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俺は冒険者ギルドの英雄になった

 森をガンガン進む俺とツキノ。

街まではまだまだかかりそうだ。


「それにしても珍しいですね。黒髪に黒い目だなんて」


ツキノは覗き込むようにして俺にそう言った。


「そうか?」

「そうですよ。ゼリウルスさん」

「おいおい、正確に名前なんて言わなくてもいいぜ? 略してゼリウスくらいでいい」

「ルしか略してないじゃないですか」


確かに。

それにしてもゼリウルス……俺の名前長すぎない?

三文字くらいでいいよ。

いや、異世界だから仕方ないけどさあ。


「ゼリウルスさんはどうしてあんなに強いんですか?」

「最強だから」

「最強なんですか⁉︎ 凄いですね!」


そう、俺は凄いんだ。やれやれ、それくらい分かってくれよ。


「そういえばお前はお姫様なんだよな? なんであんなところに?」

「えーっと、少し家出をしていて」

「ふーん、根性あるじゃねえか。そうだ! 良かったら俺と一緒に来ねえか?」

「え! 良いんですか?」

「いいよいいよ、可愛い子大歓迎」

「か、可愛い……ですか?」


ツキノは顔を真っ赤にしてそう言った。

熱でもあるのか? やれやれ。


「でも、私……魔法も剣も使えませんよ?」

「ん? そんなの気にしなくていいぜ? お姫様は守られるもんだろ?」

「そうですか……?」

「そそ、黙って俺に着いて来い」

「はい!」


まあということでガツガツ森を進み、ついに街についた。


「すいませーん、ここが冒険者ギルドですかー?」


俺はそう言って冒険者ギルドに入った。


「そうだよー、ここが冒険者ギルドなのー」

「ん? あんたは?」

「私はナヌノなのー、ここの受付嬢をやってるよー」

「ふーん……じゃあさっそく、冒険者になりたいから手続きしてくんね?」

「では銅貨500枚か銀貨50枚、それか金貨5枚を渡してねー」

「あん? 金いるの?」

「そだよー」


どうしよう。持ってない。


「ツキノ、金は?」

「ないです」

「ないのか」


困った。どうしよう。


「あ、でもあんなところにゼリウルスさんが倒した盗賊が賞金首として大々的に張り出されていますよ! 賞金なんと金貨1000枚!」

「お、本当じゃん」

「一応ゼリウルスさんが殴って吹き飛ばしたあの盗賊の頭を包んで持ってきておいたのでこれを受付さんに見せればお金が貰えるはずです!」

「おお! ナイスだぜツキノ」


ということで包みに入った盗賊の頭を受付嬢に見せた。


「きゃああああああっ! な、な、なんなのこの顔はー」


やれやれ、驚いているようだ。


「ごめん、驚かせたな。ほら、これは賞金首の首だ」

「いや、別に本当に首を持ってこなくても倒して捕まえてくればいいんだよー?」

「あ、そうなの。でも賞金はくれるよな?」

「それはまあもちろんだよー……ってこの盗賊、あの炎使い最強の盗賊じゃないですか⁉︎」

「え?」


あれで炎使い最強の盗賊なの? やれやれ、レベルが低いもんだ。

最強の名にふさわしくない弱さだったぞ?


「みなさーん、注目だよー、この人、あの炎使い最強の盗賊を倒したよー!」


すると受付嬢のナヌノはそんな大きな声をあげた。

ざわざわと冒険者ギルドの冒険者たちも騒ぎ始める。


「あんなガキがか?」

「あの……あの盗賊を?」

「見ろ……あれは盗賊の頭だ」

「あいつ、あんな幼い顔をしてえげつないことをするな」

「あの盗賊を倒すなんて凄すぎねえか?」

「ああ、もしかしたらあいつが英雄ってやつなのかもな」

「英雄か」

「英雄?」

「英雄……ね」

「そうだ! あいつこそが英雄だ!」


こんな感じでみんなざわざわわいわいがやがやしている。やれやれだ。

もう少し落ち着け。やれやれ。

本当にやれやれ、困ったものである。


「なあ、ナヌノ。俺そんな凄いのか?」

「それはそうだよー。ほら、みんな君のこと英雄って言ってるでしょ」

「ふーん……」


やれやれ、俺が英雄になるとはな。

俺はただ最強なだけだというのに……全く、やれやれだ。





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