表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/15

第9話 シャドウと呼ばれた男

「アルト様! アリスお嬢様がお見えになりました!!」



本部に副官のトイが入ってくるなり、アルトにアリスの来訪を告げた。



「アリスが?」



アリスは、今は城にいるはず。 そもそもどうやってここまで来たんだ?



困惑するアルトだったが、会えばわかるかと思い直した。



「わかった。 とりあえず、この本部に連れてきてくれ。」



トイにそう告げると、 かしこまりました の言葉と共にトイが本部から出て行った。





********




「父上! ご無事ですか?」


アルト王は、アリス姫とトウマたちの方を眺め、非常に怪訝そうな顔をしたのち、アリス姫に尋ねた。


「アリス。 どうしてここへ?」


「大叔父のゴーウィンが、城の側近たちを次々と捕え、反乱を起こしました。」


アルトはやや眉を潜め、

「そうか。 だが、偵察隊にアリスの報告は無かったぞ。アリスはどうやってここへ?」


「私も捕まりそうなところを、リアが助けてくれました。

リアの部屋の隠し部屋から外に抜け、ここまで一直線に森と山を抜けてきたのです。」



「その者達は?」


「道中、オオカミに襲われていたところを助けて頂き、ここまで護衛して頂きました。」


「そうか、シャドウが護衛についているから、何事かと思ったが、偶然の産物ということか。」



ここまで親子の会話を見守っていたトウマたちたが、聞きなれない単語に、ユウリは思わず聞き返してしまった。


「シャドウ?」


ユウリの呟きに、アルトはユウリを一瞥し答えた。


「シャドウを知らないとは、本当に偶然のようだな。黒装束を捨て、獲物を大剣に変えたとの噂は聞いていたが、本当だったとは。」


「俺は、わざわざ、装備を変えたとの宣伝はしていないはずですが、アルト王はずいぶんと耳が良いご様子で。そもそも表の仕事をしたことは数えるほどしかないはずだが。」


やや皮肉げに語るハヤトに対し、アルトは全く悪ぶれずに答えた。


「同盟があったころ、一度、主の戦いぶりを見たことがある。当時、10代前半だった主の戦いぶりは今でも目に焼き付いている。


あの頃とは随分と雰囲気は変わってしまったが、すぐにわかったよ。


シャドウほどの人材を捨て置くほど、ウチの国は人材豊富ではない。


ちょうど、若くて優秀な人材が欲しかったのだ。


すぐに、私はゴーウィンの討伐に城へ戻る。


シャドウ、ご同行願えないか?」



「ずいぶんと反乱討伐の準備が良いものだな。


それに、昔の話を覚えていて頂き光栄だが、同盟なんてものは、お互いの国が存在してこそのものだ。


片方の国がなくなれば、その時の縁もなくなるのが道理だろう。


俺は、今さら新たに一つの国に仕えるつもりは無い。






だが、傭兵として金が貰えるなら、俺はなんでも構わない。」



「依頼の仕事は金次第か。金額を提示する前に前向きな返事が頂けるとは、私もシャドウの目に適ったようだ。」


何かを見透かしたようなアルト王のセリフにハヤトは小さく舌打ちした。


「俺の名はハヤトだ。依頼人になるのであれば、シャドウではなく名で呼んでくれ。


それより、姫さんの護衛は若造4人でいいのか?」


「アリスの護衛には、副官のトイもつける。インプのほうは、指揮官も含め、ほとんど討伐済みで、残りは残党処理だけだから、大丈夫だろう。」


指揮官 の単語に、ハヤトとトウマは眉を潜めるが、最終的には「仕事が早いこった」と、ハヤトが呟いただけで、指揮官云々の話は二人とも聞き流すことにした。


「それでは間もなく出発する。トイ、残党処理とアリスのこと、よろしく頼むぞ。」



トイと呼ばれた副官に、そう告げると、アルト王は本部から出て行った。




********





インプ討伐陣営に残ったトウマ達は、各々、バラバラにのんびりと過ごしていた。


ユウリだけは、同じ槍使い通しとのこで、トイと訓練に励んでいる。


カナはアリス姫と一緒にいるようだ。


エリーはおそらく、俺と同様に、陣営内のどこかで待機しているのだろう。







4人で同じ場所にいるのに、バラバラに行動するのはいつ以来だろうか。


村での生活では、なんとなく、4人のうちの誰かと一緒にいるのが当たり前だった。


母とともに村に来たとき、幼いながらもすでにワンパク盛りだったユウリとエリー。


まだ生まれたばかりだったカナ。


成長するにつれ、いつの間にか、4人組の兄貴分として定着していた。






村での生活も楽しかったけれど、それももうすぐ終わらせる頃なのかもしれない。


今回の件が終わったら、久し振りに、王都にいる父に会いに行ってみるか。


そう思いながら、しばし休息を取るトウマだった。





********



トウマは、しばらく外でのんびりしていると、訓練場から急いで本部に戻るトイの姿が目に入った。



トイのすぐ後ろをユウリがついていく。




何事かあったのかと思い、トウマも本部に向かって走っていった。






********



本部では、緊急の会議が行われた。


トイとユウリを追いかけ、本部に入ってしまった手前、いつの間にか会議の末席に加わることになってしまった。


どうやら、散り散りになっていたはずのインプたちが合流を果たし、こちらへと向かっているようだ。


アルト王の話からも感じていたが、インプの動きが明らかに統率がとれている。


野生のインプの中にボスがいる、という事とは、少し違う気がした。


インプ隊がどこからか派遣されている、そんな印象を受けた。


まさか、という気持ちが半分以上だったが、山のホブゴブリンといい、モンスターの動きが今までとは違う気がしてきた。





会議を取り仕切っているのはトイだ。若いのにずいぶんと信頼されているようだ。


トイの左隣には、アリス姫。



何故か、トイの右後ろにユウリ。 アリスの左後ろにカナがいた。



あいつらは一体なにをやっているんだ・・・・


やたらと目立つ場所にいる二人を呆れながら見ていると、いつの間にか隣にいたエリーも、似たような表情を浮かべていた。



二人を見やりながら、断片的に会議を聞いていると、どうやら、1個体だけ、強いインプがいるようだ。


おそらく、そいつが指揮官なのだろう。



トイ率いる小隊が指揮官を受け持つ話で会議が終わろうとしているところだった。


自分たちはアリス姫と一緒に陣営内にお留守番かと思ったが、アリス姫が会議に爆弾のような話題を投げ込んだ。





「私もトイと一緒に行きます。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ