が見せられたのだから、終えても良いかなと異土たちが帰還の準備をしようとした…その時だった。
【んー、蛇肉の料理って良いレシピが…ん?】
「どうしたの、えり、」
【ご主人様、危ないデス!!】
ドゴンッツ!!
「え、んぎゅっ!?」
ドロップ品をひょいひょいとっと拾っては収納していたエリーゼの動きが止まり、異土が問いかけようとした瞬間、彼女は素早く地面を爆散させる勢いで蹴り上げ、瞬時に異土を抱きしめてその場を一気に跳躍して距離をとる。
そのわずか数秒後に、地面が揺れ、何かが飛び出た。
ドッゴォォォォォォン!!
【シュシャゲェェェェェェ!!】
”何、何、何!?”
”さっきまで、異土君がいたところから、何か飛び出してきたんだけど!?”
配信映像を見ていた視聴者たちも、突然の出来事に混乱のコメントを送り込んでくる。
そんなことをしている合間にも、土煙が直ぐに晴れ…地面から出てきたそれを、目にすることになった。
【シャシュ、シャァァァァァァァア!!】
”へ、蛇のモンスターっぽいけど、この初級ダンジョンで見る奴じゃないぞ!?”
”と言うか、アレって…ガチのラミア!?嘘だろ!?他蛇ダンジョンだと上半身蛇の人の足が生えたやつなのにそうじゃない、きちんとしたタイプの!?”
その場に立っていたのは…大きな、蛇のモンスター。
いや、違う。正確に言えば、下半身が蛇で、上半身が人の…蛇の長い舌をちらちらとのぞかせ、灰色の長い髪色に、赤い目を向けている美しい女性のような姿をしたそれは、この世界のダンジョンで知られているはずのラミアではないはずだが、本当のラミアと言うべきようなものだった。
ただし、明らかに敵意を向けた、凶悪な毒々しい汁を滴らせた槍を持っており…どう見ても、友好的ではない。
【これは…ちょっと不味いですネ。軽く分析をしたら、腐食液…私の耐久性能では、溶けるタイプですカ】
”エリーゼさんも、ちょっと不味いと口にするタイプ!?”
”耐久性能ではってことは、溶けないレベルも…あ、ちょっと待って待って、エリーゼさん、ソレ”
”ん?…あ、えっと、その、周りをもう少し見たほうが…”
【何ですか、このコメント…あ】
…奇妙なコメントがあったので、ふと、それに目を向けたエリーゼ。
何事かと思い、言われるがままに見れば…
「…がふっ」
【ご、ご主人様!?あ、しまったぁぁぁあア!?これ、普段のメイド服じゃないから、乳もとい窒息死させる可能性があったの、忘れてましたぁぁぁぁア!?】
”異土くーん!?”
”うらやま、コホン、酷い死因が…配信者の迎えたいけど迎えたくない、情けなくとも羨ましい死因ランキング3位に入ることを体験するとは…”
”そんなこと言っている場合じゃないだろ!!って、あ、ラミアのほうも「何やってんだコイツ?」みたいな表情になってる…”
コメントが色々とカオスになっているのはさておき、状況としては何やら不味くなってきているようであった…