壱、自覚。
いい遅れたが、初投稿シリーズです。
好きなだけ批判くだちい。
「.......ん?」
光に包まれた、その瞬間だった。
風で木が揺れる音。
鳥の鳴き声。
虫のざわめき。
そして何より、森が見えたのだ。
「.......は!?」
こうして、驚愕の声も出る。
目と、口が機能している。
目が機能しているのに気付き、更に、視界が高い事に気付いた。
立っている。とうの昔に無くしたその数々。
「ま、まさ.......か.......!?」
腕も、動かそうと考えると、動いた。
グウィーンという、機械独特の駆動音と共に。
「は?」
見えるようになった目で、動いた腕を見下ろす。
腕は、太く、力強く。
指は、太く、固く。
とても頼もしく見えるそれだが。
明らかにそれは鉄であった。
鈍く光を反射する、金属光沢があり。
黒色の塗装の下には、銀色の、冷たく、傷の着いた鉄特有の色。
「何.......だよ、こ.......れ」
身体も同様で、所々にネジか何かによって固定されている。
腰からは布が下がっているが、巻き付けている訳では無く、身体に直接固定されているのだ。
手で、顔を触る。
物を触る感覚とは、こういうモノだったろうか?
それは、生物の感覚ではない。
冷たい、命の宿らない金属特有のそれ。
それは、自分の、飯塚 くろがねの、頭部だ。
そう、くろがね、僕は____
人間では、無くなっていた。
◆ ◆ ◆
さて、人間を止めた気がします。僕です。
突然第一人称だ、驚かせてすまない。今までは何人称だったのか、少なくとも無知な僕には理解できませんな。
取り敢えず事の流れを整理な。
謎声聞く→お迎えが来たと判断→知覚完全復活→金属。
何を言っているか理解できる人は少ないだろうが、少なくとも無知な僕には理解できませんな。
混乱しているから存在しないだろう存在に向かって語っているのですよ。
これは夢なのかね?全身げぼるしゃあでどろろ状態の僕に対する神様の慈悲かね?
何となく、死んだってのは夢じゃない気がするんですよねえ。
じゃあ生まれ変わり?死ぬ直前に考えた来世?
無いな。僕ばりっばり神道ですし、仏教やってないですし。
ちらりと、自らの身体を見下ろす。
見事に鉄で人を作ってみたって感じですな。
鬼畜米英の白人位ですかな、この身長は。うすらでかいのっぽです。ちょっとがっちり。
何時だったか、女学校の学生さんが大きな男は格好いいと語って下さったな。
.......。
悪くないかも知れませんな。
大きい男になれたのですし、頑丈そうですし、何よりも身体が動く。
嗚呼、七十年、言うは易し行うは難し。
その間ずっと使えませんでしたしなあ。
夢だとしても、悪くないですなあ。
.......少し、遊んで見ましょうかねえ?
こうして、僕は気付く事無く、第二の人生を歩み始めるのですな。
字数すくねえ。