さよなら日常、こんにちは異世界ー8
本日二回目の更新です!
話がなかなか進みません(・・;)
申し訳ないです。
頭を撫でられるような感触に、篤は何とも懐かしい記憶を思い出し目を開ける。
こんな風に頭を撫でられたのはいつ以来だろうか。
兄が良くふざけてか本気かわからない愛情表現で頭を撫でに来るが、それとはまた違う優しい撫で方に、両親を思い出した気がした。
目を開けて、視界がはっきりすると、すぐにそれが両親ではなかったことに気が付く。
まあ、すでにこの世にいないのだから当たり前かと思いつつ、目の前にいる人物に視線を移し、ついでに自分の周囲の常用確認も行う。
すると、自分がいるのはやはり白い空間で、夢ではないことが分ってしまった。
では、なぜ自分はここにいるのか、そもそも目の前の人物は誰なのか。
クリーム色で色素の薄い髪の毛に、白い肌。エメラルドグリーンのような瞳からは、何となく兄の面影すら感じられる。身長は、兄と同じかそれより少し低いかといったところか。見た目から言って中性的な容姿をしているが、背丈を考えると男だろうと勝手に判断した。
『おや、目が覚めましたか。』
「……」
『ん?どうしましたか、具合でも悪いのでしょうか。
…でも、熱はなさそうですね、大丈夫ですか?』
「…あんた、だれ?」
『ああ、私ですか。
えーと、なんといえばよいのでしょうね。旅先案内人?違うか、謎の貴公子Zとか、かっこよくないですか?あ、かっこよくないですか。そうですね、あなたたちが今までいた世界の概念とはちょっと違うので、信じてもらえるかわかりませんけど、一言で言ってしまえば、神様です。世界を創り、見守り、時に助ける、そんな役目を負ったものです。』
「…厨二病?」
『そんな、かわいそうなものを見るような目で見ないでください。そうですね…何か証拠になるようなものありましたかね…あ、そうだそうだ。そう言えば!αによい名前を付けてくださったようで!確か、…ネロでしたか?よかったですね、ネロ』
そう言って、己を神だという謎の人物が向ける視線の先を辿ってみる。
すると、そこには確かに自分と兄がネロと名付けた生き物が座っていた。男の声掛けに対して嬉しそうに、にーにーと鳴き声をあげている。
「え、いつの間に?!さっきまでいなかったはず…」
『そりゃ、たった今私がここに呼びましたからね。そもそも、この子を作ったのは私ですし、あなたの家の前においたのも私ですから。いやあ、無事に会えたようでよかったですよ。ほんと。』
「あ゛?あんたがあそこに捨てたのか?」
『違いますよ。捨てたなんて人聞きの悪い…あなたとあなたのお兄さんに会わせるために近くまで連れていっただけですよ。』
「連れていっただけって…こいつ雨でぬれていたんだぞ?!風邪でも惹いたらどうするつもりでっ」
『あはは、大丈夫ですよ、その程度で風邪をひくようなやわにはつくっていませんから』
「さっきから聞いていればつくったとか、つくってとか、生き物を作るとか神にでもなったつもりかよ!それから、ここは何処だ!」
『いやだな、だからさっき、私は神ですって言ったじゃないですか。ここですか?ここは、世界と世界の狭間ですよ。世界と世界に挟まれた何にもな異世界。だから真っ白でしょ?色すらも存在してない場所なもので。あ、このテーブルとか椅子は私がここで篤君、君と話すために用意しただけだからね。』
「…」
『信じられないって顔してるね。んーどうしたら信じてくれるかな』
そう言って、あからさまに困っていますといった顔で腕を組んで悩みだす自称神。
先ほどから話していて、この自称神は嘘をついているような雰囲気ではないのだが、話があまりに突飛すぎて信じることもできない。
ただ、ネロの存在はこの自称神の話にわずかながらも信憑性を持たせていた。
この世に存在するとは考えにくい生物であるのが、ネロである。もう一匹の方、ビアンカは兄といるはずなので、今頃家で寝ているだろうが、きっとビアンカもこの謎の人物によってつくられたのだろう。
篤自身、どうしたものかと悩んでいると、自称神がぱんっと手を合わせて何かをひらめいたような顔をした。
『そうだ、とりあえず君をここに呼び出した理由を話さなくちゃ、この話を聞いたら納得してくれるかもしれないし!』
「呼び出したって、呼ばれた覚えはないし、誘拐って言ったほうがあってるだろ…」
『いやだな、呼び出しならちゃんとしたよ?何日か前に、この場所の夢を見なかった?あー、その時は私はいなかったけど、確かテーブルの上に本を置いておいたはず…』
それを聞いた篤の頭の中に、何日か前に見た真っ白な空間の夢を思い出す。そして、そうかあの夢の場所がここだったのか、と納得していると、自称神が篤をこの場に呼んだ理由を説明しだした。
本日もありがとうございました。