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第十三話 悪意は密に牙を向け

…コボルトの群れの壊滅は、そこまで時間はかからないもの。


 群れを統率するリーダーを見つけだし、すぐに叩けば指示系統が一気にれの壊滅は、そこまで時間はかからないもの。


 群れを統率するリーダーを見つけだし、すぐに叩けば指示系統が一気に崩れ、状況を履くさせるよりも前に混乱に乗じて討伐はしやすくはなる。


「だからこそ、誰が指示をしているのか確認して、蹴り飛ばして…これで結構、あっさりと壊滅できるね」

【群れの中で一番大きくて、偉そうにしている分わかりやすいですヨ】

”群れの長だからこそ、目立つが故の狙い撃ち…”

”哀れ、率いる者の運命よ”

”そっと気が付かれないように背後に回って、一撃でぶっ飛ばした後の蹂躙劇…やろうと思えば、暗殺者に向いてないか、この人”

”すみません、配信者ギルドから移籍して、暗殺者ギルドに来る気はないでしょうか?”

「そんな気ないんだけど!?あ、いや、誰かの嘘って可能性もあるのか…」


 さくさくっと思った以上に順調に討伐が進み、配信状況も悪くはない。


 しいて問題を上げるならば、仕草がすでに暗殺者じみていると言われてきたことだが…うん、まぁそんなことはないはず。


「とりあえず、そろそろ配信を切り上げて帰還したほうが良いか。コボルトを狩り過ぎても、後が怖いしな」

【そうなのですカ?】

「うん。ダンジョン内ってある程度のモンスターが繁殖しているけど、一部を狩り過ぎると、バランス調整のため動くこともあってさ…」


 多すぎるとモンスターがダンジョンの外へあふれ出す『モンスターハザード』というのが生じるようだが、減り過ぎるとこれはこれで補充しようと動くこともあるらしい。


 一説によれば、ダンジョンそのものが実は生きた存在であり、体内の環境を一定に保つための恒常性があるかもしれないのだとか…まぁ、そのあたりは分かる人に考えてもらえばいい。




 そう考えつつ、異土とエリーゼはそろそろ配信を切り上げて、帰還しようと思っていた…その時だった。




【グルルルルルルルルルルル!!】

「と、何やら唸り声が…まだ他のコボル…ト?」

【いえ、違うような…アレは…】



 大きな咆哮が響き、最後の群れでもいたのかと思ったが、どうやら様子がおかしい。


 コボルトの群れがいつの間にか失せており、その代わりにダンジョンの奥の方から何かがこちらへめがけて、駆け抜けてきている様子が見えた。



 コボルトでも、そのリーダーでも、その他メイジやウォーリアーなどと呼ばれるような類とも、また違う姿。



【グルルルルルルルァァァ!!】


 筋骨隆々とした、逆三角形の筋肉ダルマのような姿をしたそれはタックルで…


「って、あぶねぇ!!」

【おおット】



 ドドドドっと勢いよくぶつかろうとして来たので、素早く回避する異土とエリーゼ。


 彼らの素早さであれば大した問題ではないが、どう見ても今、やってきたモンスターは何かが違う。



【ふむ…事前にギルドの方で得ておいた、モンスター情報がヒットしまシタ。コボルトではなく、あれは『コボルドーン』ですネ】



―――

『コボルドーン』

一件、その異常発達した筋肉の要素を覗けばコボルトの仲間に見えなくもないが、実は全くの別種。

コボルトにドラゴンの要素を足したような、その力が器に収まりきらずにはじけ飛ぶ筋肉に変ったというべきようなモンスターであり、()()()()()()()()()出現する存在。

通常はその肉体美を活かしたタックルを仕掛けてくるが、雷のブレスを吐き出すこともある。

―――



「中級!?いや、ここ初級ダンジョンだけど、何かの間違いじゃないの!?前のワームみたいに、どこかからやってきたとか?」

【いえ、情報によればあのワームと比べて、よそのダンジョンへ潜り込むだけの知能も無いようデス。頭まで脳筋とも言われており、真正面から何もかもぶち抜くのだとか…そんなものが、ギルドの目もかいくぐって、初級に来れるものでしょうカ?】



 情報によれば本来ここに出現してはいけないようで、モンスター自身の手でやってきた可能性も無いらしい。


 ならば、他の可能性としては他の誰かが人為的に何らかの手段で連れてきた可能性があるようだ。



【初級ダンジョン配信者への妨害行為か、あるいは…いえ、考え事をしている暇はなさそうデス】

【ゴルルルブボォオオオオ!!】


”うぉ!!不味いぞ、雷のブレスだ!!”

”避けてぇ、メイドさんたち!!”


 ぐばっと口を大きく開いたかと思えば、次の瞬間、コボルドーンの口から電撃が解き放たれる。



ドンゴロガッシャァァァァァン!!


 その電撃のブレスは、見事に狙った異土たちの元へ届き、通過し…



「…あぶなぁ…寿命が縮んだかと思った」

【この程度の電撃であれば、私のメイド服や、ご主人様のローブには通用しないデス。スタンガンによる危害なども想定して、500万ボルトまでなら地面にすぐに流して、無効化できるようにしてますからネ】


”いや、まずそこまで電撃を放つやつ、多分上級にしかいない…よね?”

”無傷で電撃のブレスの中から現れるのも十分おかしいって”

”>50,000円 スパチャされました。 すみません、本当に暗殺ギルドの者なのですが、そのローブを弊社に販売していただけないでしょうか…ターゲットが、スタンガンで対策してくることもあるので…”


 色々と気になるコメントも出てきているが、そんなことはさておき、今はこのコボルドーンに関してである。


 明かに異土たちへ向けて獲物として狙いを定めたようで、逃走を許さないと言わんばかりに威嚇し始め、その筋肉を膨らませて見せつけてくる。



【ご主人様にはまだ早いので…仕方がないですネ。私が相手をしましょうカ】


 そう言いながら、すっとエリーゼが前に出て、懐からメイドスターを取り出し、ぶんぶんっと振り回し始める。


 絵面的に、一介のメイドが相手にしていいものなのかどうかと思うのだが、それでもエリーゼのことを考えると不安はない。


 ただ、それでも怪我をしないように、異土は心の中で祈るのであった…




「…と言うか、まだ早いのか」

【ハイ。配信初心者が陥りやすい、実力の錯覚がありそうでしたので、その解消も兼ねておきたいのデス。ご主人様にはいずれ、上級ダンジョンでドラゴン千体倒さないと帰しま千みたいな、配信もしてもらう予定ですが、今はまだ、それだけの実力はないようですのデ】

「さらっと鬼畜な配信を組もうとしていないかな!?」


”ガチの鬼畜で草”

”いや、流石にそんなのができるようになったら、メイドさんが守る必要が無いほどになっているとは思うけどさぁ”

”バラエティ番組モドキっぽいけど、シャレにならんレベルだよなぁ…でもなぜだろう、いつかこのメイドならやらかしそうな気がする”


…フラグになりそうだからやめてくれ。

突然現れたコボルドーン

ふざけた名前のような気がするが、あの筋肉は伊達ではない

そんな相手に対して、エリーゼはどう動くのか…

次回に続く!!



…鬼畜企画って、どういうのが良いのかな?

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 ドーン!とタックルしてくるからコボルドーンじゃなくて、コボル(トみたくワンコ要素と)ド(ラゴ)ーン(要素が混在した魔獣)なんですね。 口から雷吐いてくる→普通の人間なら適正ランク…
ドラゴンで千体… 鬼畜企画なら…… 初級は武器無し状態からコボルト五百体で倒す 中級は1体を倒すたびに重り10キロ装備する最大は10トン 上級は戦いながらメイドから問題を出して答えること答えなかったら…
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