第16話「たった二人の侵入者」
「何者、だ。」
俺らの前に現れた兵士は約15人ほど。
さらに、城の窓の方からも、視線を感じる。
その中で、兵士長らしい一番強そうな男が、俺たちに話しかける。
「スピカはねー、この城に住んでる王様をぶっ殺しに来たんだよー。」
おい待て、いきなり何を言いだすんだこいつは……
と、思ったが、兵士長らしき男は、隙だらけの姿勢でスピカに近づき、
「お嬢ちゃん、そんな物騒な言葉、どこで覚えたんだい?この青年かい?何かひどい扱いを受けているなら我々ガ保護してあげようか?」
しゃがみこみ、そんな事を言い出した。
一瞬頭でも狂ったんじゃないかと思ったが、よくよく考えたら、これってただの幼女の妄言だよな、何も知らない奴から見れば。
そんな呑気な事を考えていると、兵士長の言葉に首を傾げていたスピカが、徐々に表情が険しくなっていった。
ーこれ、まずくないか?
と、俺が思った時には、もう既にスピカはゆっくりと左手を振りかざしていた。
「何言ってるのー?わたしは本気だし、お兄ちゃんは悪い人じゃないよー?」
そう言って頬を膨らませたスピカが、一瞬で兵士長を粉々に砕く。
ーそれを見た他の兵士達がギョッと目を見開く。
ーこれはまずい、スピカを只の幼女だと見くびっていた奴らの見解が一気に変わった、
「スピカ走れ!一気に逃げるぞ!」
俺は即座にスピカの手を取り走った。スピカは想像以上に冷静に俺についてくる。
ーさて、これからどうしたものか。王の殺害もそうだが、さっき城の窓からこっちを見ていた、誰かについても、対処法を考えなくてはならないことに、俺は深いため息をついた。