倒せ! 究極のドラゴンを!
俺とツキノは宿に着いた。
宿に着くと、なんだかのほほんとした感じの女の子がいた。
「あ、おはよう〜」
女の子は急に俺に話しかけてきた。
「え、あ、うん。おはよう」
一応返事しておく。
「私はシーンっていうの〜。この店のお手伝いをしているんだ〜」
「ふーん」
「あなたが噂の英雄さん?」
「ああ、うん。そうだぜ」
やれやれ、もう噂が広まってしまっているのか。
全く困ったものだ。やれやれである。
「あ、じゃあお願いがあるの〜聞いてくれるかな〜?」
「お願い? まあ良いけど……俺は決して安い金じゃあ働かねえぜ?」
「依頼料は白貨10枚だよ〜」
「白貨10枚……ねぇ。足りねえな」
「え⁉︎ でも、白貨10枚は家も買えるほどの大金なんだよ〜? 私、こんな日がくるって信じて頑張ってためたのに〜」
「俺に仕事を頼むなら白貨100枚だな」
「ひゃ、100枚⁉︎」
驚いている。やれやれ、なにをそんなに驚いているのやら。
「でも…………まあ、お前が俺の仲間になるっていうなら無料でやってやるよ」
「え? 仲間……?」
「ああ、俺って友達いっぱい仲間いっぱいほしい主義なの。予定では五千人くらいで魔王のところに攻め込む気だしな。いや、まあ俺だけでも十分だろうけども……どうだ? 俺と仲間にならねえか?」
「うん、私君の仲間になるよ〜」
「そうか、良かった。それで、以来というのは?」
「レッドカオスオメガナイトドラゴンを倒して欲しいんだ〜」
「レッドカオスオメガナイトドラゴン? そりゃあまた随分ご立派な名前だな」
「究極のドラゴンだよ〜、力だけなら魔王幹部四天王に匹敵するくらいなんだ〜」
「ふーん、それでなんでそのドラゴンを倒してほしいんだ?」
「…………お父さんとお母さんがそのドラゴンに、た、た、た、あ、ひ」
するとシーンは泣き出した。
なるほど……両親がドラゴンに。
許せねえなぁ。
「安心しな、シーン」
「え?」
「今から倒してきてやんよ」
「い、今から⁉︎」
「どこにいんの? そいつ」
「五万キロメートル先の山奥にいるはずですが……今から向かっていたら魔王軍一速いと言われる俊足のゾルークでも相当な時間がかかりますよ?」
「俊足のゾルーク? はっ、そいつも遅いもんだなぁ……まあ良いや。五分で帰ってくっから、カップ麺でも作って待ってな」
「カップ麺…………?」
首を傾げるシーンだった。
「じゃあツキノ、シーンに先に部屋に案内してもらっておいてくれ。五分後に帰ってくる」
「はい、ゼリウルスさん」
「ん? 心配してくれねえの?」
「ええ、まぁ……ゼリウルスさんならなんでも出来るって信じてますから」
「おお、俺のこと分かってきたじゃねえか。よし、んじゃあ行ってくる」
そう言って俺は走り出した。
ということで2分後、俺はレッドカオスオメガナイトドラゴンの首を絞め上げていた。
「ぐがぁがああああ」
レッドカオスオメガナイトドラゴンは苦しんでいる。
おお、良いぞー。もっと苦しめ。
「っても……お前のその気持ち悪い顔面見るのも飽きたし、もう殺して良いよな?」
「ぐぎゃあ?」
俺はニコリと笑ってドラゴンを口から半分にミチミチと音を鳴らしながら裂いた。
やれやれ、なにがレッドカオスオメガナイトドラゴンだ。
「さて、倒したし帰るかな」
今夜の夕食は何かな〜とか考えながら、俺は帰った。