第16話「拠点がほしい!~家ナシ三人組、下宿探しの巻~」
街の中心部。ギルドからそう遠くない場所で、私たちは立ち尽くしていた。
「で、今どこに寝るの?」
リナが当然の疑問を投げかける。
「屋根がある場所がいいな……できれば、Wi-Fiとコンセントが欲しい」
「それはさすがに異世界ナメすぎじゃない!?」
困り顔の私たちの横で、レオはごく当然のように言った。
「俺の家、焼けたからね。ないよ」
「え? 家ないの? イケメンなのに!? 見た目に反してホームレス系!?」
「ちょっと今、それ言い方エグくない?」
「異世界ってこういう細かいリアリティくるから怖いよね……」
私たち三人+一剣士、合計四人。
いきなりホームレス状態。
「まぁ、宿屋に泊まる金はあるだろ? ギルドの報酬あったし」
ゼフィルが言う通り、確かにコツコツ稼いだ報酬はあるけど──
「それ毎日払ってたら破産だよ!? 女児の財布をなめるな!!」
「もう拠点を探すしか……いや、買う!? 家買う!? 平成女児、いきなり一戸建て?」
「その予算あったら多分スマホ買い直せるよ……」
わーわー言いながら、私たちは街中の掲示板で「貸家」「下宿人募集」などの張り紙を探す。すると──
「ここ、どう?」
リナが指さしたのは一枚の張り紙。
> 【築古物件】
> 場所:中央通りはずれ
> 家賃:月7シル(格安!)
> 条件:掃除・家守りができる人歓迎!
> 備考:曰くあり。住み込み推奨。
「曰くありって書いてあるんだけど!?」
「異世界ホラー展開来た? でも7シルって安くない? 築古って何年レベルなの?」
「ちょっと面白そうだから見に行ってみよう」
──そして、向かったその先には……
「わー……雰囲気、あるね」
「和風なんだけど微妙に崩れてて逆にオシャレ……なのか?」
「たぶんただの廃屋だね」
ぼろぼろの扉。傾いた屋根。
でも、中に入ると──
「え……広いし、ちゃんとキッチンもある。お風呂まで!?」
「これ、手入れすれば全然住めるじゃん! 平成女児DIY計画始動!」
「言い方がユーチューバーすぎる」
「むしろ配信したい……!」
こうして私たちは、**“ボロ屋敷リノベ拠点”**を手に入れた。
掃除、整理、魔物の追い出し(!)など、一通りの苦労の末──
その日、初めての「自分たちの拠点」で寝転がった私は、ぽつりと言った。
「……平成女児が、異世界に家持つ時代かぁ」