第十七話 独創性は下手に迷走するとヤヴァイので
―――チャンネル登録者、1000人突破記念。
登録者数の増加による記念配信は、配信者たちにとっては誇らしい事でもありつつ、その内容に頭を悩ませもするだろう。
異土も例外ではなく、どのような配信の方が記念動画に良いのか悩んだ末に…一つの動画を選択した。
「と言うわけで、異土&エリーゼによる」
【1000人突破記念動画ハ】
「【『マジックアイテムの調べられ方・イン・ダンジョンギルド』で決定!!】」
”ん?え、どういう配信動画になるの、それ?”
”マジックアイテムは確かに、ギルドで調べられたりするけど…言われてみれば、どこまで詳しくするのかってのは気になるな”
”どういう風に回収され、どうやって世の中に出回るのか…”
【それを、マジックアイテムである私自身の目線で見せようと思いマス】
”おお、マジックアイテム目線からとは、また面白いな”
ダンジョン内で見つかったマジックアイテムは、本来ギルドの関係機関にいったん提出し、調べてもらう必要がある。
現代の科学技術では再現不可能な性能を持っていたり、それこそ魔法と言って良いものもあるのだが、場合によっては異常に危険なものも存在している。
一説では、ダンジョンから出土するマジックアイテムは別の世界からの漂流物ともいわれており、未知の猛毒や病を持っていてもおかしくはない。
そんな理由もありつつ、解析してうまく再現出来たら、それはそれで大きな利益にもある。
そのため、ダンジョンから出てきたマジックアイテムはギルドにいったん提出する形になるのだが…エリーゼの場合は彼女自身が色々と特殊なため、見送っていた部分があった。
しかし、それでもいつかは確実にしなければいけないようで…ならばいっそのこと、今回の記念動画にすればいいのではと言うことになったのだ。
「なお、きちんと今回ギルドに話を通して許可をもらってます」
【事前にどこまで取るのか、マジックアイテムを調べる現場だからこその、撮影許可範囲も確認済みデス】
”そりゃそうか”
”他にも集められている、マジックアイテムが色々とあるかもしれないし、場合によっては機密とかもあるかも”
”いや、流石にそこまで重要なものがあるのかは…どうなんだろう?”
色々と思うところはあるだろうが、マジックアイテム目線での光景は新鮮と言えばそうだろう。
同じような配信をやっている配信者がいないわけでもないが、マジックアイテムであるエリーゼがいるからこそできることであり、これはこれでいい記念配信になるはずである。
何にせよ、今はしっかりと配信の予告をしつつ、準備も進めていくのであった…
”ところで、マジックアイテムを調べる機関での配信となると、エリーゼさんの着替え光景とかありますか?”
「下手するとBANされかねないので、そこは自重を」
…そのあたりもしっかり、ギルド側と調整をしておかないとね。




