参、出会イ
ブックマーク:4件 8p 8/1深夜
感謝ッ!圧倒的ッッ!感謝ッッッ!!!
石を積む作業を終える。太陽は頭の真上に登り、日差しがキツくなってくる。
「ルルちゃん、お昼ご飯にするが」
「あ、すいません」
「ほいよ」
エルフの細い筋肉を酷使し、最早汗だくである。
全部魔法でどうにかできないだろうか、出来るが魔力が減るのは困る。
黙々とパンを貪り、時々牛乳を注ぐ。
簡素だが、今から山に入るのを考えればちょうどいい。
腹に物を入れれば動きが鈍る、ちょっと減ってる位が良いのだ。
何より腹の容量が少ないエルフである。これ以上は入らないだろう。
「ルルちゃん、前の揺れでどっか崩れとるかも知れん、気ぃ付けんしゃい」
「はい、取り敢えず多めに取って来るので、少し時間が掛かるかも知れません」
「あいさ」
持ち物の確認も先程したし、ここらの山にはそこまで強い獣は出ない。
精霊魔法で大体どうにかなるだろう。恐らく。
「それでは、行ってきます」
「気を付けてねー」
柵の合間の門を抜け、私は山へと歩いていった。
◆ ◆ ◆
「ぬぅ.......」
ヤア、跳躍の結果崖下に落ち川にボチャンして滝にてうわぁああああああぁああして、気を失って。
でもまだ生きてる僕です。
五感復活してからのあれは誠に地獄でしたな。やったぜ(白目)
ここは川の下流のようですな。
巨大な岩に引っ掛かってる人形の鉄(?)。何だか前衛的芸術ですな。
嗚呼、僕は夢と判断しましたが、こんな地獄が夢で起こるなど、大変ですな。
畜生。
流れは緩やか、されど、岩にがっちり抱擁され立ち上がれませぬな。
助けを呼ぼうにも、このような森に人がいるというのは.......
七時の方向に一人、
疲労しているのか、吐息と歩行が重い。
こちらに歩いて来て居ますな。
速度的に、重い何かを持っている、又は老人か。
まあ、恐らく大丈夫でしょう。
「おーい、そこな人ー」
出来る限り疲労しているように声をあげたが、どう取られるか?
◆ ◆ ◆
河原は、石集めにはちょうどいい。
大きさが合わなくとも、少し登ったり下ったりするだけでそれなりの石が見つかる。
山から直接取り出すというのもあるが、この地域は幻獣が住んでいるのでやめておいた方が良い。
幻獣は怒ると恐ろしいのだ。
それに、時々宝石等が流れて来る事があるので、金にもなる。
いつの季節も涼しいので、私は好きだ。
仕事で無ければのんびりと過ごすのだが、石を持って帰らねばいけない。
「"重い雰囲気、歌って軽くするのが、風精の楽しみに決まっとる"」
集めた石の入った袋を、風が包み込む。
少しだけだが軽くなった。浮遊でも使えれば良いが、あれは燃費が悪い。
にしても、今時、石を積んだ窯を使う意味があるのだろうか。
極東の技術者がレンガというのを作ったらしい、ついでに言えば、石造りのしっかりした建物もある。
それらなら、一々修理する必要も無いだろうに.......
まあ、仕事が減るのは困るのだが。
等と考えている内に、必要な石は集まった。
重いは重いが、まだ物は持てる。
せっかく河原なのだから、ちょっと上の方で魚でも捕ってくるか。
そう考え、移動したから、聞こえてしまった。
「[呼ビ掛ケ]左舷後方ニ存在ス生命体ヨ,応答セヨ」
老人とも子供とも男とも女とも聞こえる声。
帝国で、幾度も聞いた音声。
「!_"穿て水精、それは流れを阻むモノ"!!」
咄嗟に精霊呪文を唱える。
川を流れる水は、その声の発生源と思われる場所を、岩を砕き、そして霧散する。
水槍は、行く手にある物質を、別の水のある場所まで届かぬ限り進み続ける。
そこに水は無かった。
本来なら、今、砕けた岩の影から覗くソレも貫かなければおかしいのだ。
ドングリのような形状の装甲を着けた頭部。
大型の螺で留められた重厚な装甲を着けた、どこかスマートな胴体。
先に行くほど太く、硬く装甲が付けられ、拳にはゴツゴツしたモノが着いた腕。
そして、森の中で、威嚇するような青い二つの瞳。
全てが、鉄のような金属に覆われたそれ。
「[感謝],貴官ノ協力ニヨリ,脱出ニ成功セリ」
鉄が人の形を象ったそれは。
私を見て、嬉しそうに、目を細めた。
字数少ないん。
頑張るしか無いん。