弐、跳躍。
キャラ増えます
歩き出したのは良いですが、どのくらいの能力なのですかな。
まだ脚がついてた頃の僕に、速さで勝てる者はおりませんでしたからな(ドヤア)
鉄の塊が如くこの重厚そうな新たな身体。どうなりますかな。
脚に力を込める感覚というのも、久しぶり過ぎて忘れかけていた。
土を蹴る、ただそれだけをしただけなのだが。
身体が木々を薙ぎ倒し、前方へと吹っ飛んだ。
「ぁあああぁあああ!?」
これ、走行じゃ無いですな。跳躍ですな。
久しぶり過ぎて忘れてましたな。
というか、跳躍でここまで跳ぶとは、垂直はどうなりますかな。
等と考えておりますと、木々に覆われた視界が突如開け、青く清々しい空が見えますな。
あ、これ崖だ。
前方跳躍も失速し、着地できる土地は飛び越え、崖の下に見える川が見える。
地面だったら全身複雑骨折ですな。水だったので打ち身ですな。
.......これ、死ぬんちゃう?
「あああああぁぁぁぁぁ.......」
南諸島以来の落下ですな。
やったぜ。
◆ ◆ ◆
よくある話だ。
奴隷として捕らえられ、作業だけ教えられ、使えなくなれば捨てられる。
作業の中から技術を覚え、捨てられた後に一芸を取得しておけば、そこそこ暮らしていける。
かくいう私も、鷲の月に解放されてから家屋の修繕等をしてこの村で暮らしてる。
村の名前は知らないが、森も川も近いので猟の仕事もできるし、町からも離れていて、凄く住みやすい。
村の人も、エルフだからと言って差別はしない優しい人達だ。
「ルルちゃーん、後で窯の方もお願いできまっかー?」
「ちょち待ってー、すぐ行くからー」
今日は仕事が多い。昨日の早朝に少し大きな地震があったのだ。
地震なんて滅多に起こる事では無く、耐震性の無い木造の家は一部壊れてたりする。
「"天まで届け、のっぽの木、木精の本気を見せてやれ"」
木造ならちょっと壊れてたりしても、初級の木精呪文でどうにかなるので、そこまで大変じゃない。
問題は窯で、石を積んで造られた物だ。
石は増殖したりしないので精霊呪文ではどうにもならない。
だからこそ、一々取りに行かなくてはならないのだ。
土壁だともう少し楽なのだが。
窯での焼き物がこの村の唯一の特産品だからこそ、手抜きは出来ないのだ。
「はい、出来ましたよ村長」
「ごめんねーいつも、二番と十二番が崩れちゃってねー」
「どれどれ.......、二番は積み直せばいけますけど、十二番は石砕けちゃってますねー」
「次から石備蓄してみるかねー」
「その方が良いでしょうね、楽ですし」
どうやら、また取りに行かなくてはならないようだ。
エルフに肉体労働とかおかしくないですかね。
取り敢えず、私は石を積む仕事を開始した。
エルフメカニック.......(ごくり)