第七章第三話 おまけが本編
前半は物語に深く関係しないので、今回は丸々読み飛ばしていただいてもかまいません。
それでは。
「
『能力』というのは極稀に、その才能のあるものに発現する不思議な力のことッス。
ただしその力にはある決まりがあるッス。
決まりと言うよりは、規則性と言ッたほうがいいかもしれないッスけど。
それは、何かを『操る力』であること。
実存する現象、物質を『常識』を破ッて『操る』こと。
これが能力の規則性ッス。
俺ッちが驚いたのは神父が『未来を見る力』を持ッているッてことッス。
これは『操る力』じゃない。
そしてジンさんもまた『操る』ものじゃない。
リリーさんの力は、おそらく『癒す力』ではなく『怪我を操る力』なのかもしれないッス。
現象も操れるッスから
それならば、かろうじて『操ッている』ことになると思うッス。
そんなことを考えても、もう意味はないッスけど。
現に『未来を見る力』そして『身体能力を上げる力』があるんスから。
能力は『常識』を破ることはあっても、『法則』を乱すことはしない。
兄貴の『炎を操る力』だって、火種がなければ火は使えない。
何もないところからいきなり火を灯すことは出来ない。
クリア君やレイナさんの力も同じ。
そう考えるとリリーさんの力も無から能力を使ッて怪我や傷を生み出すことは出来ない。
やっぱり、あくまで『操る力』みたいッスね。
だから、俺ッちは驚いたわけッスよ。
ジンさんも『法則』を破る力を持っていることに。
今となッてはそんなことも知らなかッた皆に驚いているッスけどね!
」
「悪かったよ。要は俺の力は変だったってわけだ」
「俺ッちの話し聞いてなかったんスか!?凄いッて言ッたんスよ!」
「そうか?普通じゃないって言ってた気がするけど」
「それを凄いって言うと思うよ。そっか、やっぱり兄貴って凄かったんだなぁ」
「シュシュ、その・・・・・・つまり、神父様とジンは何か関係があるってこと、かな?」
「無いッスね。ただの偶然ッスよ」
「そんな、考えるだけ無駄。みたいな返答をしてやんなよシュシュ。でもま、俺も同じ意見だ。関係なんて無いだろ、変なこと考える必要は無いさ」
「うん・・・・・・」
「シュシュ。今リリーが何考えてるか読み取れる?」
「読み取るな!」
-----------おまけ--------
時間が無い方は読み飛ばしていただいて結構です。
相変わらず惚れ惚れするようなリリー姉さんの後ろ回し蹴りが座った状態から繰り出される。
「冗談だよ冗談。本気にするな。そんな簡単に人の考えてることを読まなさそうな奴だからこそ、俺はシュシュを信用出来てるんだから」
そして相変わらず惚れ惚れするような兄貴の知らんぷり。
顔面に直撃したのに・・・・・・
でも、リリー姉さんは本当に心配したんだと思う。
能力というのは遺伝が一番伝わりやすい。
似通った能力と言われれば、あることを思い浮かべずにはいられない。
シュシュやフレイも偶然だと言ったが、確証は全く無い。
悪い予感が当たらないことを願うばかりだ。
「クリア。少し悪い予感がするのだが」
兄貴達とは離れた場所でレイナが聞いてきた。
「確かにするね。でも、例えその予感が当たっていたらどうだっていうのさ?兄貴は兄貴『ジン・ステイル』だろ?」
「・・・・・・そうだな。何も困ることは無い。誰よりも父親の背を見て育ってきた男だからな。そんな心配も無用だろう」
「全くその通りさ。ところでレイナ、ちょっと話があるんだけど」
「ん?何だ?」
俺達は兄貴達を放っておいてこそこそと話し始めた。
「いや、正確にはレイナが俺に聞きたいことがあるんじゃないかな?って思って」
「何のことだ?」
「兄貴のこと」
「な!?な、何故私がジンのことをクリアに聞かなきゃいけないんだ。聞きたいことがあるのなら本人に聞くのが一番手っ取り早いだろ」
「そうだね。確かにそうだね。でも、聞きにくいことってあるんじゃないの?」
「それは確かにあるかもしれない。だが誰にでもあることだ。例えば、さっきクリアが言っていた宗教関係のことについて教えて欲しいと聞けば快く教えてくれるか?教えてくれるかもしれないが、少し嫌ではないか?」
「はいはい、そうですね。でもレイナが聞きたいのはもっとピンク色な感じの話題だろ?」
「わ、話題に色なんてつくわけが無いだろ!」
「わかったわかった。じゃあ独り言を言っちゃうけど、兄貴とリリー姉さんならなんでもないよ。この間兄貴に『二人って付き合ってるの?』って聞いたら『リリーは俺のせいで追われる身になったからな、責任もって守らないといけない。それだけだ』って言ってたし、リリー姉さんは少し兄貴のことを気にかけ始めているからあれは恋の始まりぐらいだね。今ならまだ間に合うと思うよ」
「クリアは二人がお似合いだとは思わないのか?」
「やっぱり気になるんだ」
「す、素直な意見を言っただけだ」
「そうだな~ 確かにお似合いかもしれないけど、付き合うとかそういうこととは関係ないと思うよ。俺に素直な意見を言えるなら、兄貴に素直な気持ちを伝えてみれば?」
「私が余計なことをしたら面倒なことになるかもしれないだろう?」
「それが半分楽しみで誘ってるわけだしね。へっへっへ~ 兄貴がレイナに告られて動揺するのが目に見えるぜ」
「お前が悪魔に見えてきたよ」
「それは褒め言葉として受け取っておくよ。ところでヘンリーはどこ行ったのかな?メメさんと一緒?」
「そのようだ。ヘンリーはジンのように頭が切れるからな、メメと一緒に作戦を練ったり小隊を動かすための情報を伝達しているそうだ」
「ふ~ん。でさ!兄貴に告る時のシチュエーションだけど!」
一応お互い小声である。
「待て待て!何をその気になっているんだ。私はするとは一言も言ってないぞ!そもそも私がそんなことをした程度でジンが動揺などするわけが無いだろ・・・・・・」
「う~ん。確かにこのままだったら色々と無理かもね。まずはその口調からかな?いや、外見からだ!これから旅をしていくけど町に泊ることは何度もあるからね。おめかしを覚えよう。その次にリリー姉さんを陰ながら見習って女らしさを高めていけばいいよ。助力するから!」
やっべー。想像するだけでめちゃ楽しい。
「だから、するとは一度も言っていない!」
「じゃあしない?」
「・・・・・・」
「しないの?」
「・・・・・・」
「するんだね?」
「ぅ・・・・・・」
「でも俺の助けは要らない、と。別にいいよ~俺は手伝わなくたって。兄貴は今のレイナだって十~分好きだろうしさ。案外あっさりOKしてくれるかもしれないしね~ そういえば兄貴の好きなタイプってどんなだったかな~?昔言ってたような気がするな~」
「・・・・・・わかった。わかったよ!協力してくれ!私がリリーにかなう訳がない!」
「はいはい。素直が一番かわいいと思うよ。やっぱりまずはそこからかな?」
悪いけどレイナ、俺は悪魔だから。
利用させてもらうよ。
そして三ヵ月後、俺の作戦は成功した。
半分だけ。




