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プロローグ

処女作です。

雷が鳴る嵐の夜、森の中を馬に乗って駆ける一人の少女がいた。


相当な距離を走ってきたのか、馬も人もかなり息があがっている。


月明かりもなく、視界の悪い森の中、まだ10代半ばの少女には、相当過酷な道のりではあったが、自分がなんとかしなければいけないという強い覚悟があった。


かなりの距離を走ってきたのだろう。疲れの表情を見せる少女だが、弱音を吐いている暇はない。





しかし、大きな上り坂を登りきったところで、馬の脚がついに止まってしまった。


「お願い、走って! なんとかして父上にこの報せを届けなければならないの!!」


少女の悲痛な叫びも空しく、馬は、ゆっくりと前に進む力しか残っていなかった。


「一体、どうすれば・・・」


雷が鳴り響いた直後、一人呟く少女の視界の片隅に、やや遠くに集落が視えた。


「あそこの村で馬を借りれば。



お願い、間に合って!」



少女は、馬と共に、ゆっくり村へと歩き出した。





********


「いや~、今日はとんでもない嵐だな! こりゃ、モンスターだって迂闊にウロウロできないだろ!」


村の外れにある酒場でドアの開く音がすると同時に、若き青年の声が響き渡る。


「ユウリ、お前はこの嵐の中の見回りの後で、よくそんな元気があるな。ていうか、僕が入れないから早く奥まで入ってくれよ。」


と、最初に入ってきた青年の後ろで、メガネを掛けたもの静かそうな青年が、ため息交じりに呟いた。


「だってよ、トウマ。 こんな凄い雨が降ってきたら、テンションだって上がるってもんだろ!」


ユウリと呼ばれた青年が、店の中に進みながらトウマに向かって大声で話すと、店の奥から、長い髪を後ろで結わいた快活そうな少女の声が聞こえてきた。


「全く、ユウリは体ばっかり大きくなっても、精神面は子供のままね。」


快活そうな少女が、ユウリという青年に向かって毒を吐くと、4人掛けのテーブルのすぐ隣にいた別の少女が窘める。


「お姉ちゃん、いくら本当の事でも、先に見回りに行ってくれたお礼を言ってからでも遅くないと思うの。


 ユウリ、トウマ、お疲れ様。」


お疲れ様の言葉と共に、少女は青年二人に向かって優しく微笑むが、前半のセリフも聞こえているユウリという青年はげんなりした顔になり、トウマはユウリの後ろでクツクツと笑っている。


ユウリはげんなりした顔のまま、


「エリーは相変わらず容赦ねぇな、一言くらい労いの言葉をかけてくれてもいいんじゃないか? 

カナも労ってくれているように見えて、俺の傷を抉ってるだけだから・・・」


と、少女二人に聞こえるように呟きながら、少女たちの座っているテーブル席に腰掛ける。


エリーと呼ばれた快活そうな少女は、


「トウマはお疲れ様。ユウリは楽しんできたみたいだから、別にいいんじゃない?」


と、さらに追い打ちをかける。


ユウリはさらにげんなりした顔になり、トウマは、クツクツと笑い続けたまま、ユウリの隣に腰掛ける。


すると、カウンターの中から、


「相変わらずお前たち4人は仲がいいな。 トウマ、ユウリ、なんか飲むか? 見回りのお礼に1杯くらい奢ってやるぞ。」


と、マスターが声を掛けた。



********


ユウリよりやや大人びた顔つきにメガネの奥に優しそうな瞳、やや濃いめの茶色にやや長めの髪型の青年がトウマ。17歳


大きな瞳に少年のようなあどけなさを残しつつある顔つき、鮮やかな緑色、さっぱりした短髪の青年がユウリ。15歳


やや釣り目の大きな瞳に勝気な顔つきにも関わらず、綺麗というよりは可愛いという表現が似合う顔つきの少女。

薄い茶色で腰まで腰の近くまで届くクセの無い長い髪を後ろに一つで束ねた髪型にするのがエリー。 ユウリと同じ15歳。


エリーの妹であり、姉とは正反対に、ややたれ目の穏やかな顔つきで、クセのある髪を肩まで降ろし、エリーと同じ髪の色の少女がカナ。14歳。


過疎化が進む集落で、同世代の4人は、それぞれが生まれた時からずっと一緒に暮らし、成長してきた。


このまま、集落で穏やかに暮らすのか、都市に出て新しい生活に身を置くのか、そんな月並みな悩みを抱える年ごろであった。



これから訪れる波乱の幕開けが、ついそこまで迫っているなど、露知らず--


ここまでお読み頂きありがとうございました。


初めてなので、わからないことだらけですが、誤字脱字、感想などありましたら、ご連絡下さい。


次回も今日中に投稿予定ですので、よろしくお願い致します。

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