プロローグ
…お待たせいたしました
ようやく、新作開始いたします!
―――ダンジョン。
それは本来、この世界にはないはずのものだった。
ある日突然世界中に出現し、これまでの常識が通用しない未知の生物や、科学とは異なる魔法で出来た不思議な道具などが内包されており、そのありとあらゆる可能性に世界は憑りつかれた。
とはいえ、全てが人々の制御に置けるわけでもなく、ダンジョンによって得られる資源を独占しようと動いたり、はたまたは出てくる新たな素材を利用した企みなど…人々が関われば関わるほど、その欲望も深まっていく。
だからこそ、ある程度の規律を持たなければ、そのうち全世界が共倒れになる事態になる可能性があると提唱する人々も出て、どうにかして抑え込もうとした結果…『配信者』と呼ばれる存在が生まれた。
「よく聞くものだと、冒険者だとか攻略者だとか、そんなのが出そうなのに、なぜ配信者なんですかね?」
「しっかりと、ダンジョン内の撮影をしてその情報を得るために、いざという時には各国の機関が利用できるように、より情報をオープンにしてくれと言うことで出来たものらしい。幸いなことに、何故かダンジョン内では通信が阻害されないらしいからな」
「ふーん」
「まぁ、公開できないようなヤバい代物も当然あるのは暗黙の了解とも言われているが…」
「オープンにできないものがある時点で、絶対にまだまだ足りないものが多いような…」
そんな会話が、世界各国で出てきたりしつつも、情報が公開されるというのは非常に大きなもの。
とはいえ、皆が一斉にやればその分、情報の価値と言うのも下がっていくもので…気が付けば、一般人であっても行えるようになり、手軽な小遣い稼ぎにダンジョンを利用するようにもなってきたようだ。
…だがしかし、それでもなお、ダンジョンの可能性と言うものは未知数な部分が多い。
何故それがこの世界に出現したのか、その理由も明かされていないのだから…