テレパシスト
テレパシストと命名されたこのエイリアンは所謂グレイ型エイリアンとよく似ている。
青白い肌と細い体、体に比べて大きい頭部を特徴とし背丈は人の半分ほどだ。
装備はガウスガンのみである。
二番に接触したエイリアンであり、一番最初に地球上で確認されたエイリアンである。
世界各地でライフライン、放送施設、政治施設を襲撃し、それは現在も続いている。
テレポーテーションを利用した攻撃を防ぐ事は困難であり、妨害装置が発明されるまで被害を出し続けた。
少しでも人や物が集中する場所は彼らの攻撃目標であり、恐怖から一時は地価や株価の暴落、あらゆる集会の参加者不足等が起こった。
この命名の由来はこの種がテレパシーを扱えることだ。
彼等は限られた装備しかなく、通信機の類は持っていないはずだが高度な連携をこなすと報告がある。
一体に視認されると壁の向こうの別個体も警戒態勢に入ったそうだ。
おそらくテレパシーは部隊間の連携に使っていると考えられている。
また、テレパシーは攻撃にも使えることが分かっている。
この攻撃(攻性テレパシー波と呼称する)を受けた兵士は悪寒と平衡感覚の異常を報告していて、恐怖や混乱した知性体に対してより強力に働きかけるようだ。
優勢な状況下で攻性テレパシー波を受けた兵士は不快感を露わにしつつも味方の制圧射撃を待って後方へ下がる余裕を見せた。
しかし、民間人の犠牲者を見た後に受けた兵士は激昂して孤立しかけた。
不利な戦況下で追撃として攻性テレパシー波を浴びた兵士は重篤なPTSDを発症して現在も治療中である。
彼らの装備は非常に限られていて衣服や靴すらない。
唯一と言える装備の磁力兵器も他のエイリアンに比べて単純な構造で性能より資源の節約が重視されていることは明白である。
指揮なども彼ら生来のテレパシーで行っているようだ。
遺伝的多様性の異常な乏しさからクローンであると思われ、その事実もまたこのテレパシストが数を揃える事を前提とした消耗品であることを示している。
彼らのテレパシー能力は我々の知らない新しい力の存在の証明である。
捕獲した個体を我々の持つ限りの手段で観測した結果重力場や電磁場、熱に影響が出ていたことが分かった。
テレパシー波によってこれらに干渉することができるということはこれらでテレパシー波に干渉することができると言うことだ。
現在テレパシーを説明する理論の確立は成功していないが、利用はできる。
その第一号はサイココンカッションと命名された。
テレパシー能力を持つ生物は持たない生物よりもテレパシー波に対して敏感なのは当然のことであり、超高周波テレパシー発生装置を使えば人間は影響を受けずテレパシストを苦しめテレパシー網を機能不全にすることができるはずだ。
なお、人間は影響を受けないとしたが、それは短期的な試験でしか確認されていない。
即ち、日常的にテレパシー波を浴び続けた場合の影響は未知数である。
少しでもリスクを抑えるため距離をとることができ、限られた時間だけ作動するよう設計した結果、手榴弾となった。
使い方はスイッチを押した後、相手に投げつけるだけだ。
特定の相手のみに効くスタングレネードに通信妨害の効果があると考えればいい。
このサイココンカッションは手に持ったまま発動させることもできる。
試験では発熱した部品に触れた事による火傷のみで精密検査でも火傷以外の影響は発見されなかった。
リスクはあるが少なくとも攻性テレパシー波やガウスガンで攻撃されるよりは良いと予想されている。