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閑話 とある新聞部の取材記録ー前編

―――どこの教育機関だろうとも、部活動が存在しているところはある。


 ダンジョンが出現しで大配信者時代になったとしても、配信の道だけが全てではない。


 中にはそこから得られる情報を、スクープとして世に広めたりする部活もあるが…


「それでも、今我が新聞部の発行部数は…下落の一方だ!!」

「そりゃまぁ、ダンジョンに潜っても近場だとだいぶ取り尽くした感じもあるし」

「他の新しいダンジョンに挑もうにも、こっちのレベルが低かったりするからなぁ…」


…構内に設けられた部室の一室…新聞部の部長が怒鳴るが、だるーんっとやる気なさそうにしている部員たち。


 この高校生活の中で、華々しいスクープを得て、将来の就職に役立てようとしたあの志は、いつのまにか失われてしまったのだろう。


 いや、彼らのやる気がないそもそもの原因は、目の前で怒鳴っている部長がかつて、盛大に大馬鹿な捏造スキャンダルを出したことではあるのだが…自業自得のようなものとはいえ、それでもやる意味はない。



「くそう、このままでは部に流れる資金が滞って、廃部の可能性が…どうにかして、スクープをぉ…」

「と言っても部長、そう都合よく転がっているものですか?」

「週刊四コマ、『大惨事だよ部長さん』で、この間ようやく部長が剥げビームを打って、世界平和になったことで評価が持ち直したのに」

「どんな四コマを流しているんだ、貴様あぁぁ!!」


 荒ぶる部長だが、現在の新聞部の新聞で一番評判がいいのがそれしかないのだからしょうがない。


 とはいえそろそろ廃刊しかけているのであれば、本当にもうこれ以上打つ手はないはずだったが…その状況は、つい先日変っていた。



「…こうなれば、最後の手段だ。いや、これこそ我が新聞部の起死回生の一手になるだろう」

「お?何かあるんですか、部長。前みたいに、うちの生徒会長の隠し撮り写真集なんてものをやらないでくださいよ?」

「そうそう、あのせいで社会的な死を覚悟しなきゃいけなくなっていたんだからさぁ…」

「それは我が部の黒歴史だ。だが、それに近いが…今度は、そうではない。あの悪魔の生徒会長は裏ルートで流すとしてだ、今度の我が部の狙いは…メイドだ!!」



 ダァンッツ!!っと勢いよく机を叩きつけるようにして、部長が懐から取り出した今回のターゲットの写真。


 それを見て、部員たちの顔が変わった。


「メイド…ああ、最近入ってきたという、あのメイドですか」

「初級ダンジョンから掘り起こされたという、マジックアイテムにしてとんでもない性能のあの…」

「その通り。しかし、奴は未だに秘密が多そうであり…ならばこそ、特大のスクープがあると見た!善は急げ、スクープも追い求めて、徹底取材をおこなぇぇぇぇ!!」


 どやぁぁっと自慢げな顔で、自信満々に告げる部長。


 確かに、マジックアイテムのメイドとかいう、字面だけですでに訳の分からないような相手ならば、何かしらのスクープが隠されているのかもしれない。


「あの部長が、珍しくまともな…いや、なんか生徒会長の時と同様のろくでもない末路を迎えそうな気がしなくもないが、気になることだよなぁ…」

「ああ、今度は社会的な死どころか、人としての尊厳を部長は無くすかもしれないが、対象としては興味深いのかもしれない」

「スクープが無くて、部長が首になっても別に良いけど、あのメイドさんを深く知りたい人は多いだろうしね」


「お前ら皆、さらっとディスってないかな!?」

「「「ソンナコトナイデスヨ」」」










 とにもかくにも、流石にちょっと自慢気な顔がうざかった部員たちは後で生徒会長にシメてもらうための材料を懐へ入れつつ、その噂のメイドに関しての取材を行うことにした。


「でも、そうは言ってもどうやって接触するか?異土チャンネルで、放課後にダンジョンで配信している姿は見るけど…他人の配信番組に、突撃をかますのは避けたいよなぁ」

「それに、ダンジョンで配信している姿はもう見慣れたし、可能なら普段の彼女がどう生活しているのかが…そっちのほうが気になるかも…」

「…それなら、朝から晩までの、密着取材とかで良いんじゃない?」



 まずは彼女が普段そもそもどうやって過ごしているのかという疑問もあるため、一日を使って観察することにしてみた。


 幸いなことにアポイントもすぐに許可が取れ、実際に取材できるかどうか彼女に打診した結果…



【ふむ…まぁ、別に良いですヨ】

「本当ですか!?」

【ですが、一応出す前に見せてもらいますネ。そちらの都合の良いように編集されては困りますからネ】

「あ、はい」


 しっかりと釘は刺されたが、無事に取材はできるようである。


 そのため、ゆっくりと彼らは撮影し…メイドの一日が記録されるのであった…




「ちなみに、変な編集をしていたら?」

【社会的に制裁を与えますヨ】


…やらかせないぞと、部員たちにプレッシャーを与えられた状態で…

珍しく前後に分かれつつ、

彼女の一日が撮影される模様

果たしてそこに映し出されるのは…

次回に続く!!

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