メンタルが強すぎる友人
『仕事が辛い?根性見せろよ。覚悟を決めて東京へ行ったんだろ?』
仕事でメンタルをやられちまった俺はふるさとの北海道にいる友人に電話をかけた。
ゴゥンゴゥンという音がする。
「そうか。そっちは雪かきのシーズンだよなぁ」
『ん』
東京にいるとあんなに面倒だった雪かきが恋しい。
雪が見てぇなぁ。
『根性根性。何でも根性よ!』
「……そだな」
こいつに言われると説得力がある。誰よりも辛い思いをして、誰よりもいじめられ、誰よりも借金を背負ったのに『根性』だけでこいつは乗り越えた。
『ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン。ゴゴガキキキキキ!』
「酷い音だな。機械。買い換えろよ」
『バカいえ!雪かき機一台いくらすると思ってんだ!根性よ!』
「ははっ。機械にも根性求めるのかよ」
『まっ。根性だ!根性根性根性根性根性根性根性!痛くない!』
「ん?」
ボギバギキキキキ。と爆音が響き、電話が切れた。
根性か。よしっ!根性で頑張るぞ!
・
友人は俺との電話中に足を滑らせ雪かき機に捲き込まれ下半身がズタズタになったが、今も根性で生きている。