最強のステータス
俺は賞金首だった盗賊をぶっ倒したお陰で、なんと金貨1000枚を手に入れて英雄になったので、そろそろ冒険者登録するとしよう。
やったぜ!
「じゃあほら、これで冒険者登録してくれ」
言いながら金貨5枚を出す。
「わかったよー。では能力値を測定するのでー、その赤い宝石に触れてねー」
「ん? この大きくて丸いのか?」
「そうだよー」
「ほい」
ポンと宝石の上に手を置く。
すると光った。
「これで登録完了だよー、冒険者カードを発行するからちょっと待ってねー」
「おう」
「あ……え!?!!!!?!!?!?」
「どうしたんだ?」
「全ステータス…………マックスオーバー」
「あん?」
「全部のステータスがー、最大値をこえてるの」
「ふーん……」
当たり前だ、俺は最強だしな。やれやれだ。
「えーっと、では職業を決めてねー」
「なにがあんの?」
「あなたは全部の職業を選べるんだけどー、全部説明するの?」
「んー、職業って選んでなんかメリットあるのか?」
「うん。それはもちろん。魔術師になれば魔法攻撃力が上がりやすくなるしー剣士になれば攻撃力が上がりやすくなるよー」
「あー、んじゃあ無職でいいよ」
「は?」
「無職で登録出来ないの?」
「さすがに出来ないの」
「じゃあ冒険者でいいよ。冒険者で」
「了解だよー……じゃあはい、これが冒険者カード」
どれどれ?
俺の冒険者カードを見てみた。
因みにこんな感じ。
名前……ゼリウルス
性別……男
職業……冒険者
レベル……1
体力……9999+++++
攻撃力……9999+++++
防御力……9999+++++
魔法攻撃力……9999+++++
魔法防御力……9999+++++
スピード……9999+++++
スキル……オールマジック
……オールブレード
……自動回復+++++
オールマジック効果……全ての魔術が使える。
オールブレード効果……全ての剣術が使える。
ふーん……ま、こんなもんか。
やれやれ、俺もまだまだだな。
「おい、新人。見せてみな」
「あ?」
さっといかつい男にカードを取られた。
やれやれだ。
「は? なんだこりゃあっ! おいおい、受付の嬢ちゃんよ。これ間違ってんじゃあねえのか?」
「え? 間違ってないよー」
「本当かぁっ?」
「本当だよー」
「どうせ間違ってんだろ? こんなんがこのステータスで俺のステータスがここまで低いわけねえだろ!」
「いやぁ……それはあなたが弱いだけなの」
「おい……受付の嬢ちゃんよぉ。なめてんじゃあねえぞ? 俺は一応王族の護衛やってんだ。つまりエリートって訳。なめた口聞いてっと、ぶっ殺すぞごらあっ!」
「ひっ⁉︎」
おやおや、やれやれだ。
このいつかい顔をした男は相当な悪人のようである。
「やめとけ」
俺はそう言って受付嬢を殴ろうとしていたいかつい男の腕を掴んだ。
「おいおい、新人。こんなステータス、機械の故障だあ……俺に勝てると思うのかぁ?」
「あん、思うぜ。なんならいまつかんでいるお前の腕……ねじり切ってもいいんだぞ?」
俺は鋭く睨みながらそう言った。
「な……⁉︎ ちっ、やれるもんならやってみやがれ! ただし出来なかったらてめえは奴隷だ! てめえの連れている金髪の嬢ちゃんも奴隷だ! それでもいいのか?」
「え? 私もですか⁉︎」
ツキノは驚いた風にそう言った。
「ああ、それでいいぜ」
「ちょ、ちょっとゼリウルスさん! 私が奴隷になったらどうするんですか?」
「安心しろ……俺は最強だ」
「……っ、わかりました。信頼しています」
さてと、やれやれ。とんだ茶番だぜ。
人間の腕くらい太くても細くても……簡単にねじり切るくらいできるだろ。
「よいしょ」
ギチギチっという音がして、いかつい男の腕は千切れた。
「あぎゃあああああれああっ!」
「喚くな、屑。助けてほしいか?」
「あがががががががががが」
「もう一度だけチャンスをやる、助けてほしいか?」
「あが……が、はい! 助けてほしいです」
「しゃあねえなぁ……ほい、回復魔法」
いかつい男の腕は元に戻った。
まるで最初からなにもなかったかのように。
「あ、ありがとう」
「ありがとうございます……だろ? さて、助けてやったしお前、今日から俺の奴隷な」
「は?」
「は? じゃねえよ。また腕千切られてえの?」
「い、いえいえ」
「安心しろ……優しくしてやるから」
俺はそう言ってから、受付嬢の方へ駆け寄る。
「大丈夫か? ナヌノ」
「は、はい……ありがとうなの」
「いいよ。可愛い女の子はほっとけないだけだからさ」
「ひゃ、か、可愛い⁉︎」
「あん? どうしたんだよ、そんなに顔赤くして」
やれやれ、熱なのか?
「か、かっこいいです……」
すると、ツキノのそんな声が聞こえた。
「あん? なんだって?」
よく聞こえなかった。
「あ、いや、なんでもないですよ」
「そうか。じゃあもう今日は夜遅いし宿に向かおうぜ」
「あ、はい!」
俺たちは宿に向かった。