第7話「有り余る行動力」
スピカを背負って歩くうちに、日は完全に落ち、あたり一体を闇が支配するようになってきた。正直、夜は危険だ。夜行性の魔獣ってだけで、昼に戦うのとはわけが違う。さっさと広いところに出て、火でもつけないと…。
「くかーっ。」
ちなみにスピカはさっきからずっと寝てやがる。きっとはしゃぎ過ぎて疲れたんだろう。まあスピカの体重なんて、大した荷物にもならんし、いいんだけどさ。
十分くらい歩いて、一晩を過ごすのにちょうど良さげな広場を見つけ、俺はそこに座った。
「おい起きろよー。着いたぞ。」
「んー?たくさん殺せるところ着いたのー?」
少しばかりスピカは寝ぼけているようだった。そうでなかったとしても、俺はそう解釈した。
「違うけど、今日一晩寝るところに着いたから、起きてくれってことだよ。」
「うーん、まだ眠いよー。」
スピカはそう言いながら目をこすったが、俺の背からは降りてくれた。降りてくれたのに、あんまり重たい荷物を下ろした気がしない。スピカの体重はどうなっているんだろうか。
「ほら、飯作るからまだ寝てていいぞ。」
「んー?ご飯にするのー?ならわたしがとってくるよー。」
スピカはそう言って森の中に飛び出して行った。本来ならば止めるべき場面なんだろうが、止めようとする前に行ってしまったので、もうどうもならない。別にこのまま帰ってこなくてもいいんだが、あいつなら平然と帰ってきそうだな。ほんと、嫌な予感しかしない。