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謎の男の侵入

そうして今に至る。

アイリはもうすぐ英雄養成学校に行く。

オーデンスも心の底では行きたいと思っているだろうけど、自分にはふさわしくないと思っているのだろう。


もしかしたらお金の心配をしているのかもしれない。

前々から英雄養成学校にはなにか不穏な空気を感じていたが、アイリが行きたがっている以上俺には止めることはできない。


もう12年もたっているのだ。

その不穏な空気は変わっているかもしれない、もし何かあったとしてもアイリほどの強さがあれば生きていけるだろう。


そして問題はオーデンスだが、オーデンスが英雄養成学校に行きたがっているならもちろん俺は止めることはしない。


いい年ごろっていうのもあるし、アイリを守れと言ったのは俺だ。

なのに俺が行くことを止めてどうするというのだ。

まあ、オーデンスが自分の口からアイリについて行きたいと言うような性格に思えないがな。

最近オーデンスはずっとあの木の下にいて、アイリとはまともに話せていなそうだし…。


このままではアイリとオーデンスはちゃんと話せないままお別れになってしまうだろう。

それは避けなければ…。


「久々に親子同士で真剣な話でもしてみるか…」


オーデンスはアイリのことをどう思っているんだろうか?


もう今はただ俺の言葉に従って嫌々一緒にいるわけではないことはわかる。

だけど、オーデンスはアイリのことが好きなのだろうか。

オーデンスは基本的にアイリと一緒にいて、他の女の子と話しているところは見たことがない。

アイリのことは友達として好きなのか、それとも…。


「まあ、俺が気にすることでもないか!」


仕事は仕事だ、集中しなければ。

そう気を引き締めて村の外の調査を始めた。


「ふう、もう十分かな?」


もうじき夜になる。

夜は危険じゃないということではないが、ここまで何の異変もなければ大丈夫と思っていいだろう。


「さて、帰るか」


仕事を切り上げて帰ろうと思っていたその時だった。


「誰だ!」


俺が向いている先は魔物の住処であるスキュラの大森林であった。

スキュラの大森林はとてつもなくでかい。

そこには誰も寄せ付けないほどの魔物が大量に潜んでいると言われており、そこの魔物を従えていると言われているのが魔族の国である。

そして魔族の国はスキュラの大森林の遥か向こうだそうだ。


誰もその大森林に近づこうとしないことから人間と魔族の境界がスキュラの大森林となった。

そして俺が発見した誰かはそのスキュラの大森林の方からやってきた。


「誰だと聞いている!」


その誰かは歩みを止めなかった。

どんどんこちらへ近づいてくる。

まだ暗くなる前なのになぜか顔がはっきり見えない。



「そ、それ以上近づけば斬るぞ!」


俺は剣を抜いて威嚇した。

だがその誰かは意にも介していないようで、その歩みを止めることができなかった。

だが、俺とあいつの距離は一向に縮まっていなかったのだ。


「ど、どういうことだ?あいつは確かに歩いているはずなのに…」


「!?」


そして俺は自分が気付かないうちに震えていた。剣を持つ腕も、体を支える足も…。

体があいつとだけは戦うなと言っているように感じた。


「お、お前目的はなんだ…!」


質問を投げるが、返事が返ってくることはなかった。

しかし、どんなに凶悪なやつだろうと、俺とあいつの距離が縮まなければ特に危険はないはず…。


「いてっ、え…なんで」


俺は突然後ろからの衝撃を感じて、振り向いた。そこには壁があった。

それは村の柵の役割を担っている俺より少し大きな壁であった。

村は壁で周囲を覆われているため後ろに進み続ければ壁に当たるのは必然であった。


そう、俺は気づかないうちに後退をしていたのだ。

無意識にあいつと戦うことを避けていた。

だからあいつとの距離が縮まらなかったのか…。


「くそ!なにが守護者だ、なにが上級だ!俺はそんな肩書を持っていても怖ければ結局逃げてしまっているじゃないか…」


村にはレイナ、オーデンス、アイリ、ダロウ。

そして俺に今までよくしてくれた村の人たち。

俺はそんな大切な人がこの中にいるのに何をしているんだ!

立ち向かうんだ、絶対にここを通すわけにはいかない!


「!?」


気づけばあいつはすぐ近くに来ていて、門をくぐろうとしていた。

だめだ、させるわけにはいかない!


「やめろおぉーーーー!」


俺は意を決して斬りかかった。

こいつは俺の方を全く見ていなかった。

なめやがって…!俺の剣はあと0.1秒でこいつに到達しようとしていた。

だが…

「うっ…!?」


デイルはそこで突然と眠ってしまった。

その男に目の前を横切られただけで…。

守護者デイルは易々と村の門をくぐらせてしまった。


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