俺の料理は美味しいんだぜ? なぜなら最強だから
さて、この元奴隷だった少年少女をとことん驚かしてやろう。
「まあ、とりあえずは……風呂だな。ほら、少年どもは俺のとこに、少女どもはツキノのところに行け」
そう言って俺は風呂へと向かう。
因みに、少年は全員で五人……まあ少ないからこいつらを洗うくらいはたやすいだろう。
「ほら、ここが男風呂だ」
俺がそう言って指を指すと、下を向いていた少年どもが上を向いた。
「わあっ⁉︎」
一人の純粋そうな少年がそんな声を出した。
「へへっ、どうだぁ? 広いだろ?」
「は、はい。ご主人様」
「明日からお前らは毎日ここに入れるんだぜ?」
言うと五人の少年たちは暗かった目を輝かせた。やれやれだ。
「あ、あの……僕たち奴隷にこんな大きな風呂……使わせてもらっても本当に良いんですか?」
「あ? お前らは奴隷じゃねえよ。俺の仲間だ。良いから遠慮せずにちゃっちゃと服脱いでお風呂に入りやがれ。なんだぁ〜? 男のくせに裸になんのが恥ずかしいのか〜?」
「そ、そんなことない! あ! そんなことない……です」
「はっ、敬語なんて無理して使わなくてもいいよ」
「う、……うん!」
そして少年たちはわいわいと風呂へと入っていった。
やれやれ、男の子は元気が一番なんだぜ?
その後、少年少女たちは風呂から出てきた。
「なあ、ツキノ。少女ちゃんたちはどうだった?」
「はい! 楽しくやっていましたよ!」
「そうか。ありがとうな」
「大丈夫です! 私たち、仲間なんですから!」
そう言って「えへへ」とツキノは俺に抱きついてきた。
「おいおい」
やれやれ全く、甘えん坊なやつだ。
やれやれである。
「ぐぬぬー、ツキノだけゼリウルスさんと仲良くしてずるいなの!」
するとナヌノも俺と腕を組んできた。
「あ〜、ツキノちゃんにナヌノちゃん。ゼリウルスさんと仲良くしてるー、ずるいよ〜。私も抱きついちゃえ〜」
言ってシーンも俺の背中に抱きついた。
お、おおう! 胸が!
「ちょ、ちょっと師匠と何しているんですか! みなさん! 僕だって負けませんよぉ!」
そう言ってイーズは腰あたりに抱きついてきた。
というか……俺はあくまで師匠じゃねえって。仲間だって!
「な、なにをしているのかしら? ず、ずるいわよ! あなたたちだけ……」
ルートはそう言って恥ずかしがるようにしながら、俺の服の裾をだけをギュッと握った。
なにこれ一番可愛いんですけど……。
「というかお前ら落ち着けっ! 子供達が見てるから!」
じーっと、風呂から出た少年少女たちがこちらを見ていた。
「ご主人様……モテモテだね」
「モテモテー!」
「すごーい!」
「家も大きいし、きっと王子様なんだよ!」
「王子様! きゃーっ」
うぬぅ……なんというか、やれやれだ。
「ええい! お前ら! もうすぐご飯だから早く髪を乾かせ!」
「きゃー、ご主人様が怒ったあっ!」
「わーわー」
……ったく。まあでも、こういうほうなのが子供らしい。
「ほら、ご飯作ったぞ」
俺は元の世界の料理知識を総動員して、様々な料理を五人と15人、合わせて20人に振舞ってやった。
「これ、凄い美味しいですよ! ゼリウルスさん!」
「ああ、それは天ぷらって言うんだぜ。ツキノ」
「天ぷら……ですか」
「これ、すごく美味しいよー」
「それはハンバーグだ、ナヌノ」
「わー、やっぱりゼリウルスは凄いなのー」
「こんなの食べたことないよ〜」
「ラーメンだ、シーン」
「美味しい〜よ〜。ありがとう」
「師匠! 強くて優しくて料理もできるなんて凄いですね!」
「そうかぁ? イーズ」
「はい! 凄いですよ。僕尊敬しちゃいます!」
「これ、美味しいわね。なんて言うのかしら?」
「うどんだよ、ルート」
「うどん……」
「「「「「「「美味しいー!」」」」」」」
「おうおう、お前らも落ち着け」
子供達も喜んでくれているようだ。
やれやれ、よかったよかった。
その後も、俺の作った料理は大好評だった。