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1人目のお客様-Ⅰ
「ナンデ、ナンデ、ナンデ逃ゲルノォォォォォ!!!!」
ただ道を走る。追いかけてくるアイツから逃げるために。
もうとっくに息は切れている。足もそろそろ限界だ。
だけど、足を止めたら死ぬ。その一心で走り続けた。
「あっ・・・!!」
だけど、足に限界が来てしまい、転んでしまった。立ち上がれない。
ケラケラと笑う声が上から聞こえる。死ぬんだ、そう悟った。
だけど、背中を向けたまま死ぬのは御免だ。必死に体を起こし、アイツを見上げた。
アイツは、耳まで裂けた口をさらに歪め、ひどく不愉快な声で言った。
「ツ カ マ エ タ」
その言葉と同時に、持っていた大きな鎌が俺の体に振り下ろされた。
「~!!」
勢いよく体を起こした。汗をかき、呼吸も荒れていた。
「夢・・・か」
深呼吸をし、小さく呟いた。枕元の時計を見ると、五時半をさしていた。
ベッドから抜け出し、朝の寒さに小さく震える。流石に春になったと言えど、寒い。
「これで四回目」
無意識のうちに呟きながら、ため息をついた。