表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

ファーストゲーム

夢で見た話


はじめまして。ナマケモノシオンです。

普段は二次創作を書いてます。


…………ここに何書いたらいいか分からん。



 きっかけなんて知らない。

 理由なんて心当たりがない。


 ただ理不尽に無作為に選ばれた。


 きっと、それだけなんだろう。







 落ちる。

 そう理解してから叫び出すのは早かった。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 正確には落ちていた。地面に向かって体が落下していく。周りにある白い霧が無くなったと思ったらよくやるFPSのゲームで見なれたような鉄の地面がぐんぐん迫ってくるのが見えて。


 やばいやばいやばいやばい!!


『死』の一文字が頭に浮かぶ。


 地面に叩きつけられると目をつぶった瞬間、予想よりも軽い衝撃と共に、勢いを殺すために体が転がった。

「あだっ」

 ゴンッと鉄柵に当たって思わず声が漏れる。

 体のあちこちが痛かったけれどとりあえず起き上がる。生きてる……。空、から落ちた……?

 落ちてきた空を見上げる。なんであの高さから落ちてきたのに生きてるんだろう…。そもそもなんでこんなとこに……?

 夕焼けとはまた違った鮮血のように真っ赤な空に、それとは対照的に白い雲が半分ほど覆いつくさんとばかりに浮かんでいた。あの雲の向こうから落ちてきたなら、想像もつかない高さだ。そもそもここは一体どこなのだろう……?


『走れ』


 突然東雲(しののめ)(ゆう)頭の中で声がした。体が動き出す。


「な、なになになに!!??」

 戸惑う精神とは裏腹に、足は迷うことなく道を突き進む。そもそもこれ道なのか!?本当に自分がやっている対人ゲームの中みたいだ。一体なんで?カンカンカン、と格子状の鉄の地面を鳴らしながら、階段を登りモニターやキーボードが配置された建物の横を抜けてまた一本道を走る。ずっと走っているのに不思議と疲れない。

 途中で頭が落ち着いてきたのか、自分が普段着ている服とは違う格好をしているのに気づいた。黒の硬いパーツを基調として動きやすいように、関節や筋肉に沿うように赤く薄い生地が入っている。腰の辺りにも同じように腰あてやポーチ、ゲームや漫画でしか見た事しかないホルスターも付いていてまるで簡単な鎧だと思った。

 というかコレ光ってね?

 赤い線がうっすらと発行しているように見える。周りの景色が段々と暗くなっていき、紺色の壁が増えているのに照明が高い位置にあるせいだろうか。影が大きく伸び、自分の影が不気味に動く。


 足が進んだ先にあった場所は、大きく丸く壁に囲まれた広い空間だった。中はもうぎゅうぎゅうに人が詰まっていて、何人いるのか分からない。ざっと100人はいるような気がした。カンカンカンと階段を降りてみんなと同じ集団の中へ入っていく。どれもみんな自分と同じような格好をしていて、ぱっと見た感じ男も女も同じくらいいるようだ。

 1番後ろにいるがざわざわと前の人混みから戸惑う会話が聞こえてくる。

「どこなのここ」

「これから何が始まるんだ」

「この格好は」

「家に帰りたい」

「警察は何をしているんだ」


 自分と同じようにみんなも前触れもなくここに来たのか。『警察』という単語にそうだ、と思った。僕らは今行方不明になっているんじゃないか?突然空から落ちてここまで走って集まったけれど、恐らく探しているはずだ。一人暮らしの僕は……中々気づかれるのは遅いかもしれないけれど、きっと家族と住んでいる人だってこの中にはいるはずだから。すぐに捜索隊が派遣されてくるはずだ。


 現実逃避?

 そんな笑う声が聞こえた気がした。いいや、これは自分の声だ。

 わかっている、そんなこと。これは現実逃避だ。こんな大人数を一度に集めてこんな格好に着替えさせて集めた。そんなことをできるやつらが警察に見つかって捕まるわけが無い。そもそもこんな場所も分からない、ゲームのような見た目の場所に連れてかれて、僕らは何も抵抗できないんだ。

 大きな二階建ての家くらいありそうな扉を見上げる。真ん中に線が入っているからきっと両開きなんだろう。まるで、ファンタジーゲームのボス戦の部屋の前みたいだ。


『エぇーー……みなさん、聞こえますか』

 ノイズが走った後、スピーカー越しだろう声が聞こえる。一体どこから声が……?そう思って辺りを見回すと、壁の上、眩しい照明の横にスピーカーが複数付けられていたのが見えた。

「えっ」 だとか「わっ」だとかが混ざった人がびっくりした声に、目線を正面に向けると目の前の扉にプロジェクションマッピングで映像が映り出していた。

『はじめまして、みなさん。突然ですがここいる方達にはこれからゲームに参加していただきます』

「ゲーム?」

「なんだそれ」

「家に返せ」


 そんな声が周りから聞こえる。

 自分も同じように声をあげようとしたその時、映像に映る老人は優達を無視して続けた。

『ルールは簡単。プレイヤーの皆さんこれから中に入り、出てくるバケモノを倒してください。一体でも倒せばゲームクリア。倒せなかった方はクリアできなかったものとみなし、残念ながらここで死んでいただきます』

 低くしわがれた声にまた人々はざわざわと話し出した。酷く現実味がなくて、これから行われるものが理解できなくて、言われた『死』という言葉が理解できない。それでも恐怖で手が震える。何かが始まる。何かが起こる。それだけがただ優の中で確信めいたものとして残った。



『それでは、ファーストゲーム。スタート』

 女性のアナウンスと共にブザーが鳴る。

 大きな扉が外側に開いて行き、人々は真っ直ぐ操られるように中に走っていった。

「わっ」

 優も先程と同様に体が勝手に動き出す。スーツが先程と同じように光っているのを見て、こいつのせいかと気がついた。

 武器を拾う。銃の方がいいと頭が、本能がそう言ったが、地面にはナイフしか落ちてなかった。

「くそっ」

 広い道細い道、のぼり階段と別れ道を進むにつれて周りの人が減っていく。

 低い鉄作が続く細い通路を抜けると、優は少し開けた場所にたどり着いた。来たところ以外に道はない。完全な袋小路だ。


 そこには五人の男女が既に集まっていた。

 優が到着したのを見計らったかのように、地面が赤く光り始める。思わず小さく悲鳴が漏れた。排水溝の上に敷かれた鉄網(グレーチング)の隙間から漏れた光が段々と獣の形をとりはじめ、今の優達と同じような鎧が外殻を覆った。

「な、なに…!」

「機械の大型犬!?」


 悲鳴のような声が聞こえる。

 これが言ってた『バケモノ』なのか…!?

「ひっ!く、くるなぁ……!!」

 サブマシンガンを持った一人が我武者羅に撃ち始める。四方に跳躍する弾丸。明らかにその打ち方は素人だ。集まった人たちは今度こそ全員が悲鳴を上げた。

 現れた4匹のうちの1匹に弾が当たった。鳴き声一つ出すことなく、モノが砕ける音と共にその体を地面に沈めた。すぐさま体が赤い光変わり地面の隙間に溶け落ちていく。

「た、倒せるぞ…!」

 集まったうちの誰かが叫んだ。

 その声を合図に誰もが犬に向かって銃を撃ち始めた。ハンドガン、マシンガン、明らかにこの場に向いていない狙撃用のライフルを使うものまでいた。優はナイフしか持っていないため、そこに参加することができない。巻き込まれないように避けるので精一杯だ。

 そもそも、開けたとはいえ狭い場所。せいぜい学校の教室くらいで40畳程しかないだろう。その中で素人が動く的にがむしゃらに撃ったらどうなるか。

「う゛ぁ゛ッ」

 足を撃ち抜かれた男が倒れ込む。一瞬だけ銃声が弱まった。勇気ある一人が向かおうとしたが『バケモノ』はその隙を見逃さず、倒れた男に襲いかかった。

「ひ!や、やめッ」

 銃声が飛び交う中で微かに聞こえた男の声が消えた。もう彼の元へは誰も行かない。次々に湧く犬を倒すための銃声は鳴り止まなかった。なんで男が死んだのか、全員が分かっていた。

場所が悪いのはもう分かっていた。でももう誰もその場から動けなかった。

  __もちろん優も。


 眺めていることしかできない中で、一人減ったことにより銃弾の網が緩くなって抜け出した一匹が優の元へ向かってくる。

「ひっ」

 赤く人工的に光る目と鋭い鉄の牙が一瞬見えた気がした。

「うわぁ゛ッ!」

 目を瞑る。思っていた衝撃はこない。自分でも何が起きたか分からなかった。持っていたナイフを振り抜いていたらしく、背後に倒れた犬の胸には一直線に傷が残っている。

 たお、した…?ぼくが……?

 左手を見る。まだ緊張で力が入っていてナイフは固く握られたままで。

「あ、ははっ…」

 銃声の中で一人笑う。

 混乱した頭の中でとにかく『バケモノを倒せる』という事実だけが甲斐田の中に残っていた。




 ブーーーーーーーーー



 低いひくいブザーの音が鳴る。


『時間になりました。ゲーム終了です』



 先程の女性の声だ。

 へたり。と体から力が抜ける。

「はは…」

 終わった……。終わった……? 

 バケモノの音も銃声ももう聞こえない。ああ終わったんだ。そう思って優は立ち上がろうとして、転んだ。

「え?」

 足元を見る。

「なっ、なになになに!?」

 あるはずの両足が既にそこになかった。小さな光の粒になって端から消えて、今は太ももまで消えていた。

「やだ!え、なっ!?」

 足に触れようとした手も無くなっていて頭が真っ白になった。消える?このまま全部消える??体が??

 足から胴体へ。腕から肩へ。痛みなく白い光が体を端から消していく。上げようとした悲鳴は口すら消えて出せなかった。

 最後に見た景色は、倒れたまま残った男の姿だった。



『東雲 優。第1ゲームクリア』






二次創作を元々書くので、そのネタにしようと思ったのですがオリジナル感が強すぎたのでこちらに投稿しました。A○EXとG○N○Zと今際の国の(ryを足して三で割った感じの夢でした。


初投稿がこれでいいの感

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ