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まさかまさかの

「グォォォォォ!!!」


目の前で苦しみもがく黒い塊。



そう、魔王である。



魔王と言えばレベルカンスト何でもありのクソチートラスボスだ。



実際、やつのレベルはエクストラとか訳の分からないことになっている。何だよエクストラって。それもうレベル関係ないよ。ふざけんなクソチートめが、って思うでしょ?



数分前まで、俺もそう思っていました。



「……え?」



倒しちゃったよ、魔王。



この状況で、魔王倒しちゃったよ!!どうしてくれるんだ俺のウハウハ異世界ライフ!!魔王挑んでボロボロになって美人な女医さんとオトモダチになる未来は!?ねえ!魔王!!



congratulation



じゃねえ!花火綺麗だなチクショウ!!



魔王どうしたんだよ。弱くないか?だって俺、俺、



レベル1



ですけど!?



あれか?当人のレベルに合わせるタイプか?いやいや、異世界の魔王がそうなら、とっくに倒されてるよな。それに、雑魚キャラっつーか魔王の騎士も四天王みたいなのも弱かったし。



これはどういうことなんだよ……!これじゃあ来たばっかりなのに英雄になって即帰宅ルートじゃねぇか!美人な女医さん以外に心残りはないが……会いたかった。



俺はニートだ。こんなことになってるが、ニートなんだ。



家に帰れるのはありがたい!!非常にな!!



しかし……せっかく来たからには美人に会いたいじゃないか。



俺はこっちに来て即刻一人でここに来たから、パーティーも組んでないんだよ。孤軍奮闘で何とかなっちゃったわけなの。一回くらいパーティー組みたいよなぁ。もっと異世界ライフ満喫してから攻略に行った方がよかったな。……これだもの。



異世界モノはウハウハじゃん。だから俺もウハウハになれると思ってたのに……!!



でも、まあ1日くらいは滞在してもいいでしょ。



「よーし帰るぞー」



誰も返事しない!寂しい!



____





「えーと、あのー……魔王、倒しました」



王都に戻って勝利報告中なレベル1勇者です。



さて、報告もしたし滞在許可もらうか。俺は勇者だし、願いくらいは聞いてくれるはず。世界を救った恩人の願いは無下に出来ないだろ。



「おお、ありがとうございます!!助かりましたよ、トウドウさん!さっすが異世界から来た勇者様でございます!!」



称賛はいいんだよ!ジジイに誉められても嬉しくない!!



「それでは、褒美としてこの国の秘宝を……ああ、でも剣ですが大丈夫ですかね?」


「いや、剣はちょっと。俺の国って武器禁止なんですよ」


「おや……それはそれは。変わった国ですねぇ」



まあそうだよなぁ。こっちの世界はどこも武器OKだし。異世界は大体そうなんだろうけど。武器禁止の異世界なんて、俺は見たことないからな。といっても、ファンタジー的なふわふわ知識だが。別の異世界には武器禁止の国もあるのかもしれないし。



しかしな……これで、願いを叶えるチャンス到来だ!!



このチャンス、無駄にはしないぜ。



「それでですね、剣の代わりといっては何ですが……この世界への滞在許可をいただきたいんですよ」



ふふふ、これは断れないだろう!なんてったって、勇者だからな、俺!



「ダメですな」



…………あれ?



思ってたのと違う。な、何でだ?ダメなのか?



まさか、すぐ帰らないと死ぬとかか?だったら納得だけどさぁ。そんなに勢いよく突っぱねる必要性は感じないな。ちょっと食いぎみで来たぞこの国王。そんなにイヤなのか。ダメ、なのか。



だってよ、この世界に来て数時間だぞ?帰れだなんてあんまりじゃないか。異世界から来た英雄様に失礼だとは思わないのかな。



「お帰りください、勇者様」


「何故ですか?」


「……お帰りください、どうか」



そんなに拒否されるとグサッとくるぞ。



「何故、そんなにも」


「帰れ!!」



城内に響き渡る声を轟かせた国王。それには俺もビビる。ついでに、騎士みたいな人たちもざわざわと騒ぎ立てている。



だが、国王のこの態度。……何か、裏があるのか?


この世界には、何か秘密があるのかもしれない。



だったら、それを暴くのが勇者だろう!!



「おおおおお!!」



俺は猛然と走り出した。



幸いなことに、こっちに来てからステータスはだだ上がりだ。その辺のやつなら手も足も出まい。元々、あっちの世界では陸上部のエースもやってたんだ。足には自信がある。


三吉高校陸上部の元エース、なめるなよ!!これでもウチは強豪校だ!!



勢いそのまま、窓枠に手をかけ外へ飛び出す。ここは15階、普通なら死ぬ。だが!俺は勇者!ステータスはレベル1でも上級騎士と同等!!



下へ落ちきる前に、空中で初期スキル『バースト』を発動させた。つまり、だ。空中で移動してる。バーストは初期スキルゆえ、消費する体力も少なくて済む。何度も使えるんだよ!



ビュンッと宙を舞うように家々の上を飛んでいく。どこか、隠れられそうな場所……あ、そうだ。魔王城。あそこなら誰も来ないだろう。



バーストの上位互換、ブーストを発動。なんかそう、あれだ。鉄腕ア○ムみたいな感じ。これもほとんど初期スキルだ。ちょっとしたものだからな!


……氣とかじゃなくて残念とか思ってないぞ。



まあ、魔王城までは遠いし……のんびり旅でもしながら向かおうか。


出来なかった観光をやってやる!!

異世界モノです。慣れない部分もありますので、誤字脱字など指摘していただければ幸いです。

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