まだ途中です
9階層高層ビル地区。
ビル地区のスクランブル交差点の中心にはボッカリ穴が開きちょうど通勤ラッシュだったらしくたくさんの人達が巻き込まれビル区内はたちまちパニックに陥っていた。
そのパニックの中心で2人の戦士が見つめ合う。
『ハァハァハァハァ.....』
『どうした十死弾、息が上がってるぜ』
と言う俺も、もうタイムリミットが迫っているけどな...1度仕切り直す必要があるな。まさかここまで手こずるとは...奴の能力が誤算すぎたな。
時刻は6時50分。俺の能力のタイムリミットが迫っていた。
俺の能力。"1時間の騎士"は自身の身体能力を1時間だけ100倍にする能力。俺が超スピードで動けるのもドラゴンを素手で倒せるのもこの能力のお陰である。発動したのは対策本部を襲撃した6時ちょうど。
この能力を発動して1時間が経つと能力による身体強化は強制終了し、30分は能力を使えない。それどころか身体強化の反動でまともに動けなくなる...30分。時間を稼がないと...
『吹っ飛べッ!!!』
地面を蹴って超スピードで十香を殴る。そのまま拳を振り抜き十香を遥か彼方まで吹き飛ばす。
よし、逃げる!
こうして俺は超スピードで出来るだけ遠くへ遠くへ逃げた。
9階層 ビル地区より3km離れた地点。とある学園の1教室。時刻は7時。
『今日も退屈だ...』
そう呟きながら小説を読む。世界を変えると言ったものの...はてさてどうしたものか。肝心の同士は見当たらないしなー
そんな事を考えていたその時だった。
ズドオオオン!!と大きな地響きがなり、教室内がざわつき始める。おい!アレ!と窓側の席に居たクラスメイトがグラウンドを指さす。
地面にぼっこりと大穴が開きそこに人が倒れている。白銀の髪、白いフード付きパーカーに黒のGパン。この格好どこかで...
気がかりだった、すぐさまBMIで鏡花と造瑠に連絡をとりグラウンドに集合と伝え僕はグラウンドに向かった。
...っ痛ってぇ。まさか飛躍中に能力切れで着地ミスするとはな。思いっきり背中打った。しばらくは追ってこれないとは思うけどここ何処だ。
痛む身体を起こし周りを見渡すとギャラリーで溢れかえっていた。
学生服...ここは学校みたいだな。
身体中が痛む、能力の反動で歩くのもやっとだ。痛む身体で歩く。今はただここから離れなければ、彼らを巻き込む訳には行かない...
そんな時。
『えっ、遊..星..さん..?』
懐かしい面影を漂わせた少年が驚いた表情でそこに立っていた。
彼は...まさか!?
気がつくと僕は彼をギュッと抱きしめていた。
『ちょ、遊星さん!?痛いです』
『あぁ、ごめん。懐かしくて...5年ぶりかな?大きくなったな、壊斗くん』
それは5年ぶりに見る先生の息子さんの姿だった。なおさらだ彼を巻き込む訳には行かない。
『壊斗くん、悪いけど再開を喜んでられない。僕は今、十死弾の十香とか言う女と戦っていてね。今朝のニュース見たろ?あの襲撃犯は僕だ。君を巻き込む訳には行かない。』
『そうだったのですね...なら都合がいい。』
彼はフッ。と不敵な笑みを浮かべると口を開いた。
『僕と...世界を変えませんか?』
それは運命の再開だったのかもしれない。この再開が僕の今後を大きく左右することになるとは知る由もなかった...
9階層東区。十香はビル区から3kmほど東に吹っ飛ばされ、かなりの時間を浪費していた。彼女の能力、"絵空事日記"はあらゆる絵空事を現実に出来るがその能力を持ってしても遠く離れた遊星を見つけるのは用意ではない。
チッ..これじゃ拉致があかない。なら!
『"絵空事日記"千里の眼差し』
そう呟くと十香の周りに翼を持つ目ん玉が無数に出現した。さぁ、かくれんぼの時間よ。
見つかるのは時間の問題だった。十香の地点は壊斗達の学園からは距離があったが空には無数の目ん玉。その目ん玉達は真っ直ぐに壊斗達の学園に向かっていた。