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9/9

異変

 “姉様、ご婚約おめでとうございます。


 ……これからはもう、姉様とはお呼びできませんね。”



 焦ったように、グイスのヘーゼルの目の色が、魔力で淡く黒へと揺れています。



 わたくしの婚約が決まったと、告げたあの時のよう。



 さっきのダンスよりも、とても近い距離で見つめられて、わたくしは、そんな事を思い出しました。



 “わたくし、グイスと結婚できたら良いですのに。”




 「姉上。大人達の様子が、おかしいのです。久しぶりに親族で集い、酒に酔い、開放的な気分になったかと思っていました。ですが、お酒が飲めない方もいて、簡単な会話が出来なくなり、足腰がふらついています。友人達からも聞きました。この会場内で、何か起こっているのでしょうか。」




 ……いけません、昔のことに、気を取られてましたわ。



 ちらほらと、ふらついてる大人達や、学院生達。


 来年度以降入学の子達は問題なく。


 ふらついてる方々の顔ぶれは、カルッカ殿下や王妃様の派閥の方々ですわね。


 

 ふと。ある事に気付きます。


 わたくしが針をお配りした方々は、無事ですわ!



 「グイス。わたくし、女男爵(バロネス)の儀礼称号を持っているのは知っていて?」


 「え? ええ、はい。知っております。突然、何を?」



 グイスは、まばたきをしておりますの。

 ふふっ、目の色がヘーゼルに戻りましたわね。



 「グイス、カンショーネ商会はわかるかしら。わたくし、今宵、ここで何かが起こることは、想定しておりましたの。商会の者に、ご贔屓の方々に、針をお配りすることも。グイスには、わたくしのスキルの秘密を、話しておりませんでしたわね?」


 「先程の、鍼のスキルのことでしょうか?」



 針のスキルと、鍼のスキル。


 組み合わせますと、人の気持ちを操れますのよ。


 と言っても、わたくしの味方に付いてもらえる、そんなような、ほんの少しの後押しですけれども。


 カルッカ殿下がご無理を言われた時への、わたくしなりの備えでした。


 ですが……。



 「グイス。どうにも、きな臭いですわ。わたくし、王子妃教育で忙しくさせられておりました。

 ……そうですわ。

 今にして思えば、わたくしを忙しくさせておき、他のことを、考えないようにさせられていたのですわ。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 幾重にも張り巡らされた陰謀……? はたして、ここから事態はどうなってしまうのか。
[一言] >“わたくし、グイスと結婚できたら良いですのに。” ニヤニヤ( ˘ω˘ )
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