第9話「森の影のクセ者!?~新仲間は平成ギャル転生者!?~」
森のざわめきが続く中、影がゆっくりと動き出した。
私とゼフィルが息をひそめて見つめると、そこから現れたのは……予想外の人物だった。
「はぁ? ここ、どこよ?」
――少女の声はハッキリしていて、どこか挑戦的。
姿を見て驚いた。派手な服に厚底ブーツ、眉毛はバッチリ描かれていて、手にはスマホを持っている。
まさに平成のギャルそのものだった。
「アンタら、何してんの? こんな森の奥で」
ゼフィルが「彼女は……?」と私を見る。
「わからない…でもきっと彼女は…」
私が言うと、リナはスマホの画面を私に向けた。
「写メ撮ってよ。マジ盛れてるから」
「は?」
ゼフィルが絶句する中、私は思わず笑いをこらえた。
「……異世界でスマホ持ってるの?」
リナはにやりと笑った。
「当たり前じゃん! 今どきスマホは生活必需品よ。便利すぎてやめらんないっての」
私はじっと彼女を見つめた。
「君、なんでここに?」
リナは肩をすくめる。
「いや、よくわかんないけど気づいたらここにいた。…でも、まじで面白いじゃん、ここ」
彼女の目はキラキラしている。自由奔放で、力強い。
「仲間にしてもいいかな?」
ゼフィルが珍しく弱気に聞く。
リナはスマホをポケットにしまい、私たちを見た。
「条件はただ一つ。毎日ちゃんと写メ撮ること。盛れるように協力してよ」
「それだけか……?」
「うん、あとは楽しくやろうぜ!」
私は深く頷いた。
「わかった。よろしく、リナ」
焚き火の光が3人の顔を照らす中、私たちはこの世界でまた新たな一歩を踏み出したのだった。