表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

1人目のお客様-Ⅲ

まだ、話の核心に、はいってません。今回は微妙に核心にふれます。

カラン、と鈴の音がした。そしてドアを開けた瞬間、穏やかな花の香りがした。中も落ち着いた色合いの物ばかりだった。

こんなところに入るなんて、初めての事で、立ち尽くしていると女性が近づいてきた。歳は二十代ぐらいだろうか。肩まで伸びた髪は、キレイだった。

「いらっしゃいませ。『レンゲソウ』へようこそ。お席を案内します。」

「あ、ありがとうございます。」

このカフェの店員だと思われる女性のエプロンには、『九十九』と書いてある名札がつけてあった。読み方はなんだったっけ、と関係の無い事を思いながら、店員さんについていった。

「ご注文が決まりましたら、お呼びください。」

店員さんは笑顔で小さく頭を下げるとカウンターの方へと戻って行った。

まわりを見ると、女子ばっかりで、恥ずかしかったが気にしないことにした。

メニューを見ると、簡単な食事やケーキセット、紅茶や、ジュース、スイート・・・たくさんの種類が書いてあった。とりあえずオススメのケーキセットを頼むことにした。机の上にあったベルを鳴らすと、今度は男性がやってきた。互いを見て、俺たちは固まった。

「なんで、久遠がここに・・・!?」

「いや、そのセリフまんまお前に返すわ、黒崎。」

目の前の人物は、俺のクラスメイトの黒崎零(くろさきれい)だった。

「俺の家がこのカフェ営んでるんだよ・・・って、話は後でだ。ご注文は?」

「あ、えっと、今日のケーキセット・・・ってやつで。」

「今日のケーキセットっと。久遠、ちょっと待ってろ。休憩も一緒に貰ってくる。」

「いいのかよ、それ」

「いいんだよ、別に」

黒崎は笑いながら言うと、カウンターへ戻って行った。

初めて知った事実に驚きながらも、あたりを見回していると、『夢相談承ります』という、張り紙を見つけた。なんだそりゃ、と首を傾げていると、黒崎がケーキセットを持ってきた。

「お待たせしました、ってな。」

黒崎が持ってきたトレーを見ると、チョコケーキと紅茶が二つずつあった。家がしてるからって、ずりぃ。そう思っていると俺の表情を読み取ったのか、黒崎は付け足した。

「ちゃんと金払ってるからな。」

「お前エスパーか。まぁ、いいや。休憩貰えたのか?」

「ああ。今はそんなに客もいないからな。」

いただきます、とケーキを一口食べると、ちょうどいい甘さが口の中に広がった。

「今日のは雪華(せつか)さんと、美雨(みう)さんが作った中でも、トップ5に入るやつだってよ」

「雪華さんと、美雨さん?」

「双子の姉妹で、雪華さんは多分見ただろ。肩まで伸ばした髪の人。名札に『九十九(つくも)』って書いてあっただろ?ちなみに美雨さんは髪をポニーテールにしてる。俺の親戚。」

へぇ、と思いながら紅茶を啜る。紅茶に詳しくないがとてもおいしかった。

「ところで、お前なんでここに来たんだ?」

黒崎が思い出したように言った。

「いや、なんとなく立ち寄っただけ。そういやさっきから気になってんだけど、あの夢相談ってなんだ?」

さっきの張り紙を指さすと、黒崎はああ、と呟いた。

「そのまんまだな・・・。夢に関する相談。今のお前にぴったりの相談だ。」

「は?」

「百聞は一見にしかず、ってな。まぁ、実際にした方がはえーな。先ずは、それ食べてからだ。」

ニヤリと笑う黒崎の言葉に首を傾げながら、俺は残りのケーキを食べ始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ