第14話「侵攻開始」
俺たちはそれから、ラケルの店を後にし、今日泊まる宿を問題なく確保し、順調に今日を終わる準備を整えていた。俺は部屋に用意されていた紅茶を啜りながら、リラックスしていた。
「ねーお兄ちゃん。夜になったらあの城壊しにいこーね!」
吹いた。
「ゲホッ…え?なんだって?」
「えー?聞こえなかったのー?……じゃあもっかいだけ言うよー?」
スピカは呆れたような不満そうな顔で、俺に言ってきた。
「あ、ああ。」
もしかしたら聞き間違いだったかもしれない。もう一回聞いてみよう。
「今日の夜、あの城を壊しにいこーって言ったの!」
今度ははっきりと聞こえた。聞き間違いや空耳じゃない。
スピカははっきりと、今夜この国を征服すると、宣言したのだ。
「え?早すぎない?」
「いやいやいや、早いに越した事はないよーお兄ちゃんっ。」
確かにそうだけどさ。
実際スピカなら、いつ攻めても結果は変わらなさそうだが……
ついさっき、ラケルに向かって臭い台詞を吐いたその日に攻めるって……。
ー締まらないにも程がある……。
ーーー
だが、早いに越した事はない、という意見に都合のいい反論が見つからず、結局今夜、城に攻める羽目になった。