肆、襲撃。
じすくない
声を掛けたら水が凄い勢いで突っ込んで来て岩が砕けて解放されたけど目の前まで水の槍っぽいのが飛んできて危うく貫かれて死にそうになったけど僕は元気です。やあ。
何だかんだ挟まってた所助けて下さったので感謝の言葉を送ると何か知りませんが見えない所から火とか水とか木の槍が飛んできて怯えてます。僕です。
というかさらりと超常現象が目の前で起こってます。妖怪は本当に居たんですね。
にしてもおちょくられてる気分ですね。
水飛沫のせいで撃ってくる場所が見えませんし、小石投げるのも殴るのも、方向が分から無くちゃなあ。
飛んでくる方向も逐一変えて来ますし。ギリギリ当たらない距離を見極めてるのか、毎回目前で槍が消えますし。
お陰でちょこっと安心してますな。
というかいつの間にか戦闘に入ってるんですが、これは。
[右肩前方ニ敵性反応]
はあ、報告ありがとうございます。
.......?
[対象ノ移動ヲ確認,再度索敵,,,左肩後方ニ敵性反応]
.......!?
何か喋りかけて来てるんですが何事か、これは面妖な。
これ敵ですかな?
といっても姿も見えませんしな。
取り敢えず言われた方向に行けば良いんですかねえ?
振り向き、走る。
水の中だというのに、不思議と走りにくい事が無く、普通に走れた。
昔と比べても、とてつもない速さだった。
大きく跳躍、とんでもない勢いが出た。全身に重力のような物がかかる。
水飛沫を飛び越え、目前には攻撃してきたであろうそいつが居た。
水に濡れ、艶のある長い黒い髪。
整った顔立ちであったが、両目には引っ掻き傷のような大きな傷痕があった。
耳が、髪を抜けて長くつき出していて、先は尖っている。
革製のコートを羽織っていて、背中には何かが詰まった袋を担いでいる。
それは、胸の膨らみと顔立ちからして、女であった。
「っ、いつの間にっ!?」
女は驚愕の表情を示す。
平手を水平にし、首筋に一寸の狂いも無くぶつける。慈悲は無い。当て身だから慈悲深い。
「くぁはッ」
痛みもなく、衝撃によって気絶し、垂直に水面に向かって落下した。
「.......何ですかな、この女性は?」
[解,種族エルフ,浮遊,感知等ノ魔力残像ヲ確認]
「さらっと会話してこないで貰えると嬉しいですな」
水面に到達した衝撃で、水飛沫が上がる。
今、あの女は浮かんで、否、飛んでいた。
.......ちょっと話を聞いた方が良さそうですな。
ある程度思考した所で僕の身体も落下しましたな。
◆ ◆ ◆
使える限り使った全力の攻撃系統呪文。
全てが、ソレに当たる直前で霧散する。
呪文が霧散する条件は、吸収、妨害、式の崩壊。
今回使用したのは、精霊呪文の類いで、式の作成は必要無いし、精霊にはほぼ全ての妨害が通じ無いのだ。
であれば考えられるのは吸収だが____。
感知の術式は便利だ。
私の様に目が使えなくても物体の位置、形状を判断できる。
物体と生命体をしっかり見分けられる為、何か壁があっても、その先の存在が見える。
ソレは、物体とも生命体とも言えない、魔動機械とされる存在だ。
必ず、ギアと呼ばれる心臓部分があるはずなのだ。
そこさえ壊せば、一発。
だが、呪文が霧散する度に、傷だらけだったソレの装甲が、治って行くのだ。
あれは、あれは一体何なのだ。帝国で、一回も見なかった貌だ。
気付くと、眼前に紅い二つの瞳があった。
色が、変わっている。
「っ、いつの間にっ!?」
思わず上がった驚愕の声。
次の瞬間、軽い衝撃と共に、意識が途切れた。
夏休み中は頑張る。